サントラが好きな映画5選
名画に名曲あり...想い出深い名曲が目白押しのなか、苦渋の選択で5作品を選んでみました。
‘このメロディーを聴けば、あのシーンが甦ってくる’ それが選択の基準でした。
「避暑地の出来事」(1959年・アメリカ)
音楽:マックス・スタイナー

テーマ曲は「夏の日の恋」で、マックス・スタイナー作曲をパーシー・フェイスがカバーして発売され、全米9週連続1位という稀にみる大ヒットを記録した楽曲。
アメリカ北東部メイン州パイン・アイランド。バート・ハンター(アーサー・ケネディ)は妻のシルヴィア(ドロシー・マクガイア)や息子のジョニー(トロイ・ドナヒュー)と共にパイン・アイランド・ホテルを経営していた。かつては別荘だったが、今は落ちぶれて経営が行き詰まり、安宿と陰口を聞かされる始末。そこへニューヨーク州バッファローから、ケン・ジョーゲンソン(リチャード・イーガン)が妻のヘレン(コンスタンス・フォード)と美しい娘モリー(サンドラ・ディー)を連れて訪れる。
サンドラ・ディーが実にキュートで、彼女はこの映画一作でアイドル・スターのナンバー・ワンに。一方、相手役のトロイ・ドナヒューは、当時全米でも日本でも、若い女性に抜群の人気があった。

主題歌メロディーは、トロイ・ドナヒュー演ずるジョニーが、サンドラ・ディー演ずるモリーを島の海岸やバラ園へ案内する場面で流れてくる。
海岸線の岩場と白波のコントラストが眩しく、若い2人の熱い思いを象徴しているようで、実にいいタイミングの導入だった。

「ひまわり」(1970年、伊・仏・米・ソ連)
音楽:ヘンリー・マンシーニ

ヘンリー・マンシーニの哀切なメロディと、回想シーンが相まって、胸が締め付けられる。
‘イタリアの太陽’ と慕われたソフィア・ローレンが、世界中に涙の雨を降らせた不朽の名作である。
戦争という厚い壁のまえに運命を狂わされた、男と女の悲しい愛を描いた物語が甦る。
ナポリの海岸で出会ったジョヴァンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は恋に落ち、結婚した。幸せな日々も束の間、アントニオがソ連戦線を送られたため、2人は別れ別れになってしまう。終戦後、ジョヴァンナは年老いたアントニオの母親(アンナ・カレナ)を励ましながら、何年も夫の帰りを待ち続けたが帰ってこなかった。アントニオはシベリアで遭難寸前だったところを現地の娘マーシャ(リュドミラ・サヴェーリエワ)に助けられ、記憶を失っていたが、そのまま彼女と結婚していた。夫の行方を尋ねてウクライナへ向かったジョヴァンナは、その事実を知るが、どうすることも出来なかった...。

ウクライナの片田舎の民家で、ジョヴァンナとマーシャが出会うシーンがある。
互いに無言で顔を見合わす中、ジョヴァンナの瞳から涙が零れ落ちる。夫の生存に安堵するとともに、状況を察した ‘言いようのない悲しみと憎しみ’ が心の底から湧き上がってくる。それを抑えられない。
リュドミラ・サヴェーリエワは、ソビエトが国家の威信をかけて製作した大作「戦争と平和」(65年)のヒロイン、ナターシャ役が有名。

抜けるような色白の名花は、本作での若妻マーシャ役で如何なく発揮されていた。
彼女の出演作品が極めて少ないだけでに、貴重な映像である。

「男と女」(1966年・フランス)音楽:フランシス・レイ


これほどまでに映像と音楽が一体化した作品は、他ではあまり見られない。
フランシス・レイ作曲の甘美なボサノヴァ調のメロディー、「ダバダバダ...」というスキャットな主題曲が、最高のロマンティシズムを紡ぎ出す。
妻に自殺されたレーサーのジャン=ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)と、スタントマンだった夫を事故で亡くしたアンヌ(アヌーク・エーメ)は、互いの子供が通う寄宿学校で出会い、次第に惹かれ合っていく。

クロード・ルルーシュ監督の卓越した映像センスによって、しっとりとした情感あふれる大人のラヴ・ストーリーに仕上がっている。
車のフロントガラスにたたきつける夜の雨、アヌーク・エーメの顔の表情だけを捉えたシーン、夕陽に染まった草原、等々、どの場面もまるで絵画を見ているようだ。

回想シーンをカラー、モノクロで描き分けているのも効果的だ。
53年後、同じくクロード・ルルーシュ監督で「男と女 人生最良の日々」(2019年)が公開され、アヌーク・エーメ86歳、ジャン=ルイ・トランティニャン89歳で出演している。


