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私の好きな映画

紗柚梨
2024/01/30 21:25

わたしの好きな映画「わたしの幸せな結婚」

シネマニストとして初めて取り上げる「私の好きな映画」は、大好きな塚原あゆ子監督の作品、
「わたしの幸せな結婚」について書きたいと思います。

 

(c)2023 映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会

 

初めてこの作品のことを知ったのは映画館で見た予告編で、
予告冒頭を見た段階では“今人気の俳優さん2人の恋愛もの“ “恋愛映画からは遠ざかっていたけれど
政略結婚ものはちょっと気になるかも“程度の気持ちでした。
でも、監督が塚原あゆ子監督と出た瞬間、期待値は爆上がり!
塚原監督が撮られているなら、心情が細やかに描かれてきっと素敵な作品なんだろうなと、
公開されたら絶対観にいこうと決めました。

 

ただ、公開直前のタイミングは忙しくしていたため番宣やイベント映像をほとんど見られず、
予告編映像だけの情報で観たのですが、観てみると、良い意味で「思っていたのと違う」でした。
すっかりその世界観にハマってしまい、観終わった後はパンフを買い、公式SNSを見まくり、
数日後には2回目を観に行きました。
(実写映画で、同じ映画を映画館で2度観るのは初めてです!!)
そして、良い作品に出会うと、出演されている俳優さんのファンにもなってしまいますが、
もれなく、目黒蓮さん、今田美桜さんのファンになってしまうほど。

 

では、「わたしの幸せな結婚」にどんな魅力があってそこまでハマったのか
4つのポイントを紹介したいと思います。

 

①ファンタジーの世界へぐっと没入できる冒頭の演出
本作は「異能」という特殊能力を使って異形(妖)を倒すというファンタジーの世界のストーリーですが、これぞ塚原監督というような冒頭1-2分の映像美と、ダンスを使ったギミックが異様さを感じさせ、これから始まる・・・!という期待感とともに、ぐっとその世界観に惹きこまれます。
ファンタジーものって、その世界観に入り込めるかどうかが鍵になると思いますが、
映画を見終わった後には「映画の世界にすっかり没入した」という感覚になりました。

私は原作を読まずに映画を見たので、ファンタジーの世界のストーリーとは知らず・・・
単なる政略結婚ものじゃないんだという、良い意味での驚きもあってよかったです。
(ちなみに、映像美やギミックは全編を通して至るところで見られます)

 

②明治・大正時代ならではの"きゅん”
個人的に恋愛ものは、気持ちのグラデーションがしっかり感じられるくらい、ゆっくり距離感が縮まるストーリーが好きなので、2時間の恋愛映画だと、どうしても2人が「好き」になるまでのスピード感を速く感じてしまうことが多々あるのですが、わた婚は「明治・大正を思わせる時代」という設定で、政略結婚もの。
現代の恋愛とは全く異り、ほんとに徐々に、徐々に2人の距離が縮まっていくのを楽しめました。
また、この時代設定だからこその夫婦(婚約者)のやり取りに「きゅん」を感じます。
美世(今田美桜さん)が清霞(目黒蓮さん)を「旦那様」と呼んだり、旦那様の髪を結ったり、
一歩下がって歩いたり。清霞が(美世を守るために)「私の指示に従え」と命令口調であったり。

現代ものだと、女性が一歩下がって・・・という表現や命令口調は、ハラスメントとか時代遅れ感とかが気になって現実に立ち戻ってしまうのですが、この時代設定だと、素直にきゅんとしてしまいます。中でも私が一番きゅんとしたのは、清霞が車のドアを開け、美世の手を握って車から出し、ドアを閉めるシーン。清霞の佇まいに守っている感というか、「旦那様感」を感じるのです。

 

(c)2023 映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会

 

③目黒蓮さん×今田美桜さんの繊細な演技
これが何度も何度も観たくなる理由の1つなのですが、お2人ともお互いの言葉、表情にしっかり反応されていて、所作と所作の合間に微妙な表情の変化・気持ちの変化が感じ取れるのが素敵です。
「今、清霞はこう思ったんじゃないか」「美世はこう思ったんじゃないか」という想像(妄想?)に駆り立てられる楽しさがあり、観るたびに新たな発見があったりもします。
メイキングでは塚原監督が2人に「もっとお互いにシャープに反応できると良い」と演出されている姿が映っていましたが、モノローグがなくても何を思ったのか想像できる表情変化を繊細に入れられていて、本当に役の気持ちを丁寧に演じられているんだなと感じました。

また、目黒さんと今田さんのペアリングの良さ、ビジュアルだけでなく、
纏っている雰囲気や演技に関しても相性の良さみたいなものを感じ、きゅんとしました。

 

(c)2023 映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会

 

④映画を彩る音楽と建築
塚原監督の作品といえば、音楽(劇伴)の使い方が絶妙で、
使われる音楽とシーン、キャラクターの心情がリンクして、とてつもなくエモーショナルになる!と

感じているのですが、わた婚も例に違わず、でした。
特に印象に残っているのが、清霞が異能を使うシーンと、清霞と美世が2人であんみつを食べるシーンの音楽。清霞が異能を使うシーンは音楽によって「(かっこいいシーンが)きたー!!!」とわくわくしますし、あんみつのシーンのシーン自体も、音楽もとっても可愛くて、その相乗効果は言葉では表せません!

また、撮影はオールロケということで、重要文化財で撮影できたのがありがたかったと塚原監督も、キャストの皆さんもインタビューでおっしゃっていましたが、大正時代を感じさせる建物が、レトロな建物好きにはたまらなかったです!

斎森家として使われた三重県桑名市にある六華苑には先日行ってきたのですが、他のロケ地も全部行ってみたいなと思うくらい、素敵な建物ばかり使われていました。

 

個人撮影(六華苑)
個人撮影(六華苑)
個人撮影(六華苑)

 

以上が「わたしの幸せな結婚」にハマった4つのポイントです。
細かいところを挙げたら4つには書き収まらないくらい、まだまだあるのですが笑

最後に、続きがありそうな終わり方でしたし、原作もすでに続編前後編分作れそうなくらい
お話が続いているので、続編の制作に期待したいです。