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2024/06/21 08:02

【朽ちないサクラ】原廣利監督インタビュー / 「中心としてはエンターテイメント」

Discover usの「Dポーズ」 / 左:中谷元、右:原廣利

Summary

柚月裕子による警察小説が原作となり、映画化される『朽ちないサクラ』。

今回、監督である原廣利に、原作との描かれ方の違いや、本作の魅力を聞いた。(取材 / 中谷 元・上田 晃大・ダイスケおじさん、文 / 中谷 元・上田 晃大)


――本作は複合的な意味で「ものすごく深い・・・」と多々感心させられた作品でした。監督は本作を観るにあたって、どのような思いで観てもらいたいですか?

原:本作は主人公の一言の“失敗”から親友を亡くしてしまい、後悔するところから始まる物語です。やはり一度失敗をすると、全員が叩くというのが世の常ではありますが、失敗を犯した人が何か前に進もうとする姿勢を加えたいという想いがありました。見守りたい、応援したいという思いでこの映画はスタートしましたので。本作の軸はそういった思いがありながらも、謳い文句としては“重厚なサスペンスミステリー”と言われています。僕の中では主人公の話もありつつ、中心としてはエンターテイメントがあります。人が殺されたりするシーンもありますが、何か1人の正義・人それぞれの正義みたいなものを抱えて生きている人たちを交えて、それすらも楽しんでいただけるような作品を作りました。構えすぎずに見てもらえば嬉しいです。

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

――ありがとうございます。次はシネマニストのダイスケおじさんから質問させていただきます。

ダイスケ:本作において、お気に入りのカットや何度も観てほしい場面があれば教えてください。

原:お気に入りのカットは、ラストのカットです。主人公の泉(杉咲 花)が未来に向かって歩いていくカットです。当初、泉(杉咲 花)の表情が見える“正面から捉えたカット”をラストとして想定していましたが、「少し違う」と感じました。その後も泉(杉咲 花)と並走して、何度か撮影をしていましたが、カメラの動きと合わずうまくいきませんでした。
日が暮れて、夕日で撮影ができる最後の機会になったときでした。杉咲さんの芝居とシーンがカチッとハマり、それに呼応するように、カメラマンも寄っていきました。撮影前はカメラマンが杉咲さんに対して寄っていく話はしていませんでしたが、芝居を捉えようとカメラが動いていたことにより、奇跡的なカットになりました。杉咲さん、カメラマン、美術部の方々全員の呼吸が合ったカットであり、映画の神様の存在を感じた瞬間で、「本当にこのカットがラストカットだ」というふうに思わせてくれました。

 

ダイスケ:屋上のシーンが印象的でしたが、屋上という場所に思い入れはありますか。

原:あります。屋上は会社員をやっていた時代に、“嫌なことがあると逃げていた場所”でした。どこか開放的な気持ちになれるのが屋上で、それに屋上は映えるじゃないですか。映える場所=屋上と、自分の中にとても刷り込まれていて、内緒話のシーンやちょっとリラックスするシーンなど、様々なシチュエーションで使えます。

屋上という場所は自分の中でとても思い入れのある場所です。
しかし、柚月先生の原作の世界は“箱の中”のシーンが多く、店の中やレストランなど。撮影するにあたって、室内が多いと感じて「何か状況を動かしたい」場面で、外に出るように書き足していました。警察署であれば屋上が良いと思い、屋上でのカットを撮影しました。

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

――本作では、物語の情景描写に“桜”がリンクしてくるシーンが多いと感じたのですが、今回の撮影は、桜の咲く春時期に合わせて撮影されたのでしょうか。

原:桜合わせで撮影日程を決めました。故意的にだとは思いますが、柚月先生の原作では、桜の描写があまり描かれていません。

私は、この作品を映像にしたときに「桜を使いたい」と思っていました。泉(杉咲 花)の心情とともに、真相が見えてくるにつれて、桜が怖く見えるように表現したかったためです。普段綺麗に見えるものが怖く見えるという、普段の見え方とは違う見え方を表現していきたいと思っていました。今回CGは一切使ってなくて、100%自然に咲く桜を撮っています。
 

ダイスケ:この先の夢や撮ってみたいジャンルがあれば教えていただきたいです。

原: 撮りたい作品はラブコメや青春映画、アクションコメディなど様々なジャンルの作品を撮ってみたいです。根幹として中心にエンタメがあり、エンタメとしての作品を撮れるのであれば、何でも撮ってみたいという気持ちです。

自分自身ホラーが苦手なため、ホラー以外の作品であれば何でも撮ってみたいです。

 

――本作の魅力を言える範囲でお願いします。

原:泉演じる杉咲さんを初めとして、萩原さん、安田さん、豊原さんそれぞれの信念を持っている正義が、それぞれのキャラクターとして存在します。それらが入り混じったときに、物語がぐっと求心力を持って進むような体感をしてもらえると、僕としてはとても嬉しいです。さらに、圧倒的に美しい桜が咲き誇っているので、桜が泉(杉咲 花)の感情とともに、お客さんにどう変わって見えるのかが、この作品の見どころだと思いますので、是非劇場でご覧ください。

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

『朽ちないサクラ』 
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2024年6月21日(金)TOHOシネマズ日比谷他、全国公開!
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©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
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『朽ちないサクラ』
主演:杉咲花
原作:柚月裕子「朽ちないサクラ」(徳間文庫)
監督:原廣利
脚本:我⼈祥太 ⼭⽥能龍
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
制作プロダクション:ホリプロ
製作:映画「朽ちないサクラ」製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、U-NEXT、TC エンタテインメント、徳間書店、ホリプロ、ムービック、nullus)
©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会
公式サイト:culture-pub.jp/kuchinaisakura_movie 
X: @kuchinai_sakura/ Instagram:@kuchinai_sakura

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