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私の好きな映画

日米比較 ヒーローのリブート作品 C・ノーランVs庵野秀明②

昭和のヒーローはこれでよかったか?

 

「ウルトラマン」と「仮面ライダー」、現在も形を変えて作り続けられています。

庵野秀明はその初代の映画化に取り組みました。

わては、どちらも原体験でリアル視聴しています。

双方の第一世代です。

期待と不安が半々で‥‥

 

映画では伝わらない目的と趣旨

「シン・ウルトラマン」は脚本が庵野秀明で、演出は樋口真嗣です。

この配置に不安が過ぎりました。

やはり、その通りでした・・・

 

オープニングは「シン・ゴジラ」→「ウルトラQ」となり、

ウルトラQからウルトラマンへブリッジさせます。

 

科特隊→禍特対

怪獣→禍威獣
に変換させ話が進みます。

 

なぜウルトラマンが来たのか?

なぜ怪獣、宇宙人が現れるのか?

禍特対は何してるのか?

よくわかないんです~

 

テレビシリーズでは

ウルトラマンが地球にやって来て、

地球にとどまる理由は、なんとなく描かれています。

 

ウルトラマンはなぜ、そんなに地球人を好きになったのか?

これが本作のテーマです

地球愛なのです。

ウルトラマンはコスモポリタンなんです。

 

TVシリーズのメインライター、金城哲夫は

ふるさと沖縄に伝わる守り神を下敷きにして

コンセプトをつくりました。

彼は幼少期、上陸した米軍に投降した経験、

当時の時代背景(・安保闘争・自衛隊・高度成長期)などを織り交ぜています。

時にウルトラマンは正しいのか、いつもウルトラマンに助けてもらってていいのか、

など、揺れのあるヒーロー物というのが魅力なんです。

 

年下の友人と話すと、彼にとってウルトラマンはウルトラマンタロウと言いました。

初代ウルトラマンに憧憬を持つのは50代後半の男子なのです。

冒頭に言いましたように現在もシリーズは続き、

年ごとにニューキャラクターにアップデートされています。

世代によって、ウルトラマンは違うのです。

 

「シン・ウルトラマン」は造形作家成田亨のデザインなど、

初期設定の再現性にこだわっています。

しかし、平成に再開された「ウルトラマンティガ」以降のシリーズは特撮とCGを取り入れた

ハイブリッド作品で、昭和に不可能だった映像を表現しています。

わてが求めていたのは、ストーリー性であって、

現代にどうウルトラマンを登場させて、怪獣、宇宙人と戦うのかを

望んでました。

ウルトラマンを知らない人たちに響いたのでしょうか?

 

ウルトラマンの造形

最初、ウルトラマンの頬にしわがありました。

これはウルトラマンがしゃべるために、口を動かそうとして、変なしわができてしまった失敗作なんです。

その後、ウルトラマンのマスクは改良され端正になっていきます。

 

庵野秀明はこれに理屈をつけています。

(ウルトラマンが地球にきて体調が変化するのをデザイン化している)

これって、必要?

 

わたしならウルトラマンをこうする!

そのアイデアはあるのです、これでウルトラマンはなぜ地球に来たか、

なぜゾフィーは「ウルトラマン、そんなに地球が好きになったのか!」

をバッチリさせるプロットがあるのです。

 

内緒!

 

「シン・仮面ライダー」は庵野秀明監督作品

昭和仮面ライダーも映像の復元にこだわっています。

 

石森章太郎が原作となっていますが、

もともと原作があるのではなく、

テレビ番組の企画として、その構成・設定を

石森に委嘱したものです。

(当時の石森章太郎で表記)

 

石森作のコミックとテレビシリーズは同時並行で創作されています。

庵野作品はこの石森原作も取り入れて再生しています。

 

仮面ライダーは首からしたは改造されていますが、

顔は改造されていない、マスクをしていることで仮面ライダーなんです。

そのマスクの後ろから髪の毛が見えたり、

たまに仮面を外す、ここを強調しています。

 

敵対する怪人たちのフェイスにもどことなく人間っぽさをだしているのは、

改造人間という名の通り、もとは人間であったことです。

 

こだわったのはアクション

ウルトラマンのようなミニチュアワークによる特撮ではなく、被り物によるプロレス的等身大のアクションが見せ場です。

原作はテレビシリーズより、

残虐かつバイオレンスな描写です。

庵野秀明はイメージするアクションがなかなか撮れなくて、技斗監督とぶつかる、そんな焦りや現場の行き詰まりがNHKのドキュメントで放送されていました。

 

庵野秀明はアニメの人です。

アニメは自分で思い描くものを映像にできますが、

実写はそうはいかない。

 

CG処理をせざるを得なかったー

今日、アクション映画は少なくなりました。

それよりアクションのできる俳優がいないくなりました。

殺陣師のつけるアクションは段取り優先になり、

殺し合いが踊りになっているんです。

俳優の安全性が第一のため…

これが庵野秀明のつまずきではなかったか――――

 

良さをひとつ挙げるなら、悪事を犯しても救われる道がある!

という仏教的視点ですかね。これは庵野のオリジナルティと言えます。

 

悪の組織の目的は

「ショッカー」の目的がなんのか?!

世界征服を狙うのに、おんなこどもを襲ってどうするの!ってのはTVシリーズの問題点。

映画ではショッカーを追う政府の謎の男たちが出てきます。

 

共謀な怪人→オーグの活動も、あれで世界征服できるの?

ショッカーのPDCAはなんなんでしょう~

 

日米格差はーーーヒーローと悪における表現差

ともに悪が存在し、その悪を倒すためヒーローが登場します。

 

C・ノーランは古典コミックを現代において、

そのヒーローと敵の存在意義をリアルさに迫っています。

架空都市ゴッサムシティは多様な犯罪がはびこる、ニューヨークのような高度な都市を想起させ、

その世界観のつくりこみに感服いたしました。

 

一方日本のヒーローたちは‥‥

仮面ライダーのマスクは、人間であり善が残っていることを象徴しています。

悪の組織ショッカーを倒すためつくられたヒーローのパーパスはあるのですが、

倒す敵が明確でない。

ウルトラマンにいたっては、壮大すぎます。

 

庵野二作品は自分の想いに寄った自分が観たい

プライベートフィルムといったところでしょう。

ただ、庵野秀明が取り組んだからこそ、実現できた作品なので

観れたことに、感謝してもいいと思うのです。

 

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