戦争、原爆について考える作品たち
映画『オッペンハイマー』とは違う
目線で原爆について考える
製作国:アメリカ
監督:アイリーン・ルスティック
時 間:93分
ドキュメンタリー映画
秘密にされた町、リッチランド
題名にあるリッチランドは、町の名前です。
元々は先住民族が住んでいた大切な土地。
政府は戦争が終われば返すから、と彼らに言ったものの、資源も何もかも変えてしまった。人が住むには10億年かかると、冒頭から衝撃的だった。
今年は『オッペンハイマー』を沢山の方が観たように思います。その時に、広島と長崎に落とした爆弾は種類が違う事を知った方もいたのでは。リッチランドは、マンハッタン計画により一夜にして出来た町なのです。(ロスアラモスの方が有名ですが)
当時人口2万5千人。町は住宅、学校、病院とありとあらゆるものがあり、潤っていた。
そこで働く人々は皆、プルトニウムの生産施設で働いていた。長崎に落としたファットマンの原料だ。
キノコ雲を誇りに思う町
冒頭にこのリッチランド高校の校章マークに驚いた。リッチランドのRにキノコ雲が施されているからだ。しかも高校のアメフトチームの愛称はボマーズ(爆撃機という意味)
観ていて感じたのは、やはり年齢、年代によって認識が大きく違うと言うこと。
戦争を経験したような人、また施設にいて働いた事のある人達は、この土地を誇れと教えられ生きてきた。あの原爆を使った事は正解かどうかはわからないけど、そうしなければ今頃アメリカは日本語を話していたと思う、と笑っていた。日本人からするとあのキノコ雲は、見るだけで嫌な気持ちになる。でもそれに対して『戦争を始めた日本が言うことか?』と笑って返された時の衝撃。私って被害者意識を知らずに擦り込まれていたんだ、と今更ながら痛感した。
若い子達はとても客観的で、この状況を俯瞰で見ている。パールハーバーの犠牲者は2000人、なのに長崎原爆の被害者は7万人超えてる。あまりにも核攻撃を美化しているのではないか、と話し合っている姿も印象的。この街に住む人は、良くないものを作っている事を頭では理解している。しかし、その事で生活が成り立ち潤っている事も同じだけ理解している。被爆の危険がまだ理解されてない頃、その施設で防護服も着る事なく仕事をしてきた。そして甲状腺や被爆が原因のガンで亡くなっている。その家族でさえ、自分が大学に行けたのは父親が身を危険に晒したからだと、泣きながら複雑な気持ちを話す。
この作品の初めての上映は、リッチランドでの自主上映だったそうです。何百人もの人が上映後1時間もずっと皆が語り合ったそう。ドキュメンタリー映画を観て、非常に学びとなるのは、自分と違う価値観の人の話を聞いて、それを受け入れていこうとする自分がいる事。それを大事にしていきたいと思ってる。
日本が世界で唯一の戦争被爆国であるのと同時に、アメリカは人間に対して原爆を投下した唯一の国だ、と言う事を忘れないで欲しい。
さてもう一本、公開中のドキュメンタリー映画を紹介したい。
行動的慰霊とは
製作国:日本
監督:奥間勝也
時間:115分
ドキュメンタリー映画
実はあまり年配の方々から戦争の話を聞いた覚えがありません。北海道という土地柄もあるのか、たまに満州国や樺太の事を聞く事があっても、おじいさんやおばあさん、その兄妹が防空壕で自決したなどという話はほとんどなかったので、沖縄の方々がたくさん犠牲になり、更には骨すら見つかっていない事実に驚きました。
この骨を掘る男とは、沖縄にいる具志堅隆松さんの事です。
沖縄戦とは
沖縄守備軍は本土決戦の準備が整うまで米軍を長く沖縄に引きつける作戦をとったため、上陸時に兵力を温存したため、沖縄は本土決戦に向けた「捨て石」とされた。その為被害が膨大で軍人以外の女性や子供も混在したままの地上戦だった。沖縄には米軍が上陸し、住民が暮らしていた場所で、米軍と日本軍が戦った。空からの攻撃にくわえ、陸からは銃(じゅう)や大砲(たいほう)、火炎放射器(かえんほうしゃき)で襲われ、海からは艦砲射撃(かんぽうしゃげき)で狙われた。爆弾が大嵐のように降り注いだことから「鉄の暴風」とも言われる。米軍は「ありったけの地獄をあつめた」戦場と呼んだ。
そんな沖縄で、もう40年も自然豪(ガマフー)を堀り、戦没者の遺骨を発掘しています。まるで考古学の学者さんのように骨を見つけ、骨の一部だけで『上腕骨のこの辺だねー』と言う姿は骨学者のようでもありました。こうして見つかった骨をDNA鑑定する事で、探していた身内と判明する事も。しかし、当たり前のようにこの戦争で亡くなった人には骨がないと話している方もいて、ショックを覚えました。それに、自然豪に入るとあっという間に骨がゴロゴロ出てくる事にも驚きを隠せません。
風化どころかまだ苦しんでる沖縄の姿
もう70年以上経ってても、まだこんなに?
腕の骨らしきものが近くから見つかるのに手の骨が無く、その近くから手榴弾の破片が見つかる。靴が片方だけ見つかった。その近くには粉砕された頭蓋骨が見つかる。これが何を意味するか、わかりますか?
こうして自決していった人々もいれば、逃げて自然豪に居た所を火炎放射器で焼き殺された人も。そこにはカンザシがあり、キセルも近くにあり、乳歯がみつかる。母親とまだ永久歯が生える前の子供と、おじいさんがそこに居たのかもしれない。そんな想像をしながら、骨を堀り心を寄せることが慰霊に繋がるのかな、と話す具志堅さん。
具志堅さんは毎日、身内でもなければ誰とも分からない骨と向き合い、悼んでいる。辺野古基地を作るために運んでいる土に、誰かの骨が埋まっているかもしれない土地から、それを運ぼうとしていた。普段は穏やかな彼も、あまりにも的外れな回答をする防衛省の役人達にはキレていた。他人事のように適当で分かりづらい言葉を並べられたら、そりゃ頭にくるだろう。
私は【平和の礎】を見た事がない。
そこには沖縄の人だけでなく、多くの外国人の名前。米兵だけでなく、ヨーロッパの移民のような名前もあったり、韓国であったりと様々。名前の多さに悲しみが重なる。
この時期、戦争を2度と繰り返さない為にも、映画などで戦没者に心を寄せてみるのも良いのではないでしょうか。
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投稿を表示リッチランド、行きました。
ワシントンからオレゴンに抜ける手前に街に入って。
名前とは裏腹に貧相な街で調べたらそう言う名前をつけたというある種の皮肉を現地で感じたのを思い出しました。
映画興味あります🌞
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