ほどけそうな、息
”児童相談所の光と影
児童虐待、家庭崩壊
傷ついた子供たちを救うために奔走する児童福祉司の苦悩と実態”
※公式HPより抜粋
先日「ほどけそうな、息」という映画を、ポレポレ東中野というミニシアターで観劇しました。
この映画は、児童相談所で勤務している若い20代ぐらいの女性(児童福祉司)が主人公です。
映画は冒頭から、「はぁ、はぁ…」という息が画面から溢れつつ、赤ちゃんを抱えた女性と医師などが診察室で会話するシーンから始まります。女性は赤ちゃんのお母さんですが、医師が聴診器などを当てようとすると「電磁波イヤ!」と言って診察を拒否します。
その背後に主人公の女性(カスミ)たち、複数の女性がいます。
お母さんはしぶしぶ診察を受け入れ、カスミに一時的に赤ちゃんを抱いてもらうことを許可します。
すると次の瞬間…
カスミは赤ちゃんを抱いて、一目散に走っていきタクシーに乗り込むのでした…
ええ!!と驚きつつ、タクシーが着いた先は「児童相談所」らしき場所。
カスミは上司らしき男性に、半泣きになりながら言います。
「もっと良い方法はなかったんでしょうか?」
すると上司は
「間違ったことはしていない。あのままあの親子を二人にしていたら、あの赤ちゃんは死んでいたぞ。」
※セリフは少し違うかと思いますが、趣旨はこのようなことでした。
その後、児童相談所の仕事場の映像が映し出され、電話がひっきりなしに鳴っています。
カスミは息をついてコールが鳴り響く中、電話に出るのですが、男性からいきなり罵声を浴びせられるのでした。
そしてカスミはある親子の担当になります。
母親が拒食症でアルコール中毒になり、女児が救急車を呼んで、その女児が児童相談所に保護されることになったのです。推定小学校低学年ぐらいな女の子です。
女の子は母親のもとに帰りたいと言いますが、相談所の職員は、家庭環境を顧みてすぐに返すことはできず、親子と面談を重ねていくことになります。
その親子にはお父さんもいますが、長距離トラック運転手で家にあまりいないそうです。
最初の面談で、お父さんは事務職に変えてもらうように打診したから、もっと家にいられると伝えます。
その言葉を職員(カスミともう一人の準ベテランらしき女性)は聞いて少し安心します。
ただし次のシーンで、数日後あたりにその親子の家を訪問したところ、母親はまたアルコールを飲み呂律が回らなくなっていたのでした。そして母は夫の言葉について「あんなの嘘よ。いつも口だけだから。」と鼻から笑って職員に伝えるのでした。
この映画はカスミという若い児童相談所の女性を通して、児童相談所の光と影、リアルと
女性自身の人生を映し出し、結婚やキャリア、そして生い立ちなどを描いています。
実は彼女自身の父も実は母に暴力をふるう人だったのです。
最終的に、カスミが担当した親子たちも更生していく様子を見せていきます。
ただ、私がこの映画を観て感じたことは
「児童相談所」に預けられることはそんなに特別なことではないのではないか、ということです。
事実、私の友人たちには幼いころ家庭環境等で一時的に預かられた経験を持つ人たちが何人かいます。彼ら・彼女たちに共通していることは、「家庭環境が複雑」(親の暴力・ネグレクト等)です。
彼らは現在はむしろそれらをバネに立派に社会で働いていますが、幼いころの記憶や心の傷は完全にはなくなったわけではないのかなとも思います。
今回の映画では、紆余曲折のあとに良い方向に向かっていく様が描かれていてよかったです。
ただし、現実は全てがそううまく行くわけでは到底ないのだろうなと感じました。
この映画は、普段あまり人が知る機会のない「児童相談所」という場所を舞台に、職員の成長等に合わせてリアルに物語が描かれており、ある意味見る人達の昔の記憶に紐づいたり、様々なことを見聞する機会・気づきを与えてくれる映画で、私は鑑賞してとても良かったです。
余談ですが、私は社会福祉の大学生でもあるので、もしできたら「児童相談所」に実習先として行ってみたいなと思いました。
子供の可能性は沢山あるのに、それを生かすも殺すも周りの大人や環境が本当に大きいのだと感じました。
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