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じょ〜い小川
2025/04/03 11:38

ちょっとチョイスしにくい、U-NEXTで観られる比較的新し目のおすすめ作品10選!

どうも、じょ〜い小川です!

 

今回のテーマは
「週末はおうち映画館!U-NEXTで観られるおすすめ作品10選」。

U-NEXT、めちゃくちゃ使ってます。

素晴らしい映画がたくさんあり過ぎて、結局は賞レースを制した有名作や人気シリーズを無難に選んでしまう。それはそれで楽しいけど、これだけ数多くの作品が配信されているならちょっとは冒険してみたい。が、配信だとしても素晴らしい映画で有意義に時間を過ごしたい。

 

なので、当初はボクのマイフェイバリットムービーからU-NEXTで見られるやつをチョイスしていこうかと考えてましたが…それって、Discover usのボクの自己紹介にあるフェイバリット9選+何本かみたいになる。ラース・フォン・トリアー監督作品『ドッグヴィル』はもちろん、『フルメタル・ジャケット』や『仁義なき戦い』、『ラ・ラ・ランド』…もう、既に他のお題でも書いてるし、これだったらぶっちゃけ誰でも選べる。

 

ということで、ここ10年ぐらいの作品を中心に

「ちょっとチョイスしにくい、U-NEXTで観られる比較的新し目のおすすめ作品10選!」

をお届けします。まぁ、中にはそれでも「ボクもそれチョイスします」という作品もあるだろうし、それならば日本で劇場未公開の超絶どどどど、どマイナーな映画をセレクトすればいいだろうけど、そういうのはキリがない。
そうじゃなくて、ちゃんと劇場公開したけど、公開当時もそんなに日の目に当たらなかった良作を選びました。


1.『アウトポスト』

(C)2020 OUTPOST PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

原題:The Outpost/製作国:アメリカ/製作年:2020年 監督:ロッド・ルーリー/脚本:エリック・ジョンソン、ポール・タマシー 出演:スコット・イーストウッド、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オーランド・ブルーム、マイロ・ギブソン


2009年10月に起きたアフガニスタン紛争で最悪の戦闘と言われた「カムデシュの戦い」を取り上げ、『エクスペンダブルズ』や『ハンター・キラー 潜航せよ』の製作陣が集結して作られた戦争映画。見てみて、特に「カムデシュの戦い」のシーンは『プライベート・ライアン』のようなリアルな戦場の描写に驚き、アフガニスタン紛争で最悪の戦闘というのは伊達ではない。

(C)2020 OUTPOST PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

前半は『ジャーヘッド』や『リダクテッド 真実の価値』、『キル・チーム』のようなアフガニスタンの前哨基地の日常風景が中心だが、随所でいきなりタリバン兵たちの奇襲や、タリバン兵絡みの事故に遭ったり、飽きない展開にはなっている。その日常描写も細かく、奇襲や事故で負傷しなくても精神的なダメージがあったり、ころころ変わる大尉も人によっては隊内の空気が変わったり、アメリカ兵たちの日常としても味わい深い。

(C)2020 OUTPOST PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

そしてなんと言っても、中盤からの「カムデシュの戦い」だが、ズガズガと戦闘をやる中で目につくのは準備不足が故の銃弾補給兵の動きや、『ハクソーリッジ』よろしくな負傷した兵士を救護するシーン。POVではないが、銃撃戦等の生々しい動きは戦争疑似体験型サバイバルアクションゲームの「PUBG」っぽくもあり、そういう意味でも現代的。

(C)2020 OUTPOST PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

厳しい現場の中でも、全裸で戦闘したり拷問我慢ゲームのシーンなどブラックなコメディも散りばめられていて、ロバート・アルトマン監督の『M★A★S★H マッシュ』の精神をほのかに感じ取れる。また、エンドロールの最後の最後までインタビュー映像やサービスカットが多く、123分余す所なく堪能できる。2000年以降の戦争・戦場映画ではキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』に勝るとも劣らない傑作!

(C)2020 OUTPOST PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2020 OUTPOST PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

2.『レッドロケット』

(c)2021 RED ROCKET PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.


