血湧き肉躍るネイティブ・アメリカン英雄譚
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【2025 - No.24】
〜 米国映画における先住民 Vol.2 〜
𝐍𝐚𝐭𝐢𝐯𝐞 𝐀𝐦𝐞𝐫𝐢𝐜𝐚𝐧𝐬 𝐢𝐧 𝐔.𝐒. 𝐅𝐢𝐥𝐦
(Cover photo: via IMDb)
ラスト・オブ・モヒカン
アメリカ 112分 1992年
先日観た「ダンス・ウィズ・ウルブズ」より時代を遡ること約一世紀。本作では植民地アメリカを巡るイギリスとフランスの領土争いに巻き込まれた先住民や開拓民の姿がモヒカン族のもとで育てられた白人「ホークアイ」の存在を中心に描かれる。なかでも興味深いのは前者に出てきた先住民スー族がケビン・コスナー扮する北軍中尉と出逢うまで銃器に触れた経験がまるで無かったのに対して、後者におけるモヒカン族、モホーク族、ヒューロン族がその扱いに慣れている部分であり、これは彼らが好む好まないに拘らずイギリス人やフランス人と付き合わざるを得なかった過去を如実に示すものと云える。またモヒカン族の男たちが開拓民と親しく交流する様子からは先住民と白人が常に敵対していたわけではないことなどが窺える
偉丈夫なハンサムガイ&美しき令嬢のラブロマンスが絡む英雄譚をスピーディなアクションと勇壮なスコア(しばらく耳に残るメロディ)で色付けした物語は観客を魅了する反面、そうしたジェットコースター的展開によってフィクション性が強調され些か真実味を欠く仕上がりになった感は否めない。細部に拘るマイケル・マンらしい徹底した画面作りは見事の一言に尽きるが、であるならばもう少しドラマ性を抑えた方が映画としての完成度は増したようにも思われる
一筋縄ではいかぬ人物役の多いダニエル・デイ=ルイスが直球ヒーローを演じる点においては或る意味貴重なフィルム。相手にじっと瞳を凝らし「貴女を見ている」と伝えるホークアイの告白にはヒロインでなくとも虜にされてしまうだろう
★★★★★★★☆☆☆

原題 The Last of the Mohicans
監督 マイケル・マン
脚本 マイケル・マン, クリストファー・クロウ
撮影 ダンテ・スピノッティ
編集 ドブ・ホウニグ, アーサー・シュミット
音楽 トレバー・ジョーンズ, ランディ·エデルマン
出演 ダニエル・デイ=ルイス, マデリーン·ストウ
受賞 1993年度アカデミー賞音響賞
公開 1992.09.25 (米)/ 1993.03.13 (日本)
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