華麗なヘップバーンの「パリの恋人」
◆はじめに
ジャズ・ヴォーカルを勉強していたころには、多少、古いアメリカ映画をみていたので、このミュージカル映画「パリの恋人」は、舞台がパリでもあり、興味を持っていた作品の一つ。サントラ版のピンク一色のCDジャケットも素敵で、結構、ぎりぎりまでCDは手放さずにいた。
ダンスシーンという意味では、「雨に歌えば」等もあるけど、フレッド・アステアに関しては、とても優雅でダンス向きな体型でもあり興味があった。
◆「パリの恋人(Funny Face)」(1957)
「雨に唄えば」などミュージカル映画の名作を多く手がけた、スタンリー・ドーネン監督が、オードリー・ヘプバーン&フレッド・アステア共演で描いたシンデレラ・ラブストーリー。ニューヨークのファッション誌「クオリティ」の編集長から新人モデルを探すよう命じられたカメラマンのディック(アステア)は、古本屋で働く女性ジョー(ヘップバーン)をスカウトする。ジョーは崇拝する哲学者フロストル教授が暮らすパリへ行けると聞きモデルを引き受けることに…。
◆◆この作品とオードリーの魅力
[ダンス、ファッションのコンテンツ満載!]
オードリーは、やせて、目もとパッチリの可愛い女優さんだけではなく、ダンスの方も本格的に勉強していたという意味で、このミュージカルでは、お得意のダンスも披露できる重要な機会になった。
ファッションも、「麗しのサブリナ」以来のジバンシーのデザインが用いられ、ファッション誌のモデルにスカウトされた新人が、最後のデザイナーのコレクションでも多数の新作を纏い、ファッションを披露してくれる。帽子美人でもあるオードリーのファッション写真は華麗すぎる。
[昔、ファッションイラストを少し習っていた際に、オードリーの写真をもとにデザイン画を作成していたなあ・・・]
相手役になったフレッド・アステアとは年齢差も大きいが、オードリーは年齢差の大きい男優さんとも、媚びないで、対等に向き合える姿勢が素晴らしい。
「Think Pink」をみんなが歌う元気がでるシーンは古さを感じさせないし、コミカルながら、センチメンタルさもあり、スタンリー・ドーネンのおしゃれな味付けには脱帽する。
◆ファッション
★花市場での撮影
シテ島の花市場での撮影には、花柄のドレスが溶け込んでいる。
【参考情報】ご逝去されたイギリスのエリザベス女王は、2014年に、第二次世界大戦中の米英などの連合軍の勝利を決定づけたノルマンディー上陸作戦から70周年記念式典に参加された折に、この花市場に再び行きたいと言われ、再度の訪問を記念し、パリ市はこの市場の名前を「エリザベス二世花市場」としている。
★ウェディングドレスで華麗なダンス
もう清楚なウェディングドレスをまとっている姿は、言葉もなく美しい。ラストで教会の庭での華麗なダンスシーンが披露される。
★ルーブル美術館/ファッションショーでの写真
◆ガーシュインのジャジーな楽曲(ピンクのCDジャケット)
CDでは、オードリーも数曲を歌っている様だが歌も上手だと思う。作品で流れてくるのは、「パリのアメリカ人」で人気の、ジョージ・ガーシュインとアイラ・ガーシュインのコンビの作品が歌われる。
ラストシーンに歌われる「S‘wonderful(ス・ワンダフル)」は、女性ヴォーカルではアップテンポで歌われることが多いが、映画では、二人が愛を認めたクライマックスのシーンで歌われるので、スローでたっぷりと歌われる。
◆関連作品
★「オードリー・ヘプバーン(Audrey)」(2020)
若い頃にダンスを目指していたことも話題に上がっていたが、世界中の人々から愛される永遠の映画スター、オードリー・ヘプバーンの知られざる素顔に迫るドキュメンタリー。幼い頃の辛い戦争体験や父親との関係、後年のユニセフ国際親善大使としての活動など、華やかな女優としての活躍の一方で、一人の女性として人生を全うしたオードリーの生い立ちを辿りつつ、彼女をよく知る関係者へのインタビューを通してその本当の姿を明らかにしていく。