原題:Red Rocket/製作国:アメリカ/製作年:2021年 監督・脚本・製作・編集/ショーン・ベイカー 出演:サイモン・レックス、ブリー・エルロッド、スザンナ・サン、ブレンダ・ダイス、イーサン・ダーボーン、ジュディ・ヒルブリ、トニー・ロドリゲス、マーロン・ランバート


『タンジェリン』や『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を手掛け、2024年度のカンヌ国際映画祭と米アカデミー賞を制覇したショーン・ベイカー監督の『ANORA アノーラ』の一つ前の作品で、テキサスを舞台にした元ポルノ俳優による人生再生のコメディ&ラブ・ロマンス。

(c)2021 RED ROCKET PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

日本公開は2023年の4月で、シネマート新宿での単館上映だった。予告編も見ずに、ショーン・ベイカー監督の名前だけで見たが、見事に期待どおりで、ボンクラ中年ダメ男による一発逆転のロマンスに常にハラハラドキドキさせられる、ドラッグやセックスや不倫にまみれた究極のラブ・コメディ映画。映画は大まかにマイキーがレクシーとリズが住むテキサスの家に転がり込み、かつての地元に馴染む前半パート、「ドーナツ・ホール」でマイキーとストロベリーが出会い、マイキーが毎週「ドーナツ・ホール」に通う中盤、マイキーが隣人のロニーととんでもないトラブルを引き起こしてから展開を見守る後半パートというように三部構成で、落ちぶれた中年の元ポルノ俳優がかつて過ごしたテキサスに帰郷してダラダラ過ごす様子を映す。

(c)2021 RED ROCKET PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

まず、主人公マイキーがとにかくクズ男だが雄弁。車は運転出来ないが行動的なので、この彼を見ているだけで面白い。元ポルノ俳優という経歴の為に近所での職探しは難航を極め、セーフティーネットの生活保護も居住期間の少なさからこちらも暗礁に乗り上げ、行き着いた先はダーティーな裏稼業。そして主人公マイキーだけでなく、登場人物の9割がクズという設定が素晴らしい。彼だけではない。元妻レクシーも薬物中毒で、「あること」で生計を立てるクズ女。隣人のロニーも立派な車を持ってることが取り柄で、無職のマイキーに常に付き合える無職の独身中年など、街全体がクズな男女で形成されたコミュニティーになっている。

(c)2021 RED ROCKET PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

このボンクラクズ男のストーリーだけでも悪くはないが、ドーナツ屋「ドーナツ・ホール」でマイキーが女子高生バイト店員ストロベリーと出遭うことで話が大きく変わる。ここからは中年ボンクラと美少女女子高生のミラクルなラブロマンスになるが、ボンクラクズ男要素はそのまま。なんと、女子高生側がマイキーのクズライフに染まり、徐々にビッチに堕ちて行く。ストロベリーと同世代の恋敵が現れもするが、こちらも意外な展開を見せる。この中盤からボンクラクズ中年にとって若干都合がいい展開ばかりが起こるが、そこにロマンスがあり、タイトルの『レッド・ロケット』の意味が隠されている。タイトルの「レッド・ロケット」は、本来、犬のアソコを指し示すスラングではあるが、この映画では赤毛の美少女ストロベリーを指すダブルミーニングにもなっている。ドーナツ屋のアジア系の女店主以外はクズだらけの環境の中で唯一光る掃き溜めに鶴な女子高生との街からの脱出を夢見る。

(c)2021 RED ROCKET PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

中年男の帰郷、ご近所ブラブラ、美女とのラブロマンスという話の骨組みはまるで『男はつらいよ』シリーズのアメリカ版のようではあるが、そこにいつ破綻するか分からない元妻との同居生活にいつバレるか分からない裏稼業、いつ壊れてもおかしくない中年ダメ男と女子高生のラブロマンスにロニーと引き起こしたトラブル案件など、常にハラハラドキドキが途切れない秀逸な脚本である。ドーナツ屋がキースポットになるあたりはショーン・ベイカー監督の『タンジェリン』と共通点であり、女店主役が同じことから明らかに意識をしている。

(c)2021 RED ROCKET PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

3.システム・クラッシャー

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

原題:Systemsprenger/製作国:ドイツ/製作年:2019年 監督・脚本:ノラ・フィングシャイト 出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスターガブリ、エラ・マリア・シュマイデ


ドイツ発の問題がある児童に対する教育や学校や児童施設、保護システムを取り上げた社会派ヒューマンドラマ。 主人公と思わしき少女を写したフライヤーからただならぬ雰囲気というか妖気を感じ取って見てみたドイツ映画『システム・クラッシャー』。

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

2024年4月公開当時の上映館は渋谷のイメージフォーラムのみで、危うく見逃す所だった。児童施設を転々とする問題児少女の社会派ヒューマンドラマだが、学校・家庭・施設・里親・病院総ぐるみでの問題児との関わりの映画で、彼女の社会居場所のなさとそれを解決できない大人たちと社会を描き、凄まじい社会派ヒューマンドラマ映画だった!

