【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『邪悪なるもの 』
【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『邪悪なるもの 』

《作品データ》
2023年シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀長編映画賞を受賞したアルゼンチン発のスリラー映画。ペドロとジミーの兄妹は隣に住むルイスの農場の区域で変死体を発見した。さらに近所の知人の女性の家に行くとさらなる惨劇を目の当たりにすることに。主人公のペドロ役をエセキエル・ロドリゲスが演じ、他デミアン・サロモン、シルビナ・サバテール、エミリオ・ボダノビッチが出演。
・1月31日(金)より新宿武蔵野館他全国ロードショー【R15+】
・配給:クロックワークス
・上映時間:100分
【スタッフ】
監督・脚本:デミアン・ルグナ
【キャスト】
エセキエル・ロドリゲス、デミアン・サロモン、シルビナ・サバテール、エミリオ・ボダノビッチ
公式HP:https://klockworx.com/movies/jaakunarumono/
《『邪悪なるもの』レビュー》
邦題やフライヤー、それと一部の界隈では信頼のブランド「シッチェス・カタロニア国際映画祭」で賞も獲っているアルゼンチンのスリラー映画『邪悪なるもの』。なるほど、“邪悪”とはよく言ったもので、その邪悪の気に支配された人々と惨劇を描いた新たなるディストピア・スリラーで、
容赦ないグロ描写も相まってわりと楽しめた。

舞台はアルゼンチンの首都ブエノスアイレス郊外の農村で、そこに住むペドロとジミーの中年の兄弟の周辺で次々と惨劇が起こる。序盤に出てきた変死体のグロさはまさしく序ノ口で、その近隣の家の住人のとあるの描写がぶっ飛んでいる。おそらく、この辺りから好き嫌いが激しく分かれそうだし、あらゆる意味でツッコミ満載なシーンだが、これが“邪悪”のなせる業と考えると面白い。その考えは日本でも平安時代ぐらいから陰陽師の存在からあったわけだし、ヨーロッパにおいてもキリスト教における悪魔や妖怪の描写にも通じる。それがインフラもいまいちままなってないアルゼンチンの田舎だからワンチャンあり得そうな話に思える。

以降の農場主夫婦の凶行や黒い羊、街でのペドロの元妻の家でのトラブルも“邪悪”のなせる業のように見える。それは狂気、迷信、妄想といった負の気が生み出した悪と考えると意味深で楽しめる。

様々なエピソードの中には尻切れトンボなものもあり、全体的に荒削りな作りのスリラー映画ではある。見る人を確実に選ぶグロさはあるが、
そこが好物なら田舎村で巻き起こるスリラー映画としては秀逸である!

