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私の好きな映画

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2024/04/28 02:08

ノスタルジックファンタジー

孤独との向き合い方

監督:アンドリュー・ヘイ

出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、クレア・フォイ、ジェイミー・ベル

映倫区分:R15

時間:105分


原作は山田太一作品


原作が日本で山田太一さんの『異人たちとの夏』こちら映画化もされてます。1988年公開、監督は大林宣彦。夏らしいホラー作品ですが、最初松竹からの依頼は、ゾンビホラー映画だったそう。都会のマンションでホラーを描く、というところは今回のイギリス版でしっかりと継承されているようです。

さて今回のリメイク版ですが、私は想像していたのとは違って、最後の展開なんかは邦画同様ホラーテイスト。そこも凄く好きだし良かったですねー。家族愛で展開しつつ、それで終わらない。それに題名も良い。『異人たち』が外国人?と最初思ったけれど、かなり最初の展開で、既に亡くなった両親だとわかる。あぁ、そーゆう異人ね、ってゆう。


主人公をゲイにした今作品


アダム(アンドリュー・スコット)は物書き。1人アパートに住んでいるゲイ。そこに突然あらわれた、ハリー(ポール・メスカル)『静かすぎる、このアパート俺たちしか住んでないんじゃないか?』酔ってる初対面の男性、いくら同じ男でも怖いだろうな。もちろん、訳がわからないしお断りしたアダム。でも、実は気になって後日しっかり、メイクラブ。

この濡れ場はかなりリアル。だからR15なんだな。

公園を散歩して出逢った男性についていくと、そこは自分が生まれ育った家だった。こうして不思議なんだけど、若い両親に出会えた事が嬉しくて、あっという間に状況を受け入れるアダム。この異空間とハリーのいる現実を行き来する。


異人は両親だった


この最初に両親と再会し、自分が小さい頃の話をしているシーンで既に涙腺崩壊。そうなのです、この作品はつい自分を投影してしまい、勝手に涙が溢れ出すシステムとなっております。あぁ、私の子供の頃を知る人がどんどんと減っていく年齢なんだなぁ、と思わず切なくなってしまう。

自分の親、子供、家族を思う気持ち。

あの時の後悔、懺悔、感謝。今だから言える言葉。本当に素直な気持ちに気付く、その場面達に何度も泣かされます。

私も子供達が大きくなってきていますが、たまにふざけて一緒の布団に入って来たら、狭い!と言いつつずっと居ても良いぞ、って思っちゃう。最初に触れたようにアダムのゲイとしてのしこりの表現が、非常に秀逸。ゲイだから孤独な訳じゃないって台詞には、思わず唸ってしまった。

じゃあ、この孤独は、一体何処から来るのだろうか。小さい頃に親を亡くした境遇だから?はたまたゲイとして生きているから?


過去をやり直すだけじゃない展開


また、時代設定が何となく曖昧で、ハリーとアダムは90年代と言われても通るし、今だとしてもおかしくはない。また、両親は自分達が死んでいる事はわかっているけれど、即死か尋ねたりして、たまに見えるコミカル要素も良い。

両親との交流は、自分の現実と向き合う事に繋がり、実は手放しでは喜べなかったり、ゲイとしての苦しみと孤独の再確認を、アダムはハリーを通して見ていたと思います。何故、アンドリュースコットはアカデミーとかノミネートされなかったの?レベルで素晴らしかった。

映像はオシャレで、キュって切なくて泣いてしまうのに、暖かい気持ちにもなりました。

クスッとしてゾワっとして、実はラストについては、考察なんかもしちゃえる、凄い作品なのでした。R15指定で男性同士の絡みがありますので、そろそろ上映回数や時間が変わるようなので、気になる方は早めにご覧下さいね!

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