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

父親からのトラウマが元で顔に触れると怒りを爆発させる問題児ベニー。学校内で暴れては警察仲介で病院搬送、福祉課による引取り、新たに受け入れてくれるケアホームや里親を探す、ケアホーム入所or里親引取りからまた暴れて病院というルーティンの繰り返し。学校付添い人のミヒャや母親が出て来なければ延々と繰り返すタイムループにもなりそうなぐらいの絶望的なルーティン。しかも、彼女の暴れ方が少女らしからぬえげつない暴力で、椅子や大きい道具をブン回したり、相手を机に何度も叩きつけたり凶暴なプロレスラーさながら。

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

ストーリーのわりと早い段階で学校付添い人のミヒャが出て来て、中盤以降はミヒャによるある提案からの展開になる。このキーマンのミヒャという男がなかなかのナイスガイで、学校付添い人として社会福祉課に雇われているけど、教育者というよりはアウトローの匂いがするアクション映画の主人公然とした感じ。ベニーへのある提案もワイルドだし、理論よりも直感と行動という感じ。ベニーへの扱い方も上手いので、時折そこからの慢心も見え、そこがまた人間臭くていい。

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

本来の一番の解決策はベニーが大好きな母親がベニーを受け入れることで解決するはずなんだけど、そこがそもそもの問題。そこからケアホームだ、里親だとなるけど、他者との接触・関係構築に問題があることを分かっているようでいて大人たちはまるで分かってない。そこに問題がある子供を取り巻く学校・家庭・施設・里親・病院総ぐるみでの問題がある。社会福祉課も絡んでいるから地域というか自治体の問題でもあるし、その最終的な解決案に意外性があり、日本ではあり得ない方法である。

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

パンキッシュなピンクの怒れる少女ベニーの闇が終盤になるとよりにっちもさっちも行かなくなり、そこが堪らなく良い。何度も繰り返す悲劇に“逃げ”、それとラストからトリュフォーの『大人は判ってくれない』からの影響が垣間見える。まさしくドイツ発21世紀の『大人は判ってくれない』であり、随所の暴力性と衝動はハードコア・パンクのようで9歳にしてノーフューチャーである!

(c)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG(haftungsbeschrankt),ZDF

4.ガンパウダー・ミルクシェイク

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

原題:Gunpowder Milkshake/製作国:アメリカ/製作年:2021年 監督・脚本:ナヴォット・パプシャド/脚本:エフード・ラフスキ 出演:カレン・ギラン、レナ・ヘディ、アンジェラ・バセット、ポール・ジアマッティ、ミシェール・ヨー、カーラ・グギノ


Netflixで2021年7月に配信し、2022年3月に日本では劇場公開。フライヤーや予告編からなにやら面白そうなニオイが漂っていたナヴォッド・パプシャド監督最新作『ガンパウダー・ミルクシェイク』。これが予想の遥か斜め上を行く凄くキッチュで最凶のガーリー・アクションムービー!

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

ストーリーが二転三転する殺し屋家業らのドロ仕合い。全体的にピンクやライトグリーン、ライトブルーをふんだんに使った色彩、衣装、室内美術、照明で、独特な世界観を作り上げている。色使いやファッションはどことなく『8人の女たち』や『しあわせの雨傘』等のフランソワ・オゾン監督作品に近く、それ以上に主人公サムの世界観はガーリームービーの主人公のような感覚である。そのカワイイ女の子や美魔女な女優らがショットガンやマシンガン、ゴツい斧をブンブン振り回し、ゴア描写もちゃんとやるから、そのギャップが見ていて心地よい。

冒頭のシーンをはじめ、何度かダイナーのシーンが出てくる。雰囲気的にはタランティーノの『パルプ・フィクション』のようでいて、外が雨だったり、色彩感覚から、どことなくフランス映画っぽいニオイが微かに感じられる。

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.
(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

劇中でフランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」が使われていたりもするので、この作品のフランス文化の憧れや香りはたしかである。それだけでなく、闇医者の病院の廊下に盆栽が飾られていたり、サムが食べるシリアルの箱に書かれてる「シリアル」や着ているTシャツに日本語で「マシュマロ」と書かれていたり、日本文化もちょい混ぜされている。

