若き日の見習いのドナルド・トランプとAIDSが流行った80代半ばのニューヨークの風景『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
■アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方

《作品データ》
後にアメリカ合衆国大統領に就任する政治家、実業家のドナルド・トランプの若かりし頃のエピソードを取り上げたヒューマンドラマ。ドナルド・トランプはある夜、政財界の高級クラブでマッカーシズムで名を馳せた弁護士ロイ・コーンと出会い、彼に気に入られ、「勝つための3つのルール」を伝授し、徐々に変わっていく。一方、クラブで出会ったチェコスロバキア出身のファッションモデルのイヴァナに一目惚れをし、何度もアプローチを試みる。ドナルド・トランプ役をセバスチャン・スタンが演じ、他ジェレミー・ストロング、マリア・バカローバ、マーティン・ドノバン、キャサリン・マクナリー、チャーリー・キャリック、 ベン・サリバン、マーク・レンドール、ジョー・ピングーが出演。
・1月17日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー【R15+】
・配給:キノフィルムズ
・上映時間:123分
【スタッフ】
監督・製作:アリ・アッバシ/脚本:ガブリエル・シャーマン
【キャスト】
セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローバ、マーティン・ドノバン、キャサリン・マクナリー、チャーリー・キャリック、 ベン・サリバン、マーク・レンドール、ジョー・ピングー
原題:The Apprentice/製作国:アメリカ/製作年:2024年
公式HP:https://www.trump-movie.jp/
《『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』レビュー》
第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされた時から気になっていたセバスチャン・スタン主演、アリ・アッバシ監督作品『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』。1970年代から80年代の実業家時代のドナルド・トランプを描いた映画で、
若き日のドナルド・トランプとその周辺を描いた実業家のドラマである。

映画は1976年頃にドナルド・トランプがロイ・コーンに出会ってから、1980年代後半まで描かれている。「トランプ・オーガナイゼーション」の副社長ではあったが、気弱な性格で、悪戦苦闘をするも、ロイ・コーンとの出会いから徐々に変貌を遂げる。後に大統領にもなったトランプのまさしく見習い時代を描いている映画で、タイトルに偽りなく、トランプの原動力というか定礎を見る感覚になる。


それも弁護士ロイ・コーンとの師弟物語とファッションモデルのイヴァナとの不利な状況からの恋愛アタックエピソードを交互に展開。ロイ・コーンの教えと彼の周辺の世界は『バリー・リンドン』の前半パートの中盤以降や『アイズ・ワイド・シャット』の極秘のクラブのくだりに近い雰囲気がありながら、1970年代後半から1980年代のニューヨークのセレブリティの世界を上手く再現している。

それは
中盤から見られる当時のニューヨークのAIDS蔓延の様子も重要な登場人物が関わるからしっかりと描き、そこが映画の分岐点にもなっている。
このAIDS蔓延は80年代半ばに日本でも話題になっていたし、80年代半ばから後半のニューヨーク、それも夜の世界はドラッグやゲイ・カルチャーの流行りと共にAIDSの恐怖というのもつきまとった。このあたりの描写は良く出来ていた。
加えて、そこからドナルド・トランプに「冷酷さ」というのも学んだ様子で、これが後の大統領政策にも繋がっている。

若き日の見習い時代のトランプを描いているのは確かだが、毒気は思っていたよりはなく、実業家のサクセスストーリーで終わっているので、それはそれでいい反面物足りなさはある。
それでもタイトル通りのことと時代は描けているから、悪くはないし、興味がある方はとりあえず見た方がいい。

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投稿を表示現役の大統領の過去を赤裸々に?映画化してしまうところがアメリカらしいと言うか…すごい国ですよね😅💦