ファンファーレ 私たち、もうアイドルじゃない
私たち、もうアイドルじゃない――。
アイドルをやめた二人の女の子と、これからやめる一人の女の子。
20代の女性たちが持つ揺れ動く心情や葛藤を、
「アイドル」という夢と挫折が交錯する世界を通して描き出す。
人生の中で何かをやめて、諦めて、生きている全ての人に贈る、
次に進むために何かをやめる覚悟を決めた人の、強くて静かな輝きを映した作品。
今日は高知県にある「Kinema M」という映画で本日公開の「ファンファーレ」という映画を観てきました。監督・脚本・編集は『スプリング、ハズ、カム』などで有名な吉野竜平氏。
ストーリーは、アイドルグループ「ファンファーレ」の初期メンバー3人のうち、既にアイドルを辞めてセカンドキャリアを歩んでいるダンスが得意な元リーダーの「万理花」と服飾の会社で働いている元カリスマの「玲」。最後の初期メンバーである「由奈」のために、卒業曲の振り付けと衣装のデザインをすることになる。その過程で描き出されているのが、「アイドルのセカンドキャリア」である。
〜以下少しネタバレあります~
まず最後の初期メンバーである由奈が個人的にはとってもかわいかった。それはアイドルとして最後の輝きを最大限に魅せたからかもしれない。ラストの卒業ソングを新メンバーたちと踊るシーンはひときわ輝いていた。だが最後、卒業公演(配信)で挨拶をしようとしたところで話は終わる。由奈が卒業する理由は最後まで明かされなかった。彼女は卒業後故郷へ帰り次の道について考えるそうだ。
そしてアイドルのセカンドキャリアを歩んでいる万理花。彼女はダンスが大得意で今はダンス教室でキッズたちにダンスを教えたりインスタライブでかつてのファンファーレの昔話などをしている。オーディションは受けなくなったそうだ。彼女はきっと、アイドルを辞めるまでは自分にとても自信があったのだろう。ただ外の世界に出て、自分の価値を見失い、自分の場所(レッスン)を奪われそうになったりファンファーレの振り付けを新メンバーに少しダメ出しされると、「もういい!」と自暴自棄になり振り付け担当を辞めたりダンスをやめるなどと言い散らかす。彼女を見ているとかつての自分を見ているような気分にもなった。「承認欲求のこじらせ」…玲…が言っていた言葉、とても刺さった。いい年した、ダサい。私も肝に銘じなくてはと思った。
ただ彼女はとても良い光るものを持っているはずだ。次の道へ進む勇気が由奈の卒コンを通して見つかったのかもしれない。
また、玲は元カリスマで美人。今はあこがれだった服飾系の会社で働いている。彼女はコミュ障。社会人としての対応が難しいところがある。そしてデザインの他にも会社のため雑用等ももちろんある。それを上手くこなせない・思っていた道とは違う。社外の人の衣装への質問にも話がうまくできず上司に助けられ、「塩対応で良いのはアイドルぐらい。ただの無礼。自分を変えることも必要。」等と苦言を言われる。そんな玲は由奈の衣装の採寸をしている最中、由奈に「玲はかっこいい。天才」と言われ思わず号泣する。そんな玲に困惑しつつ由奈はぎゅっと抱きしめる。友情である。
そんな玲は卒業衣装のデザインを完成させる。とても美しい白い衣装。素敵だった。
玲が万理花に苦言をもうす場面はしびれた。そして意見を率直に言える関係は素晴らしいと思った。
思えばこれから「アイドルのセカンドキャリア」を迎える由奈の次が気になるが、彼女がある意味全てを見ていて達観しているようにもスクリーンからは見えた。
やりきったのだろう。
アイドルのセカンドキャリア、私にもリアルに好きなアイドル・推しがいる。
そのアイドルの名言で「推しは推せるときに推せ」という言葉がある。
まさしくその通り、アイドルの表舞台での活躍はいつか終わりが来る。それが突然の時もある。
だからファンとしてはアイドルの間は後悔しないように応援し、アイドルはその偶像をやり遂げる。
セカンドキャリア…私も昔音楽が好きで途中であきらめた経験がある。だが20年の時を経てまた音楽を再開した。アイドル達もきっと歌や踊り等がきっと好きだから続けられるのだろう。
どんな道を進むかはその人の人生次第だが、この映画を通して自分の体験や想いにもリンクしてきた。
この作品を地元の高知の映画館で鑑賞できてとても良かった。
より広がってくれたらうれしい作品である。
最後に
アイドルはきらっきらで儚いからこそ、人を惹きつけるのだろう。
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