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

ダイナー以外でもボーリング場や子供が運転するカーアクションや図書館での壮絶なバトルなど、普通のアクション映画ではあり得ないシチュエーション、組み合わせが多い。キャラクターとアクションのギャップ以外にもシチュエーションにおけるギャップのおかしさ、面白さが随所にあるが、それ以外にも極端にエキストラを排し(いるシーンもある)、人がいない場所を主人公、登場人物らのみがいる空間が多く、あらゆる角度から非日常の世界観を作り上げている。

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

音楽の使い方もフランス・ギャル以外も秀逸でセンス抜群。バトルシーンでジャニス・ジョプリン(Big brother&The holding company)の「Peace of my heart」やアニマルズの「It's all over now,baby blue」を使うセンスは『キングスマン』のバトルシーンでの「Freebird」の使い方に通じるものがあり、非常に面白い。主演のカレン・ギランの可愛くもアクションが凄いというギャップがまたいいし、ミッシェル・ヨーやカーラ・グギーノといった熟女たちもまた可愛く着こなし、激しいアクションをやってのける。野郎の中ではネイサン役のポール・ジアマッティが彼らしい、というかめちゃくちゃマッチしていた。

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

この映画の監督がインタビュー記事で「好きな映画のいいところ取りをしてミックスした」と堂々と言っていたから、考えてみれば納得である。全体的なオシャレさ、キッチュさは独特で、ウェス・アンダーソンやミシェル・ゴンドリー、昔のフランソワ・オゾンにも並ぶハイクオリティな世界観。これとクエンティン・タランティーノやマイケル・マンなどのノワール映画を大胆にミックスさせたキッチュ・ノワール、ガーリー・ノワールである!

(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.
(c)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

5.キャッシュトラック

(c)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

原題:Wrath of Man/製作国:アメリカ、イギリス/製作年:2021年 監督・脚本・製作:ガイ・リッチー/脚本・製作:アイヴァン・アトキンソン/脚本:マーン・デイヴィス 出演:ジェイソン・ステイサム、ホルト・マッキャラニー、ジェフリー・ドノヴァン、ジョシュ・ハートネット、ラズ・アロンソ、ラウル・カスティーリョ、デオビア・オパレイ、エディ・マーサン、スコット・イーストウッド


フランス映画『ブルー・レクイエム』を基にしたガイ・リッチー監督によるクライムサスペンス。冒頭からしばらくは普通のクライム・サスペンスかと思ったら、章が変わってからがある意味本番で、多角的に現金強奪のクライム・サスペンスを堪能できる!

(c)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

現金輸送車襲撃を襲われる側、襲う側、巻き込まれる側と多角的に描き、それぞれのバックボーンをガッツリ見せる。その中で、主演のジェイソン・ステイサムは同一の人物を2エピソードに跨って演じるが、これが性格が全く違う人物になっていて、見事な演じ分けがなされている。時間差による多角群像劇はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『アモーレス・ペロス』やクエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』に通じるものがあり、これを時間軸違いや奇抜さに頼らず、ジェイソン・ステイサムの演じ分けとヒルの心境、襲う側のクライム・サスペンスで見せている。

(c)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.
(c)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.
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大規模な現金強奪というとスタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』やスティーヴン・ソダーバーグ監督の『オーシャンズ』シリーズが思い浮かぶが、その2つよりもアクションが多く、行き着くところまで行き着いており、そこの部分では前述したタランティーノの『レザボア・ドッグス』を彷彿させる。また、現金輸送の警備とは言っても銃の所持や入社テストなどかなり特殊な警備であるのと、警備も襲う側にもアフガニスタン等の戦争経験や軍人教育を受けた者が何人もいて、そこの所のアメリカ人を意識したバックボーンにガイ・リッチー監督らしさが見られる。

(c)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ガイ・リッチー監督の名における男臭さ、キナ臭さ、クライム・サスペンスを見事に期待通り、いや、期待以上のクオリティで見せつけられる。『ジェントルメン』や『コヴェナント/約束の救出』とも甲乙つけがたい傑作!ガイ・リッチー監督の作品が好きなら絶対絶対絶対的に必見の映画である!!

(c)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

6.エンドロールのつづき

ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP

原題:Last Film Show/製作国:インド、フランス/製作年:2021年 監督・脚本・製作・美術:パン・ナリン 出演:バヴィン・ラバリ、バヴェーシュ・シュリマリ、リチャー・ミーナー、ディペン・ラヴァル


第95回アカデミー賞インド代表に選出されただけのことはあってか、もうフライヤーからしてインド版『ニュー・シネマ・パラダイス』を醸し出しているインド映画『エンドロールのつづき』。映画の6、7割はそんな感じだが、終盤になって単にインド版『ニュー・シネマ・パラダイス』で終わらせず、しっかりと裏付けがある清々しいラストに大感動!!あらゆる意味で新しい現代のインド映画を見せてくれた!

ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP

日本映画であろうが、ハリウッド映画であろうが、それがインド映画であろうが、この映画の映画館での少年と映写技師のやりとりや映画への思いは、それはやっぱり『ニュー・シネマ・パラダイス』のような展開ではあり、見た方の大半が思わずインド版『ニュー・シネマ・パラダイス』と言いたくなる。が、映画はこうしたシーンばかりではなく、サマイの家族や学校、父親の店を手伝う様子、近所の子供らと遊ぶ風景をたくさん盛り込み、インド北西部の、まだインフラが整っていないグジャラート州の田舎町の風景をたっぷり見せる。

ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP
ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP

少年サマイは映画好きという以上に学校を抜け出したり、勝手に映画館に入ったり、盗みをしたり、基本的には悪ガキ。父親に叩かれるシーンが多いことや、学校抜け出し描写など、『ニュー・シネマ・パラダイス』よりもフランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』に非常に近いジュブナイル映画である。さらに近所の友達と遊ぶ様子は『グーニーズ』とも『スタンド・バイ・ミー』とも言える感じだし、監督も駅の列車のシーンやトロッコのシーン等である古典的な映画のオマージュを明言しているので、見方を変えればこうした名画のオマージュはいくらでも出てきそうな勢いである。

ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP
ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP

それと、この映画は至るところで教育の重要さを述べるシーンがあり、これが後半から終盤の変化に現れる。この映画は2010年という時代設定がある。そこから後半の展開から察するに、インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』というだけでなく、この映画はインド北西部の時代が変わる前と、変革期を描いた映画であることが分かる。そしてこの映画で一番重要なのが終盤、ラストである。繰り返すが、単にインド版『ニュー・シネマ・パラダイス』で終わらせなかったことは非常に大きい。映画と出会うことで田舎町のチャイ売りの少年が映画を通して途中悪さをしながらも、自分の方向性を定め成長する。少年期を、映画愛を、地域をしっかりと描き、これまでのインドのヒューマンドラマにはなかった爽やかな感動がこの映画にはある。

ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP
ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP

インド映画の先人でもあるグル・ダットやサタジット・レイを受け継ぎ、トリュフォーの『大人は判ってくれない』やトルナトーレの『ニュー・シネマ・パラダイス』へのリスペクトを存分に感じながら、現代インドを表した本作がデビュー作ということにただただ驚愕!

ALL RIGHTS RESERVED (c)2022. CHHELLO SHOW LLP

7.パーフェクト・ケア

(c)2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.

原題:I Care a Lot/製作国:アメリカ/製作年:2020年 監督・脚本・製作:J・ブレイクソン 出演:ロザムンド・パイク、ピーター・ディンクレイジ、エイザ・ゴンザレス、ダイアン・ウィースト


タイトルと介護業界関連の話というのとロザムンド・パイクが主演という大雑把な情報だけだが、監督が『アリス・クリードの失踪』を手掛けたJ・ブレイクソン監督だから若干期待がもてた『パーフェクト・ケア』。介護業界とは言え半ば詐欺まがいのビジネスで、そこからして社会派ドラマとして楽しめた上、途中からクライム・サスペンスへと変貌するまさかの展開!

(c)2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.

根幹の高齢者たちから資産を巻き上げる詐欺まがいのビジネスものとしても十分面白い。施設、病院、さらには家庭裁判所をも巻き込んだビジネスは搾取ビジネスとして良くできている。そこにはマーラとフランによる対男性社会への対抗意識も含まれていて、主人公マーラのたくましい気質からロザムンド・パイクがピッタリ。

(c)2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.

本作の本番は中盤以降にあり、詳しくは明かし難いが、よりクライム・サスペンスの様相に変貌を遂げる。中でもキーになるのがピーター・ディンクレイジ。見事な威圧感で作品を一気に別の方向へと導く。考えてみれば厳重管理の介護施設にしろ、後半のある展開にしろJ・ブレイクソン監督の『アリス・クリードの失踪』が生きてるし、主演のロザムンド・パイクも『ゴーン・ガール』やアクション映画の『アウトロー』での経験がフルに活用されている。

(c)2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.
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そしてラストまたも見事。詳しくは書けないがあれがあるから本作はまさしくパーフェクト!同じロザムンド・パイクのメインキャストの作品としては『ゴーン・ガール』以来の衝撃!

(c)2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.

