2026年に観た映画(1) 「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」
ジェームズ・キャメロン監督はこれまで「エイリアン2」「ターミネーター2」「トゥルーライズ」そして「タイタニック」と超1級の娯楽作品をコンスタントに生み出してくれているのに、「アバター」はその公開当時、観に行く気が起きませんでした。
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」公開前にリバイバル上映された「3Dリマスター」版を観賞し、改めてキャメロン監督の術中に嵌ったのでした。


既に緑を失ってしまった未来の地球から遠く離れた星パンドラで暮らす先住民と動植物との共生。登場する生き物たちは、ファンタビ・シリーズの魔法生物も真っ青なリアル感と迫力。断然こっちの方が元祖でした。
そもそもが全編完全C.G.の世界の物語なのかと思っていて、それも当時本作をスルーした大きな要因だったのだけれど、実際に作品を観て、そういうわけでもないのかと思ってしまった。そう思ってしまうほど違和感がなかったのですが、パンフレットにはパンドラの風景はすべてC.G.だと記されていました。IMAXの大スクリーンに広がる壮大なるパンドラの大地で繰り広げられる映像絵巻は、公開13年後に観ても迫力満点でした。
その一方で、他の星の希少資源を狙って侵略の限りを尽くすという、西洋人が繰り広げてきた蛮行と先住民の抵抗という構図は、今観ようが当時観ようがオーソドックスを通り越して実にアナクロで新鮮味に欠けます。キャメロン監督がどれだけ侵略者(地球人)をヒール仕立てに描こうとも、先住民のキャラクターや生活様式がほぼ未開の地の住民風なのが鼻につきました。

GEOはレンタルできるのにTSUTAYA DISCASでは扱っていなかった
監督が「僕はもう3D以外の映画を作ることに興味がない」と言っているのだから3Dで。またハイフレームレート(48FPS)なる撮影方式を採用しているとの事なので、これに対応した上映方式の映画館にて鑑賞。
上映時間はなんと192分。3時間越えの大作ながら、インターミッションも入らない。にもかかわらず、最後までダレる事なく観終える事ができました。常々感じてきた3Dメガネの弊害である画面の暗さも感じない。エンドロールで流れる白文字のクレジットをメガネを外して見てみると、装着時よりもはっきりクッキリ。なのでやっぱり暗いのだ。でも鑑賞時にはほとんど気にならなかった。ほぼほぼ眼前に広がる映像絵巻だけで乗り越えてしまう192分。ただ途中で我慢できずに離席する観客がいるのは少々問題(観賞の邪魔)。
舞台は山から海へ。先ずはここが成功要因その1で、青い海を舞台にした事で暗さの弊害が大きく減少しています。
前作では先住民族ナヴィと地球人との争いを軸に、アバターという“あいのこ”が星を守るというお話でしたが、今回はそこにナヴィ同士の人種間の軋轢も加えながら、よりマイノリティにスポットを当てていて、今のご時勢にも合致している。自分のアイデンティティに自信を持てず心揺れる者たちに、キャメロン監督は活躍の場を提供しています。
ただ「タイタニック」もそうですが、この監督の作品は心に残り続ける大切な作品になる気がしない。日本のアニメや漫画に触れてきた日本人にとって、ハリウッドのSF物で描かれる人間ドラマはどこか深みと複雑さに欠けます。今回描かれる親子の葛藤も家族構成もその役回りも、どこかで目にしたようなエピソードばかりだし、個人的な復讐劇に置き換わった地球人側の侵略手法も使い古された手口に終始しています。
前作とは異なり、もはや地球人ジェイクはどこにも登場しないので、本体はどこかにあるの?と思っていたら、どうやら前作の終わりで彼のアバターへの魂の移植が完了していたらしい。敵のラスボスの復活と共に、何でもありな未来世界のお話。
シガニー・ウィーバーが前作で死んだグレース博士の娘を演じていると言われても、いやいや本人の面影ないし。エンドロールでケイト・ウィンスレットの名前を見つけて一体どれを演じていたのだろうと(海の民のリーダーの妻)。単なる「吹き替え」ではなく「演じている」と言われても、やはりハイそうですかと肯定はし辛い(これで賞レースにノミネートなんてされたらひと騒動起きそう)。
映画を楽しんだというよりも、良く出来たアトラクションを堪能した気分でもあります。もう1回観ても良いかと自分に尋ねると、それはそれでアリな気がする(ちゃんと3時間超耐えられる気がする)。
観応えはあった、でも心には(多分)残らない、そんな作品に思えました。

最新作を観賞する上で選んだ劇場は、Dolby Cinema対応スクリーンを擁するT・ジョイ横浜。3D眼鏡をかけての観賞で、スクリーンが暗いという印象はほぼ皆無。IMAXを遥かに凌駕するコントラスト比は伊達じゃなさそうです。超おススメです。
作品を観終わっての感想は、ほぼほぼ前作同様で付け加える事がない。今回もこれだけの長時間座席に拘束されていながら、ダレたり長いと感じることはありませんでした。ただ本シリーズが、第1作でアバターの壮麗なる世界をお披露目し、2作目で山(森)から海原へと舞台を移すことで新たなイマジネーションの刺激があったのに対し、この3作目は舞台も登場人物もほとんど前作と変わらず新鮮味に欠けます(そもそも前作の終わりからお話が続いているので、まるで前後編のようでもある)。ジェイク・サリーを執拗に追い回すクオリッチをはじめとする敵役の顔ぶれも同様ですが、スパイダーを巡ってジェイクとクオリッチの関係性は微妙な変化の兆しも見て取れます。
壮大なるSF絵巻としてエンタテインメント性には富むものの、S.W.シリーズ同様に人間ドラマとしての深みには欠けるので、心に残りづらい。キャメロン監督は本シリーズを自身のライフワークと位置付けているようですが、3作目のこの展開では、正直次回作への期待感は膨らみませんでした。
パンフレットの記事を読んで、アバター・シリーズが5部作である事を初めて知りました。2作目と3作目が起承転結でいう「承」に相当するのであれば、次回作で大きな転換を迎える事も十分考えられます。パンドラの運命や如何に。ジェイク一家に安息の日々は訪れるのか?
ジェームズ・キャメロン監督、御年71歳。残された時間でこの星の物語を完結させてくれることを祈ります。
№1
日付:2026/1/5
タイトル:アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ | AVATAR: FIRE AND ASH
監督・共同脚本:James Cameron
劇場名:T・ジョイ横浜 シアター4 ※Dolby Cinema
パンフレット:あり(¥1,100)
評価:6






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- 『アバター』シリーズでジェームズ・キャメロンが創造する宇宙 稲垣貴俊(ライター・編集者)
- キャメロンが切り開いた『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』までの道のり 大口孝之(映像ジャーナリスト)
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