何が現実で何が妄想なのか…本格サスペンスアニメ『PERFECT BLUE』


【PERFECT BLUE】
1998年公開/サスペンス、アニメ/81分/日本/R15
※2023年に公開25周年記念4Kリマスター版がリバイバル上映された。
キャラクター原案に江口寿史、大友克洋が企画に参加したサスペンス・アニメ。謎の人物のストーキングに怯えるアイドルの恐怖を描く。アニメで本格的な現代サスペンスに挑んだ意欲作であり、リアルな作画や狙われるアイドルの心理描写、そして画ではなく物語から恐怖を語った演出は目を見張るものがある。声の出演に岩男純子、松本梨香。
人気絶頂期にアイドル・グループから脱退し、女優に転身を図った美少女・未麻。ある日、彼女のもとに熱狂的ファンらしい人物から脅迫めいたFAXが届く。やがてその行為はエスカレートし、未麻は次第に身の危険を感じるが...。(TSUTAYA DISCUS)
《STAFF》
監督:今敏
音楽:磯見雅博
プロデューサー:鷲谷健
《CAST》
未麻:岩男潤子
ルミ:松本梨香
田所:辻親八
内田:大倉正章
手嶋:秋元羊介
渋谷:塩屋翼
桜木:堀秀行
恵理:篠原恵美
🎥今敏監督『PERFECT BLUE』ULTRA HDブルーレイ、2月28日発売。『パーフェクトブルー戦記 番外編』をブックレットに収録(Yahooニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd2b0d0ea3ef7647d331d316ffca08e3d0c6a1d4
🎥「第3回新潟国際アニメーション映画祭」のレトロスペクティブ部門で、今敏の特集上映が行われる。
2025年3月15日から20日までの6日間開催される「第3回新潟国際アニメーション映画祭」レトロスペクティブ部門は、日本のみならず世界の映画・アニメーションに多大な影響を与えてきた監督を取り上げる部門で、第1回に大友克洋、第2回に高畑勲の特集を実施した。今回は、夢と現実の境をたゆたうようなアニメーション表現が特徴的で、没後14年が過ぎた現在でも大きな影響を与え続ける今の業績と魅力を振り返る。(Yahooニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b4f2ac645d3e1aef03056eeeeee69e3c67c2ede
古い作品だけど、コアなファンの多い本作。
少し前にTSUTAYA DISCUSでレンタルしました。
時代背景は平成中期、少しずつインターネットの普及が進んできた頃でしょうか?
アイドル全盛期から少し廃れてきて、芸能人はマルチに活躍しないと生き残れない時代....女優への異常な性搾取など、当時の芸能業界の実態を映し出すかの様な内容も話題に上がりました。
(ここから、ネタバレなしであらすじを少しだけ…)
主人公の未麻はアイドルから女優に転身します。
最初でこそ連続ドラマでたった一行だけのセリフの役でしたが、レイプシーンを演じることで一躍有名となりヘアヌード写真集の仕事まで舞い込むなど、アイドル時代のイメージからかけ離れた仕事をこなしていくように。
しかし未麻は自身のイメージと現実とのギャップに悩むようになります。
ある日、彼女の関係者を狙った凄惨な連続殺人事件が発生しました。さらにインターネットには、見に覚えのない「未麻の部屋」というプライベート日記のHPが開設されていて、日常的に監視されているのかと思うほど忠実な行動内容が更新されていきます。
未麻は妄想と現実の狭間に怯え、ドラマのシナリオの中でも演技なのか現実なのかわからなくなるような精神状態になっていきます。次第にアイドル時代の自分の幻覚を見るようにもなっていき...
何が現実で何が妄想なのか...観ている私達まで、本当の事が何なのかわからなくなっていきます。
もうひとりの未麻の演出には心底ゾッとしましたし、最後〇〇がトラックに轢かれそうになる寸前の場面がステージの光に重なる演出が秀逸でした。
20年以上前の作品にも関わらず、今も色褪せないストーリーはやはり伝説的アニメ映画だと納得!!さすがに画質などは古さを感じるのですが、場面の切り替えや演出面では今のアニメ映画以上のクオリティではないかと思いました。
小さい頃、キラキラしたアイドルに憧れてテーブルの上で歌ったり踊ったりしていたことを思い出します。
だけど現実には、そんなキラキラしたものじゃないのかもしれない。ある意味、ファン達は作り上げられたイメージ(理想)の中で自分が見たいと思う架空の人物に憧れているだけなのかも....。
自己顕示欲(自)と承認欲求(他)の2種類を、誰しもが多かれ少なかれ持っていると思うけど...これが満たされることが本当に幸せなのかは難しいところですね。
その為に必死になりすぎて、自分が空っぽになってしまったアイドルがたくさんいたのだろうと思いました。
サイコサスペンスの内容とは少しずれてしまったけど、「誰が犯人なのか?そもそも誰目線のストーリーなのか?」人によって様々な解釈がありそうな考察しがいのある作品でした!!
未見の方、ぜひぜひオススメしたいです♪

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投稿を表示お邪魔します。さっちゃんです。
この映画、本当に怖かったですね。主人公の視点で見ているはずの世界がどんどん歪んで主人公を追いつめていく。最後に合理的な謎解きはあり主人公は新たな歩みを踏み出すのですが、途中では観ている自分も狂気に飲み込まれるような感覚がありました。
今敏監督の逝去は本当に早すぎて悔しいとしか言えない出来事でした。ただ、彼が残した作品群はこれからも新しい観客の心に残っていくことだと思います。