8.ウトヤ島、7月22日

(C) 2018 Paradox

原題:Utøya 22. juli/製作国:ノルウェー/製作年:2018年 監督・製作総指揮:エリック・ポッペ/脚本:シヴ・ラジェンドラム・エリアセン、アンナ・バッヘ=ヴィーク 出演:アンドレア・ベルンツェン、アレクサンデル・ホルメン、ブレーデ・フリスタット、エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン、ソルベイ・コルエン・ビルクラン、マグヌス・モエン


ノルウェーの首都オスロから40キロ程の所にあるウトヤ島で実際に起こった惨劇を元にした新感覚の実録社会派パニック映画! 2011年7月22日午後にオスロで爆発テロが起こった約2時間後に、ノルウェーの労働党青年部主催のサマーキャンプが行われているウトヤ島で何者かによる銃乱射事件が発生し、主人公カヤ他若者たちは狭いウトヤ島内を逃げ惑うことに。カメラは事件発生10分前ぐらいからほぼノーカットの一発撮りで撮影される。

(C) 2018 Paradox

これ、2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起こった銃乱射テロ事件のリアルタイム演出の映画なんだけど、ものすごいドキュメンタリータッチでかつ斬新なシチュエーション・スリラーだった!この映画においては銃を乱射する犯人はほとんど映らず、ウトヤ島でキャンプを楽しんでいた若者たちがデカい発砲音が響く中、島中を逃げ惑う。主人公の少女カヤの視点で、ドキュメンタリータッチで恐怖の72分間をワンカットで描く。

(C) 2018 Paradox

銃乱射テロリストによるパニック映画、というかいわゆるソリッドシチュエーションスリラーと言って過言ではない。テロリストが見えないが迫る銃声は恐怖の対象としては迫力充分で、見事に「恐怖」と「パニック」を描いている。迫り来る銃声はまさしく迫り来る死であり、若者たちは文字通りに阿鼻叫喚しつつ逃げ、隠れる。こうしたパニック状態で人が取る行動・言動のリアリズム500%!明らかに「そんな所に隠れたら死ぬよ」と思える所に身を潜め、隠れ、逃げ惑う他者を見て「やっぱり逃げなきゃ」とまた逃げる。ゴア描写が比較的少なくはあるが、迫り来る恐怖とその状況での「人間」については完璧に描いている。

(C) 2018 Paradox

事件が起こるまでの10分ちょいが若干地味、というか『13日の金曜日』シリーズなどでよく見られるような若者たちのサマーキャンプだが、これはノルウェーの労働党青年部主催の恒例かつ伝統のサマーキャンプだそうだ。つまり、治安的にも絶対的な安全なはずのキャンプで起きた予期せぬ大惨事、という背景がある。ドラマもなくはないが、とにかく阿鼻叫喚、恐怖、極限のシチュエーションを見せつける。土だらけになりながら地面に這いつくばうようにかくれ、ずぶ濡れになりながら入り組んだ海岸を逃げ、隠れる。基本は息を潜めているが、時にはスマホで警察に通報したり、家族に連絡をとったり、ひそひそ声で話し、励まし、不安の声を口にする。そんな中でも野郎は野郎で女にナンパをしたりし男の本能を見せる。

(C) 2018 Paradox

派手なアクションやドラマチックさこそはないが、ひたすら恐怖とサバイバルでスリル満点。恐怖の対象は違うが『オープン・ウォーター』、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』、『クワイエット・プレイス』、『ドント・ブリーズ』に通じるものがありながら、実話ベースのフィクションだけあってそのどれよりもリアルでヒューマニズムに溢れている。これぞ真の恐怖である!!

(C) 2018 Paradox
(C) 2018 Paradox

 9.C.R.A.Z.Y.

©2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

原題:C.R.A.Z.Y./製作国:カナダ、モロッコ/製作年:2005年 監督・脚本:ジャン=マルク・バレ/脚本:フランソワ・ブーレ 出演:ミシェル・コーテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルール、ピエール=リュック・ブリヤン、エミール・ヴァレ


2021年に亡くなった『ヴィクトリア女王 世紀の愛』や『ダラス・バイヤーズクラブ』を手掛けたフランス系カナダ人の映画監督ジャン=マルク・ヴァレが2005年に作った伝説的な青春映『C.R.A.Z.Y.』。主人公が生まれてから大人になる約20〜30年を描いた壮大な青春成長期で、父と子、兄弟や母、恋人との繊細な葛藤を描きながら、時代の音楽でポップに彩る秀作である。

