2025年に観た映画(56) 「金髪」

巷の評判がイマイチなので、直前まで観に行こうか悩みましたが、結論から言うと私は面白かった。観に行ってよかったです。
ある日突然、クラスの大勢が金髪で投稿してきたら・・・唐突に始まるこの“事件”に巻き込まれる担任教師市川(岩田剛典)のモノローグ(というか愚痴)に全編支配された本作。教師でありながら教育に1ミリの信念もなく、周りからは能天気に見られがち。空気が読めない一方で、状況把握力と処理能力はそこそこあるので仕事が出来ないわけじゃない。
このキャラクター設定がなかなかに見事で、坂下監督の度重なる推敲の成果ではないかと思えました。また岩田君がこのキャラを絶妙に演じ切ってもいる。
この作品の魅力は、一つには主人公市川先生のモノローグと会話劇であって、彼と対峙する彼女だったり大学時代の友人だったり市の教育委員だったりと交わす中身の薄いやりとりを、最後まで楽しめました。これがつまらない人は、本作を選んだことを後悔するしかないかと。
そしてもう一つは、やはり金髪騒動。市川先生は「これは、金髪の話ではない」と冒頭言い放つも、本作のモチーフであろう校則を巡る対立を、ちゃんと正面から描いてもいます。主犯の板緑(白鳥玉季)と市川の、口が立つ2人が繰り広げるディベートには、横入りしたくもなりました。生徒の抗議活動は最後まで興味深く推移し、登場せざるを得ないSNSやマスコミは、どうしても既視感のあるステレオタイプな描写に陥りがちですが、上手いこと脇に追いやっているように思えました。劇中流れる世武裕子さんの挿入曲も印象に残りました。
同時期に公開された2本の坂下監督作品を両方観ましたが、私的にはこっちの方が断然面白かったです。
№56
日付:2025/12/7
タイトル:金髪
監督・脚本:坂下雄一郎
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN7
パンフレット:あり(¥1,000)
評価:6


- イントロダクション/TIMELINE
- ストーリー
- キャラクター相関図
- キャスト 岩田剛典インタビュー&フォト
- キャスト・コメント
- スタッフ
- 坂下雄一郎監督インタビュー
- システムに対してアクションを起こすこと 市川の秘めた熱血を覚醒させる「他者」は誰か? 森直人(映画評論家)
- プロダクション・ノート 制作プロデューサー・インタビュー
- 「浮上、埋没、ありふれた孤独」 大島育宙(芸人/YouTuber/映画・ドラマ評論)
- シナリオ
- クレジット
