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じゅーん バッジ画像
2024/02/29 21:32

オスカー、脚本賞はこれだ!

真実は人の数だけある。

第76回カンヌ国際映画祭

最高賞・パルムドール受賞

第81回ゴールデン・グローブ賞

脚本賞/非英語作品賞、2冠

監督:ジュスティーヌ・トリエ

製作国:フランス

上映時間:152分


ミステリという勿れ


さぁ、この作品に答えを求めてはいけません!楽しむ所はただ一つ。

真実は人の数だけある、という事。

『ミステリという勿れ』で整くんも言ってましたよね。この作品は、何かが解決する事もないし、事実が判明すらしない。

だけど、それこそがこの作品の面白い所。

最近だと是枝さんの『怪物』も似たような作品を出してましたけど、人の記憶の曖昧さ、先入観の恐ろしさ、観たいものだけ観ようとする人間の不確かさを突きつけてくる。観た後、心の不安定さったら、なかった。

面白いか面白くないかでいえば、パッと見では面白くは、ない。だけど、何回も観て何回もうーん、凄い!と唸らせてくれる作品。


登場人物は必要最低限


もう冒頭からして、サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)が人の話をはぐらかして話している。ここでしっかりと、観ている私たちに先入観を与える。この女ならやりそうだ、と。

そして、旦那のサミュエル(サミュエル・タイス)の姿は見えない。ただバカでかい音楽を流している。本当に旦那なんて居るのか?突PCで音楽を流すのは、どうとでも細工できる。息子のダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)は盲目。障がい者というだけで、この子供は弱い立場で悪者ではないだろう、という印象も与える。

そして起きる、サミュエルの転落。

そして、頭部に怪我をしていて、死んでいる。見つけたのは、目が見えない息子。

その後、法廷劇になる為、弁護士や裁判官、検事は出て来ますが、描かれるべきはこの家族。あまり多くない登場人物が、より家族にフォーカスさせている。


曖昧さの上に真実は見つけられるのか


また言葉のハンデもある。

ここはサミュエルの育ったフランス。でもサンドラはドイツ人。二人は英語で話す。これは大陸で暮らす人も日本人も同じで、母国語ではないから伝えたいニュアンスが、お互いに少しずつズレる、というのもニクいポイントだ。もしかしたら、サンドラは全てを話したのかもしれないし、全く嘘を言ったのかもしれない。

ダニエルだってそうだ。後半になり、実は盲目ではなく弱視だと言う事実により、私たちが一瞬騙された!となる。彼は、子供の目線でしか両親を見ていない。でもだからこそ、見えてきた事もあったかもしれない。最後にダニエルが主観で語った言葉を、どう受け止めればいいのだろうか。


一体、何を解剖したのか


解剖学とは、構造を含めた生物の有りさまを、“どのような「形」をしているのか”という側面から研究する学問、という。なるほど、落下したという事は事実。だが、誰がどんな事を経てそこに至ったのかを多面的に描いたのか。

ただ、多面過ぎるからこそ、人の数だけ真実が出来上がり、観た私たちも色々な感想になる。

前半は、サンドラには厳しい展開の法廷劇で、気が遠くなる方もいるかもしれません。再度言いますが、何かがはっきりする事はないし淡々としています。ヨーロッパ映画らしい点ですが、そんな中、隠し撮りの夫婦喧嘩、いわゆる修羅場が映し出されます。ここも演出の巧さが出ているのです。途中から肝心な部分が音声のみとなり、サンドラの言葉でしか語られません。

そして、誰もが固唾を飲む判決は?

最後に、予告のミスリードも巧すぎます笑

 

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1 件の返信 (新着順)
yumi
2024/03/03 11:18

たぶん今のとこは今年1番予告のミスリードが凄かった作品だよね 笑 ラストまでずっと真実を求めて観ちゃったもんね。じゅんちゃんは脚本賞だと思うんだね~。もし受賞したとしてもこの作品は好きにはなれないかな😂


じゅーん バッジ画像
2024/03/03 19:48

ゆみちゃん、悔しそうだったもんねー。なーんだよ、先に言ってくれよ!みたいな笑
それもわかる。楽しみたかったよねー。
でも、時にはこちらを試してくるような作品もあると思うんだよね。あ、今あなたこの人の事疑ったね?みたいなさ。
脚本でそこに持っていくのって本当巧い。『怪物』も坂元さんが巧かったと思ったなぁ。