©2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

日本で言えば『青春の門』みたいな作品だが、流石にあそこまで重さ・暗さはなく、近い時期に作られたイタリア映画『輝ける青春』(6時間ある超大作)の方がテイスト的には近い。敬虔なクリスチャンの家庭で、1960年代から80年代という時代を描きながら、その時代その時代の事件・ニュースや各キャラクターの仕事や学校といった事柄は最小限に、主人公ザックの影響を受けたものとライフスタイル、父と兄アンソニーを中心に、母、他の兄・弟、近所の幼馴染、従兄妹などといった人との関係性を見せた青春映画になっている。

©2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

その中でも一番時間を割いているのが主人公ザックの性に関することで、これが一番のテーマである。昨今の言葉で言えば「性の多様性」になるが、その描き方がフランソワ・オゾンやガス・ヴァン・サントみたいに極端にLGBTに特化したものではなくて、非常に緻密な描き方である。それはカトリックという宗教の道義的なもの、主人公の親世代の「家族」や「世間」の価値観といった外側からの視点と、ザックの女性観、好み、趣味から由来する内側からの視点と両面から描く。なので、完全なGではなく、どちらかといえばとか、男子なら誰にでもありえそうな経験を捉えたもので、そこに完全なLGBT映画よりも共感・好感が持てる。結局の所はそうじゃない人にとっては五十歩百歩で、その対応は『ブロークバック・マウンテン』でも見られた前時代的な価値観で、そこの部分の時代性は正確であったとうかがえる。

©2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

これと、父子におけるあるエピソードから起こる断絶もポイントの一つ。この断絶の構図は『エデンの東』のそれに通じる普遍的なもの。『エデンの東』と違うのはそこに音楽をアイテムとして絡ませていること。この溝埋めを父子の共通の趣味である音楽を巧みに使う。映画のタイトルは5兄弟の頭文字から取っただけではなくパッツィー・クラインの「クレイジー」にも被らせたダブルミーニングになっていて、このアナログレコードがキーにもなっている。他にも各パーティーシーンで父が必ず唄うシャルル・アズナヴールの「世界の果て(Emmenez-moi)」も味がある使い方である。他にもデヴィッド・ボウイやローリング・ストーンズ、ピンク・フロイドなど、センスの良さと時代性を出したチョイスで雰囲気が良い青春映画になっている。

©2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

行ったり来たり、つかず離れずの末に着地点の読めなさではポール・トーマス・アンダーソン監督の『リコリス・ピザ』やヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪。』に勝るとも劣らない傑作。性の緻密な表現はひょっとしたらフランソワ・オゾンやガス・ヴァン・サント、ペドロ・アルモドバル以上かも。上記で挙げた作品や監督が好きなら見ておいた方がいい。

©2005 PRODUCTIONS ZAC INC.
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10.心と体と

2017(C)INFORG - M&M FILM

原題:Testről és lélekről/製作国:ハンガリー/製作年:2017年 監督・脚本:イルディコー・エニェディ 出演:ゲーザ・モルチャーニ、アレクサンドラ・ボルベーイ、レーカ・テンキ、エルヴィン・ナジ


映画を見る前の情報がハンガリー映画で2017年のベルリン国際映画祭の金熊賞作品というぐらいしかなかったから、いまいちシズル感が沸かないフライヤーや予告編だったが、見てびっくり! 屠殺場兼食肉処理・加工工場での人間模様と初老のでバツイチの男と美人だけど自閉症スペクトラムの女性の恋愛映画で、しかもエロい恋愛睡眠映画だった!

2017(C)INFORG - M&M FILM

ハンガリー郊外の屠殺場兼食肉処理・加工工場の財務部長のエンドレはある日夢で鹿になった夢を見る。するとひょんなことから新入りの検査官マーリアも同じ夢を見ていることが分かり、お互いに意識するようになる、という展開。自閉症スペクトラムで周りから不思議ちゃん扱いを受けるマーリアと片腕が麻痺した初老のエンドレが少し意識をする関係になったのが「同じ夢を見る」という現象だが、これがシュール。夢で恋愛という構造自体はミッシェル・ゴンドリーの『恋愛睡眠のすすめ』や『エターナル・サンシャイン』でもあったが、それよりもリアリティ。それと、つながる、現実とは違う自分になるという発想は『アバター』や『レディ・プレイヤー1』をちょっと彷彿させつつ、鹿になるという動物変身願望は『ロブスター』などいろんなものがダブる。

