ネタバレあり感想「首」芸人であり監督。北野武が込めたもの
ネタバレあり
ということでネタバレあり編
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↑ネタバレなし前編はこちら。
ここは明らかにアドリブだな、というシーンがいくつかあり、
木村祐一さんとビートたけし(エンドロールの名前をあえてそうしている)さんの
呼吸の良さを感じる。
怪演の信長(加瀬亮さん)が能を見ながら涙を浮かべ
「すべてを皆殺しにして、自分の首を乗っけたら気持ちが良いだろう」と吐露する。
ここに、人の世の裏切りや辛気臭いすべてにうんざりしていた信長の気概がみられる。
明智を殴り蹴り、するシーンがいかにも自然で
お戯れ、というものがこの人の世すべてであり、
辛気臭いものを破壊したかった信長像が見事に描かれている。
家康に影武者がいたのは有名な話だけれど
それをもはやギャグであるかのように入れ代わり立ち代わり代役のいる家康で扱う。
本能寺のシーンをあっさり描き、
80以上あるという説の中で、そこに至る経緯だけを重視した点も
抑えた演出ですごく高度。
人情路線でいうならば
首級を上げて大出世をもくろむ百姓役の
中村獅童さん。
何度も友の亡霊を見ることから、
本当の目的は大出世なんかじゃないことに気づかされる
明智光秀(西島秀俊さん)が自分の首を落とす時に、
刃の入りかけで倒れる具合などがとてもリアル。
ラストシーンで肩透かしをするかのように終わるので
キョトンとしてしまうのだけれど、
エンドロールと余韻の中で
「百姓だから武士道なんてわからない」
という秀吉だから
ラストシーン
「首」という最重要なメタファーを蹴り飛ばすことで
北野監督自身の野心を現わす。
さらに言えば
「明智が死んだことが分かればいい」
という役割だけをいうならば
この映画が成功すればなんだっていい、
という監督のメッセージともとれる。
作家性が突出しているだけに
語り合えばそれだけ見方と味が増す作品で
一言で言えば
映画というもので
戦国の野心を体現したような作品である。
ということで
ダメ沢直樹でした
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