第7回 アカデミー賞・作品賞受賞「或る夜の出来事」
アカデミー作品賞のみならず、監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚色賞の主要5部門を独占したラヴ・コメディの傑作。
「或る夜の出来事」(1934年・米国、モノクロ、106分)
監督:フランク・キャプラ
金持ちの一人娘と失業中の新聞記者が、互いに反発しながらも惹かれ合う姿を、ユーモラスかつロマンティックに描いている。


銀行家で大富豪のアンドリュース(ウォルター・コノリー)の一人娘エリー(クローデット・コルベール)は、マイアミ港外で父の自家用ヨットに監禁されていた。それというのも、父の承諾を得ずに飛行家のキング・ウェストリー(ジェームソン・トーマス)と婚約したからである。頑固な父のやり方に辛抱出来ないエリーは、海に飛び込んで脱出、キングのいるニューヨークへ向けて夜行バスに乗り込んだ。一方、そのバスに失業中の新聞記者ピーター・ウォーン(クラーク・ゲーブル)が乗って来た。エリーとピーターは些細なことで口論となり、反目し合う。エリーの失踪を心配した父アンドリュースは、1万ドルの懸賞付きで行方を捜索させた。その報道を新聞記事で知ったピーターは、特ダネをモノにしようと、素知らぬ顔でエリーと旅を続ける。ところが、途中でバスが大雨に遭って立ち往生、やむなく2人は安モーテルに宿泊することになるのだが...。
クラーク・ゲーブルの代表作といえば、やはり「風と共に去りぬ」(39年)であろう。
しかしアカデミー賞の主演男優賞では、同作ではノミネートどまり。
(受賞は「チップス先生さようなら」のロバート・ドーナット)
勿論、受賞に準じたノミネートそのものが評価されていることは事実。
独特の太い眉と濃い顔つき、そして自信に満ち溢れた演技は、他者を圧倒する存在感があった。
30年代~50年代を席巻した大スターであることは間違いない。

相手役のクローデット・コルベール。
粋で都会的な雰囲気をもった女性役が、彼女の真骨頂。スクリーンに現れただけで、観客は何となく嬉しくなってしまう。
頬骨の出っ張り具合いが左右均等でない...それをとても気にしていて、右サイドからの映像を嫌がり、ラヴシーンでは必ず画面の右側に位置をとり、自信のある顔の左サイドを見せるようにしたと言われている。
彼女もクラーク・ゲーブルと同年代に活躍した、洒落っ気たっぷりのコメディエンヌである。

他の主な共演者は、上述のウォルター・コノリー(33年「一日だけの淑女」、37年「大地」)、
ジェームソン・トーマス(37年「オーケストラの少女)に加え、ロスコー・カーンズ(27年「つばさ」、40年「ヒズ・ガール・フライデー」)、アラン・ヘイル(34年「痴人の愛」、34年「肉弾鬼中隊」)、ブランシュ・フリデリチ(31年「マタ・ハリ」、33年「空中レヴュー時代」)といった面々。
「ローマの休日」(53年)、「卒業」(67年)に影響を与えた作品と言われている。
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投稿を表示こんにちは!
最高に大好きな本作。再見したいといつも思っていました。
近々絶対見ようと思っています(#^^#)