2017(C)INFORG - M&M FILM

ストーリーの展開そのものは工場内の人物相関、ある事件、色恋模様とシンプルだが飽きない。舞台が屠殺場&食肉加工工場という比較的ブルーカラーの世界だが、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督作品みたいに必要以上に悲壮感や悲哀はなく、動物の屠殺に『いのちの食べかた』的なものを感じたり、働く男女が色恋ごとのみに興味が集中する職場にどこか動物的なものを感じたりする。

2017(C)INFORG - M&M FILM

後半に裸体やセックスの描写はあるが、それ以上に映画全体がエロいフェロモンでムンムン。女性の服装からチラチラする胸や髪型、化粧、女性を見つめるようなカメラワークなど、覗き見や凝視視線でとにかくエロく見せ、感じさせてくれる。例えば前半に出てくる心理カウンセラーなんかも胸をちらりとさせながら「初潮はいつ?」とか「初めての自慰は何歳?」とか卑猥なことを訊いてくる。かつての故ミケランジェロ・アントニオーニの作品や最近ならスペイン映画『シルビアのいる街で』に通じるエロス。決してピンク映画ほどの直球ではないが、じわりと丁寧に淡いエロスである。

2017(C)INFORG - M&M FILM
2017(C)INFORG - M&M FILM

全体的に青や緑、赤の入れ方にアキ・カウリスマキに通じる映像に、1曲ながらも見事な選曲センス、マーリアが部屋で1人でいる時のレゴ人形遊びなど、派手さはないが絶妙な演出のセンスを見せる。食べるシーンや性に繋げる、または性表現が多い辺りに元東側の国だったハンガリーらしさを感じつつ、ハンガリー映画『タクシデルミア ある剥製師の遺言』に通じるハンガリー人のDNA的なものをふと思わせてくれた。

2017(C)INFORG - M&M FILM
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芯になるのは地位はあるけど片腕で年老いたナイーブな男性と自閉症スペクトラム美人という難儀な恋。これに上記で挙げた演出の良さでコーティングされ、意外にも野郎向けな映画である。人気俳優の娼婦もどきの映画よりも遥かにエロチックなロマンス。これぞ映画のエロスだ!!

2017(C)INFORG - M&M FILM

如何でしたでしょうか?

この10本のチョイスは基本的にはここ何年かの年間マイベストテンに入ってる作品だけど、この内『エンドロールのつづき』と『ウトヤ島、7月22日』、あと『C.R.A.Z.Y.』はその年のベストテン入りはしてないが、5点満点評価で、何かの機会に紹介できればと思って今回チョイスしました。特に『C.R.A.Z.Y.』は日本公開は2022年だったけど、2005年の作品だしな…ということで年間ベストテン漏れをした映画だけど、そこが関係なければギリギリのベストテン入りをしたかも。

あとショーン・ベイカー監督作品の『レッド・ロケット』なんだけど、公開当時はホント、注目度が低くてね。何しろカンヌ国際映画祭のコンペ部門での上映が2021年で、そこから日本公開に3年もかかっている。まぁ、この時のカンヌでは無冠だったし、キャストでもこれといった売りがなかったから、その前の『タンジェリン』や『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』から追ってるショーン・ベイカー監督作品ファンしか来なかったからね。それと、最後にチョイスしたハンガリー映画『心と体と』は、2018年公開当時、ミニシアター界隈ではちょっとざわついた映画だった。

で、全部ミニシアター映画かというとそうではなく、『アウトポスト』と『ガンパウダー・ミルクシェイク』、『キャッシュ・トラック』、『パーフェクト・ケア』は当時シネコンで見た作品。シネコンでも探せばこうした作品は見れます。

ということで、U-NEXTで今回紹介した作品を見て、お近くのシネコンでも「注目度は低いけど良作かも…」という映画に出会えれば幸いです。

 

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1 件の返信 (新着順)
椿五十郎 バッジ画像
2025/04/03 14:00

こう見ると、本当にいろいろな作品がありますね!!
多分知らなくてスルーしどうだけど、観てみたくなる作品が結構紹介されてました
観てみようと思います
ご紹介ありがとうございます


じょ〜い小川
2025/04/03 14:22

椿さん、ありがとうございます!
邦画インディー/商業映画1〜3作の監督作品を上映することが多いシネマ・ロサで、ハンガリー映画『心と体と』を見ましたね。
なので、『カメラを止めるな!』や『侍タイムスリッパー』と同じシネマ・ロサブランド(?)と考えればまた味わいが違うかも。

…調べたら、『心と体と』の公開当時のヘッド館は新宿シネマカリテだったみたい。