「007/ゴールドフィンガー」(1964年、英・米)
音楽:ジョン・バリー

何と言ってもシャーリー・バッシー(1937.01.08 / 英・ウェールズ生まれ)が歌う力強いテーマ曲、そして、その表現力に圧倒される。
彼女は本作以外にも「007/ダイヤモンドは永遠に」(71年)、「007/ムーンレイカー」(79年)で歌っているが、この ‘ゴールドフィンガー’ がナンバーワンだと思う。
英国諜報部員ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は、金塊密輸事件の黒幕ゴールドフィンガー(ゲルト・フレーベ)を追う。ゴールドフィンガーはアメリカの金の保管金庫フォート・ノックスを襲撃し、金塊を独占しようとしていたが...。
鉄鋼の刃を仕込んだシルクハットを投げる怪力の用心棒を演じたハロルド坂田、そしてボンド・ガールに起用されているのが、柔道の有段者でもあるオナー・ブラックマンと、全身に金粉を塗られた女性に扮したシャーリー・イートンである。
因みにハロルド坂田は、元日系プロレスラーで、力道山をスカウトした人物でもある。

シリーズ第1作の「007/ドクター・ノオ」(62年)、第2作の「007/ロシアより愛をこめて」(63年)が旧来のスパイ・スリラーの延長線上にあったのに対し、この「ゴールドフィンガー」では、ファンタジーとユーモアの要素を盛り込むことで、まったく新しいスタイルの ‘ボンド映画’ を作り出すことに成功している。

「ティファニーで朝食を」(1961年・アメリカ)
音楽:ヘンリー・マンシーニ

「懐古 アメリカ映画の1961年」でも取り上げた作品で、テーマ曲「ムーン・リヴァー」は映画音楽における永遠の名曲として、今後も語り継がれていくだろう。

ニューヨーク。高級コールガールのホリー(オードリー・ヘプバーン)は、名無しの猫と共に安アパートで自由気ままな生活を送っていた。ある日、彼女の隣室にポール(ジョージ・ペパード)という青年が引っ越してくる。彼は作家と名乗ったが、中年女性(パトリシア・ニール)をパトロンに暮らしていた。やがてホリーとポールの間には奇妙な友情が芽生えるが、そこへホリーの夫が彼女を連れ戻しにやって来る...。

劇中、オードリー自身がギターをつま弾きながら、ロマンティックな主題歌「ムーン・リヴァー」を歌うシーンは、忘れ難い名場面のひとつ。
そしてヘンリー・マンシーニは、アカデミー賞で作曲賞・主題歌賞を受賞している。
ジョージ・ペパードの都会的なファッション(黒のパンツ、黒のネクタイにグレーのジャケット)が実にカッコいい。
他の共演陣も、おかしな名前(ミスター・ユニオシ)の日本人を演じるミッキー・ルーニー、ポールを囲う中年女性のパトリシア・ニール、マーチン・バルサムなど、往年のファンには懐かしい顔ぶれが脇を固めている。
この映画のおかげで、高級宝石店のティファニーがニューヨークの観光名所にまでなったのは周知のとおり。

「サントラが好きな映画」....他の作品では、フランシス・レイの「雨の訪問者」(68年)、
「パリのめぐり逢い」(67年)、「個人教授」(68年)、「白い恋人たち」(68年)、
ニーノ・ロータの「太陽がいっぱい」(60年)、「ゴッドファーザー」(72年)、
ヘンリー・マンシーニの「ハタリ!」(61年)、「酒とバラの日々」(62年)、「シャレード」(63年)などが印象深い。
やっぱり懐かしの名作、名曲が並んでしまう。
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投稿を表示ボンド映画以外は題名の認識位なので、改めてレンタル鑑賞したいなと思いました😉1枚ずつレンタルして楽しみたいと思いました😅紹介ありがとうございます👍️
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投稿を表示「夏の日の恋76」という曲が流行っていて、これが映画音楽ということは後で知り、オリジナルもそのあとで聞きました。オリジナルサントラ盤よりカバーがヒットしたというのは、「スターウォーズ」があります。ミーコというバンドによるディスコアレンジのほうがヒットしてました。
ヘンリーマンシーニはサントラ盤のレコードセールスに寄与した人です。
劇伴をそのまま使わず、レコード観賞用にアレンジしていました。
「暗くなるまで待って」なんか、レコード用の音源と本編のサウンドが全く違う!
でもマンシーニやフランシスレイなどが手掛けたことで、
映画音楽のジャンルが確立されたとものと思います。
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投稿を表示タイトルのアニー・ジラルドの「パリのめぐり逢い」の曲もフランシス・レイの曲の中で好きですが、まだメディアを入手できていません。★ご紹介された映画は、どの曲も素敵です。