雑な脚本と微妙な演出がニコラス・ケイジのシリアル・キラーで救われる『ロングレックス』
■ロングレックス

《作品データ》
ニコラス・ケイジがシリアル・キラー役を演じ、全米を震撼させたスリラー映画!1990年代のオレゴンで、FBIの捜査官リー・ハーカーは上司のカーターから未解決連続殺人事件の捜査を任されることに。リーはそれぞれの事件の共通点から悪魔の暗号が書かれた「ロングレックス」という署名の手紙を見つけつつ、事件の真相を探る。謎の人物「ロングレッグス」をニコラス・ケイジが演じ、他マイカ・モンロー、ブレア・アンダーウッド、アリシア・ウィット、ミシェル・チョイ・リー、ダコタ・ダウビー、キーナン・シプカ、ジェイソン・デイ、リサ・チャンドラー、アヴァ・ケルダース、カーベル・アミット、ピーター・ジェイムス・ブライアントが出演。
・3月14日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町他全国ロードショー【PG12】
・配給:松竹
・上映時間:101分
【スタッフ】
監督・脚本:オズグッド・パーキンス
【キャスト】
マイカ・モンロー、ニコラス・ケイジ、ブレア・アンダーウッド、アリシア・ウィット、ミシェル・チョイ・リー、ダコタ・ダウビー、キーナン・シプカ、ジェイソン・デイ、リサ・チャンドラー、アヴァ・ケルダース、カーベル・アミット、ピーター・ジェイムス・ブライアント
原題:Longlegs/製作国:アメリカ/製作年:2024年
公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/longlegs/
《『ロングレックス』レビュー》
予告編では「全米興収No.1」とか「この10年でいちばん怖い」だの妙に重要作な雰囲気をやたらとだしていたことが気になったニコラス・ケイジ出演映画『ロングレックス』。尤も、ボクもこうした煽りを真に受けはしないが、それでも『セブン』や『ドラゴン・タトゥーの女』みたいなタイプのスリラー映画かなとそれなりに期待をして見たものの、展開の歯切れが悪い脚本と無駄なジャンプスケアが悪目立ちするダメな演出など、はっきり言ってのとんだ一杯食わせものなスリラー映画で、ニコラス・ケイジが演じたシリアル・キラーも焼け石に水といった体たらくだった。

幼少期に不審者に出会ったトラウマを持つFBIの女性捜査官が請け負った仕事がどうやら己のトラウマ事件が関わる、といったもの。中盤以降によりクローズアップされるシリアル・キラー「ロングレックス」のインパクトがあるのと彼にまつわるエピソードはそこそこ面白いので、どうにか最後まで見ることは出来る。
が、そこに至るまで、特に前半パートのストーリーのテンポが悪い。現在進行の連続殺人事件の捜査をしているかと思いきやリーの幼少期のエピソードが度々挿入されたりするので、進展が遅い。被害者の娘の誕生日の前後6日に事件が起きるという共通点も無理矢理だし、リーの幼少期の70年代や現在進行の90年代、あとオレゴンという舞台もそれほど活かされてない。ぶっちゃけアメリカの田舎ならどこでもいいんじゃないみたいな感じだ。

それに宣伝文句にある「怖さ」に関しては全くない。随所にジャンプスケアのSEがあるが明らかに蛇足だし、無理にそっちの方面に味付けするだけダメな映画になる。

奇しくもニコラス・ケイジが演じるシリアル・キラーとやらが辛うじて救いで、T・レックスの「Get it on」が虚しく響く。ニコラス・ケイジのシリアル・キラーがどうしても見たいという人以外はスルー推奨。
