残酷で美しい真のお伽話「五日物語」
ずっとずっと観たくて探しまくってどこの配信サイトも扱ってなくて、TSUTAYAディスカスでようやく見つけて歓喜の舞を踊った作品「5日物語」を紹介します。
さすがディスカス何でもあるディスカス最後の希望ディスカス
https://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/goodsDetail.do?titleID=3425098178
世界最初のおとぎ話『ペンタメローネ 五日物語』を映画化した大人のファンタジー・ドラマ。
3つの王国を舞台に、自らの欲望に絡め取られた女たちが辿る恐ろしくも奇想天外な物語の顛末を、幻想的な映像美で描き出す。世界最古のお伽話というだけあり、残酷で美しくてなんだか教訓めいている。
グリム童話の初版を見ている気持ちになる。
私はこういう不気味なお伽話が大好物な人間なんですが、TSUTAYAディスカスの口コミはあまり高くないようで、「残酷」「不気味」「最後が微妙」と散々な言われようで少し不安でしたが、やっぱりお伽話は期待を裏切らない!!そうなんだよ!お伽話は残酷であるべきなんだよ!子供が寝る前に親にせがんで読んでもらってキャーキャー言いながら(心中ビビり散らかしながら)楽しみつつ、悪いことをしようとした時、ふと脳裏にあのお伽話が浮かび手を止める目的で作られたのがお伽話なんだから!!
この物語は三つの国が舞台になっており、いわゆるオムニバス形式
ロングトトレリス国の女王は長年の不妊に悩みありとあらゆる方法を試みるが、どれも失敗し妊娠のにの字でも匂わせようものなら発狂する始末
ストロングクリフ国の王はいわゆる色狂いでとにかくありとあらゆる美女を身の回りに置き連日乱痴気騒ぎであるが、ある明け方、庶民の家から澄んだ歌声を耳にし是非とも歌声の持ち主を我が物にしようと企む。しかし歌っていたのはヨボヨボの老婆の姉妹だった。
ハイヒルズ国の王は大の虫好きで、虫以外のことにはなんの興味もない。それは愛する娘とて同じであり、むすに比べたら取るに足らぬ存在だ。
ある日王が大事に育てていたデッカいノミが死んでしまう。ノミの皮を剥ぎ、娘の婿志望者たちにこの皮が何の生き物の皮か当てたら娘を嫁がせると約束すると誰も正解せず、鬼だけが正解する。
嫌々ながら鬼に嫁ぐことになった。
さて、ここからはちょっとネタバレ入ります!この物語はいわゆる女の永遠の悩みを描いている。
それは母になるということ、老いるということ、嫁ぐということ
時代が移り変わり女性が社会に出るようになってもこの三つだけは変わらぬ悩みなのではないだろうか
ロングトトレリス国の王妃は王の死と引き換えに世継ぎを産む
謎の魔法使いに怪物の心臓を食べたら生まれるよと教えられ、討伐しに行った王が死んだ。
その怪物の心臓は処女の侍女が料理をした。
彼女はいきなり懐妊する。
王妃の息子と侍女の息子は瓜二つで双子のようだった。
王妃は息子が侍女の息子と親しくしていることを快く思わずある行動に出る。
ストロングクリフの王は色狂いである
しかし美女しか抱けない
常に女を5.6人はべらせ夜伽に勤しむが心が満たせれない。
ある明け方、この世のものと思えぬほどの澄んだ歌声を耳にし、古ぼけた一軒家に行き当たった。
この声の主に一目会いたいと宝飾品を送り一夜共にしたいと告白する。
ドア越しに王の懇願を聞いていたのはドーラとインマの2人の老婆だった。
姉のドーラは欲が出て、妹のインマに弛んだ体の皮を縫い合わせるよう頼む。
夜伽中灯を一切灯さないことを約束に王と一夜を共にした。
朝、自分が抱いたのはヨボヨボの老婆だと知り怒り狂い城からドーラを放り投げた。
奇跡的に一命を取り留めたドーラ、目覚めた時にはかくも美しき乙女となっていた。
なぜ?
ハイヒルズ王国の王は大の虫好きである。
自室ででっかいノミを飼っており可愛がっている。
そんなノミが寿命で死んだ。
折も折、ムスメが流石に結婚したいと言い出し、ノミの皮を剥ぎこの皮がなんの生き物の皮か当てた男に娘をやると訳のわからぬお触れを出した。
国中の秀才が集まったが、ノミだと当てたのはハゲ山に住むハゲ鬼ただ1人だった。
娘は泣く泣く嫁ぐが、いつか逃げ出す隙を窺っていた。
この物語は賛否両論が多くあり、グロテスクだ最後がよくわからんと言ったコメントが多い。
しかし女であれば共感することも多いのではないだろうか。
若くあること、母になるということ、父親という存在に抗うということ、女性なら共感できる物語のはずだ。お伽話は教訓めいたものが多いが、この話からは抗う女性たちが見えている。
「時」という抗いようのない敵に必死に向かっていく女たちが描かれている。