映画音楽として 最も美しい歌曲の1つ オペラ「ラクメ」の「花の二重唱」を知る
まだクラシックが詳しくない15年前頃に、映画音楽のオムニバスCDで知ったのは、フランスの作曲家のレオ・ドリーブ作曲の花の二重唱だった。当時はジャズ鑑賞に興じていたので、いささかテンポ感の違うクラシックのこの曲には違和感はあったが、純粋に美しい曲として受けいれた。
またフードアナリスト3級の課題に「食と映画」というテーマがあったので、こっそり、食に関する映画を調べていたのも、この頃だった。特に「厨房で逢いましょう」で使われる、花の二重唱が気になった。
■「厨房で逢いましょう(Eden)」(2006)
ドイツの新鋭ミヒャエル・ホーフマン監督のドイツ/スイス映画作品。平凡な人妻に心奪われた恋に不器用な天才シェフが、彼女への想いを官能的な魅惑の料理に込めて伝えようとする切ない片思いの顛末を綴るホロ苦い大人のロマンティック・ストーリー。
料理の腕は一流だが、人付き合いが苦手な天才シェフ、グレゴア。彼が南ドイツの保養地で営む小さなレストランの看板メニューは、食通たちも唸らせる官能料理こと“エロチック・キュイジーヌ”。そんなグレゴアは、休憩時間に訪れるカフェのウェイトレス、エデンに恋していた。ふとしたきっかけから、グレゴアのつくったプラリネを口にしたエデンは、すっかり彼の料理の虜になってしまう。いつしか彼女は、夫が家を空ける毎週火曜日に娘を連れてグレゴアの厨房を訪れるようになる。グレゴアもエデンを喜ばせようと、ますます料理の腕に磨きがかかる。
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官能的な料理とともに、「花の二重唱」の歌唱の重唱部分が流れてくる。
■「偉大なるマルグリット(Marguerite)」(2015)
このころは、クラシック、歌曲を勉強し始めたので興味をもって、劇場で鑑賞した記憶がある。
グザヴィエ・ジャノリ監督がアメリカに実在した“音痴の歌姫”フローレンス・フォスター・ジェンキンスのエピソードにインスピレーションを得て、撮り上げた切なくも感動的な人生ドラマ。カトリーヌ・フロが主演をつとめる。
1920年、フランス。パリ郊外にあるマルグリット・デュモン男爵夫人の邸宅で、チャリティを目的としたサロン音楽会が開かれていた。いよいよ主役のマルグリット男爵夫人が登場し威風堂々と歌い始める。彼女は破壊的なまでの音痴だったが、誰もそのことを指摘できる者はいなかった。やがてパリでリサイタルを開くことを決意するが・・・。
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マダムのマルグリット自身は、モーツアルトの「魔笛」のインパクトのある夜の女王のアリアを歌うが、その前座で、若く実力のある歌手が招聘されて、美しく歌うのが、「花の二重唱」になる。
■関連作品
(1)「マダム・フローレンス! 夢見るふたり(Florence Foster Jenkins) 」(2016)
“音痴の歌姫”として知られるフローレンス・フォスター・ジェンキンスの驚きと感動の人生をメリル・ストリープ主演で映画化した音楽伝記ドラマ。こちらは、むしろ、夫婦の絆とかに重点をおいて描いたコメディ作品になる。
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花の二重唱ではないが、同じレオ・ドリーブのオペラ「ラクメ」から難しいソプラノの曲「鐘の歌」を歌うソプラノ歌手の歌唱を、Aida Garifullinaが録音している。
(2)「ハンガー(The Hunger)」(1983)
「偉大なるマルグリッド」のパンフレットを見て「花の二重唱」が使用されている点で共通する、この「ハンガー」のDVDを購入して鑑賞してみたものの・・、ホラーなので、早く終わらないかと内心思いながら視聴した。
カトリーヌ・ドヌーブとデビット・ボウイが主演する異色の映画で、ストーリーとしては、女吸血鬼と彼女の力で若さを保つ青年を描いたホラー。青年は200年もの間、若い姿のままでいたが、突如として老化現象が始まってしまう。女吸血鬼は新たな犠牲者を見つけようとする…
トリオで演奏する場面もあるが、皮肉にも「花の二重唱」は女吸血鬼のドヌーヴが、女性を誘惑する時に使用される官能的な曲として使用されていた。
■最後に:「花の二重唱」歌ってみた!
もう6年位前で、イタリアオペラの二重唱のクラスで勉強していたが、先生がフランスものの方がお好きだったこともあり、特別に「花の二重唱」のソプラノパート(ラクメの方)を歌わせてもらった。フランスものの女声二重唱では、オッフェンバックの「ホフマン物語」の「ホフマンの舟歌(バルカローレ)」が一番有名かと思うが、この「花の二重唱」も本当にうっとりし、コンサートでも盛り上がる1曲。
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投稿を表示フローレンス・フォスター・ジェンキンスの歌声は本当に壮絶でしたね。彼女をモデルにした映画が2本もあるというのは驚きですが、特に自分は「マダム・フリオ―レンス」のメリル・ストリープとヒュー・グラントの疑似的な夫婦間家にありながらの素敵な関係がほほえましくて、とてもいい映画だと思いました。
Stellaさんが『ハンガー』をごらんになってるというのも意外ですが、『ハンガー』はホラーと言ってもかなり洒落ている作品な方なので、stellaさんにはかえってお似合いかもしれません(笑)
あと、花の二重唱歌われたんですね!!すごい!!
是非今度聞かせてください。というか、ご一緒したいくらいです(笑)
フランス語ダメだけど・・・(;^_^A
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