『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』キャスティングの妙
【ジョーカー:フォリ・ア・ドウ】JOKER: FOLIE A DEUX
PG-12/ワーナーブラザーズ映画
2024年10月11日公開-138分-サスペンス
《CAST》
ホアキン・フェニックス/アーサー・フレック
レディー・ガガ/ハーリーン・クインゼル
ブレンダン・グリーソン
キャサリン・キーナー
ザジー・ビーツ
《STAFF》
監督 : トッド・フィリップス
音楽 : ヒルドゥル・グーナドッティル
制作国 : アメリカ
《STORY》
5人を殺害するなどした罪で勾留中のアーサー・フレック。ある日、音楽療法のプログラムを受けていた彼は、そこで謎めいた女性リーと出会う。彼女との交流をきっかけに、アーサーの中で抑え込まれていた狂気が再び暴走を始めるのだったが…。(allcinemaより引用)
多分、評価が賛否両論なのはミュージカル調だからだけじゃない。
多くの人が観たかったジョーカーじゃなかったんだろう....。
前作だってバットマンのジョーカーとは別物なのもわかっていたし、救いのないストーリーだった。だから、人によって評価も極端だった気がする。
ただ前作は、終盤にあのダークヒーロージョーカーが誕生したと思われる瞬間を見たし、希望も見えた。
続編では、もっともっと狂気と強さを見せてほしいと期待していたと思う。そこを期待していた人々は、これじゃない感が半端なかったと想像する。
そう、この映画は、人々が勝手に期待し作り上げた「ジョーカー」ではなく、1人のか弱い人間でしかない「アーサー」が主人公なのだ。
ただ、私はこのジョーカー(アーサー)の気持ちが痛いほど理解できる。
自分の感情をうまく言葉にできない人間にとって、感情は音楽だ。もっと言うと、人生は音楽だ。
音楽には音霊がこもっていて、楽しい気持ちになったり、せつない気持ちになったり、昔を思い出したり、気持ちが良くなったり....
音楽は人生を豊かにしてくれるツールの一つだと感じる。
そして心のこもった歌詞に音が命を吹き込むと、多くの人に共感され感動を与えることができる。
アーサーは自分の感情を長い間ずっと心にしまい込んで生きてきたからこそ、それを口に出すことができない。
その想いを、心の丈をすべて歌によって表現しているのだ。
子どもの頃、母親の求めている答えと違う本当の気持ちを口にすると、いつも激しい暴力を振られていた。
冗談抜きで365日怒鳴られて殴られてたけど、私にはなぜなのか意味がまったくわからなかった。
でも、殴られたり、無視されたり、家から閉め出されたりするのが嫌だったから何も言わなくなり、いつもいつも母親の顔色を伺っていて本心が言えなくなった。
父は何もしないけど、お酒やお金のトラブルが多くて、あまり家族に関心のない人だった。
私も、別に良い人ではない。
意地悪な気持ちもあるし、ズルいところもある。誘惑に弱くて怠け者である。承認欲求も強い。
だけど、そういう黒い私を出すことを母は許さなかった。
そんな子どもの頃の私が唯一、心を癒せる時間が空想であり、映画であり、音楽だった。
辛くてたまらない時、何時間でも空想の世界に入り込んでいた。空想の世界では惨めな自分ではなく、なりたい自分になった。
楽しすぎて現実がどちらなのかわからなくなってしまうこともあった。
映画を観てると、現実には起こらないような奇跡が起こる。
そんな奇跡が起きるのではないかと信じていた。
音楽を聴くとやりたくない事をしないといけない時も楽しくできた。いつもいつも聞いていた。
ずっとそうやって生きていると、知らない間に怒りが溜まって暴力性が強くなっていた。
夢の中で敵と戦っている時、そこまでする?というくらいやっつけてしまう。
自分の思った通りにいかないと、激しい怒りがわいてくる事もある。そして、涙も出ない。
その後も20代前半まで母はずっと心の重荷だったけど、闘病して亡くなった。
だから今の私はこんな酷い状態じゃないけど、アーサーはずっと母親の呪縛から逃れる事ができなかったのだろう。
異常なほど自己肯定感が低くて、心の中は「もうこれ以上、惨めな気持ちにさせないで!」と泣いてるから、傷つきたくなくて、本当の自分を隠しジョークでごまかす。
だけど本心では...「たった一人、自分をずっと信じて寄り添ってくれる人がいてくれたら」って願っている。
アーサーがなりたいと思ったのは「ジョーカー」でも、本当に存在していてほしかったのは「ハーレイ」なのだと思う。
ハーレイは、もう一人のジョーカーであり、ジョーカーの心が創り出した幻影なのかもしれない。※公式ポスターのハーレイの表情から見ても、ハーレイは精神世界のジョーカーの役割を担当していると思われる。
こうなってほしかった...と言う終わり方はあるけど、それは残酷なリアルがある事を否定する事になるのかもしれないと感じた。
美的センスのある色使い、歌やダンスの表現の素晴らしさはガガ様をハーレイにして大正解だと思った。ガガ様の生い立ちや少女時代の経験を見ても、こういった影のある役はじつにハマり役だと感じる。
そして、ホアキン・フェニックスの素晴らしい演技…。この悲しみのジョーカーを演じられる人はホアキン氏しかいないと強く思う。さらに「ボーは恐れている」からの身体の変化は衝撃であった。
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投稿を表示U子さんの投稿拝見し、ジョーカーとハーレイ、二枚貝のように合わさるふたりの在り方を改めて感じました
たった一人でも自分を信じて寄り添ってくれる人がいてくれたら
アーサーの願いもまさにそれだったと思います😭
あの恋の走り出し方、そして落ち方も…胸が痛いほどでした
あと💦
「ボー」からのボディ変貌👀
ホント驚愕でしたね!
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