チーム 名画座
2024/11/20 23:45
昭和・平成シネマ画報 「サムライ」「高校教師」
『サムライ』(1967)
最小限に台詞を抑え、トレンチコートも凛々しい孤独の殺し屋を演じたアラン・ドロン。彼の中の″悪の美学″が見事に開花したフィルム・ノアールの名作。
一匹狼の殺し屋はいつものように依頼された仕事を終わらせるが、運悪くナイトクラブのピアノ奏者の女と鉢合わせをしてしまう。そこから捜査の手が及び、徐々に窮地に追い込まれて行くのです。網の目をかいくぐるように追手から逃れる殺し屋の悲哀と宿命。唯一の友であるペットのカナリアが、自分の留守中に鳥かごの中で暴れ回った形跡を見て、アパートに盗聴器が仕掛けられた事を察知する場面は秀逸! 子供の頃から小鳥を飼ってきた私にはよ~く分かるシーンなのです(笑)。″笑わない″アラン・ドロンの魅力を決定づけたクールな名作です!
『高校教師』(1973)
ボサボサの髪に無精ひげ、くたびれたコート。生きている虚しさと、最後の恋に揺れる男。見たことのないアラン・ドロンの″汚れ役″に、戸惑い、驚き、そして新鮮な感動を覚える。
後に、彼の数多くの作品の中でも意外なほど話題に上らず、評価も今ひとつ得ていないのが腑に落ちませんが、私は大好きで、心に残る秀作だと思っています。
やさぐれた中年男を演じても何を演じても、やっぱりドロンはドロンだ、と言ってしまえば元も子もありませんが、まぁ天下の二枚目大スタアとはそんなものでしょうね。
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