弾む「I Love Paris」で始まるサスペンス ポランスキーの「フランティック」
◆「フランティック(Frantic)」(1988)
ロマン・ポランスキー監督のアメリカ映画で、ハリソン・フォード主演のサスペンス映画。制作後に監督の妻になったエマニュエル・セニエと、ベティ・バックリーが助演している。
リチャード・ウォーカー(ハリソン・フォード)と妻サンドラ(ベティ・バックレイ)は学会出席のためパリへやって来た。ホテルに到着したリチャードは、スーツケースが、空港で誰かのものと取り違えてしまったことに気づく。明日にでも取り替えてもらえば、と妻に言い残してシャワーを浴びるが浴室から出てみると妻の姿が見あたらず、何者かに誘拐された。
言葉の問題もあり、真剣には取りあってはくれない警察に業をにやした彼は、自ら捜査に乗り出す。取り違えたスーツケースの持ち主であるミシェル(エマニュエル・セニエ)は、2人組の怪し気な男に襲われるが、リチャードの機転で彼のホテルに助け出される。そこに誘拐犯から妻を無事戻してほしければ<自由の女神>像を渡せと電話がかかってきた。2人は待ち合わせの場所へ急ぐ……。
ちなみに映画のタイトルのFrantic は「パニックに陥った」、「混乱した」と言った意味になる。
◆ジャズの名曲「I Love Paris」がシャワーを浴びながら、歌われる。
この映画は、前回鑑賞し2回目を最近観たが、パリのホテルについて、シャワーを浴びながら、2名共が、「I Love Paris」を歌っている光景に感激し、記事に描くことにした。
この曲自体は、コールポーターのジャズのナンバーだが、「カンカン」(1960)でも使用されており出演しているフランク・シナトラが歌っている。
ジャズではコールポーターが好きで、ちょうどミレイユ・マチューが仏語で歌っている「I Love Paris (J’aime Paris)」をレパートリー曲の一つとして歌う準備をしていたところ・・・。
◆パリのシーン
パリのアパートの屋根を歩くシーンとか、最後のセーヌ川での誘拐犯との待ち合わせ等のシーンはスリリングだが、まさにパリっぽく、パリに住んでいるポランスキーのアイデンティティも出ている。
ただ、新婚旅行以来の20年ぶりのパリは、「パリのアメリカ人」として外国人でしかなかったのは哀感を感じるところ。奥さん役の人が少し浮いている感じがした。
ポランスキー監督の妻のエマニュエル・セニエは妖艶で、若い頃から、独特の雰囲気のある女優さんかと思う。赤い服で撃たれてしまったので残念。