オスカー、脚本賞はこれだ!
真実は人の数だけある。
第76回カンヌ国際映画祭
最高賞・パルムドール受賞
第81回ゴールデン・グローブ賞
脚本賞/非英語作品賞、2冠
監督:ジュスティーヌ・トリエ
製作国:フランス
上映時間:152分
ミステリという勿れ
さぁ、この作品に答えを求めてはいけません!楽しむ所はただ一つ。
真実は人の数だけある、という事。
『ミステリという勿れ』で整くんも言ってましたよね。この作品は、何かが解決する事もないし、事実が判明すらしない。
だけど、それこそがこの作品の面白い所。
最近だと是枝さんの『怪物』も似たような作品を出してましたけど、人の記憶の曖昧さ、先入観の恐ろしさ、観たいものだけ観ようとする人間の不確かさを突きつけてくる。観た後、心の不安定さったら、なかった。
面白いか面白くないかでいえば、パッと見では面白くは、ない。だけど、何回も観て何回もうーん、凄い!と唸らせてくれる作品。
登場人物は必要最低限
もう冒頭からして、サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)が人の話をはぐらかして話している。ここでしっかりと、観ている私たちに先入観を与える。この女ならやりそうだ、と。
そして、旦那のサミュエル(サミュエル・タイス)の姿は見えない。ただバカでかい音楽を流している。本当に旦那なんて居るのか?突PCで音楽を流すのは、どうとでも細工できる。息子のダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)は盲目。障がい者というだけで、この子供は弱い立場で悪者ではないだろう、という印象も与える。
そして起きる、サミュエルの転落。
そして、頭部に怪我をしていて、死んでいる。見つけたのは、目が見えない息子。
その後、法廷劇になる為、弁護士や裁判官、検事は出て来ますが、描かれるべきはこの家族。あまり多くない登場人物が、より家族にフォーカスさせている。
曖昧さの上に真実は見つけられるのか
また言葉のハンデもある。
ここはサミュエルの育ったフランス。でもサンドラはドイツ人。二人は英語で話す。これは大陸で暮らす人も日本人も同じで、母国語ではないから伝えたいニュアンスが、お互いに少しずつズレる、というのもニクいポイントだ。もしかしたら、サンドラは全てを話したのかもしれないし、全く嘘を言ったのかもしれない。
ダニエルだってそうだ。後半になり、実は盲目ではなく弱視だと言う事実により、私たちが一瞬騙された!となる。彼は、子供の目線でしか両親を見ていない。でもだからこそ、見えてきた事もあったかもしれない。最後にダニエルが主観で語った言葉を、どう受け止めればいいのだろうか。
一体、何を解剖したのか
解剖学とは、構造を含めた生物の有りさまを、“どのような「形」をしているのか”という側面から研究する学問、という。なるほど、落下したという事は事実。だが、誰がどんな事を経てそこに至ったのかを多面的に描いたのか。
ただ、多面過ぎるからこそ、人の数だけ真実が出来上がり、観た私たちも色々な感想になる。
前半は、サンドラには厳しい展開の法廷劇で、気が遠くなる方もいるかもしれません。再度言いますが、何かがはっきりする事はないし淡々としています。ヨーロッパ映画らしい点ですが、そんな中、隠し撮りの夫婦喧嘩、いわゆる修羅場が映し出されます。ここも演出の巧さが出ているのです。途中から肝心な部分が音声のみとなり、サンドラの言葉でしか語られません。
そして、誰もが固唾を飲む判決は?
最後に、予告のミスリードも巧すぎます笑
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投稿を表示たぶん今のとこは今年1番予告のミスリードが凄かった作品だよね 笑 ラストまでずっと真実を求めて観ちゃったもんね。じゅんちゃんは脚本賞だと思うんだね~。もし受賞したとしてもこの作品は好きにはなれないかな😂
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