池松壮亮と前田敦子が光る宮崎出張のガーリー殺し屋アクション映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
■ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
《作品データ》
『ある用務員』『最強殺し屋伝説国岡』『グリーン・バレット』など、殺し屋コメディ映画というジャンルを作り続けている若き異才・阪元裕吾の代表作『ベイビーわるきゅーれ』の第3弾にあたるアクションコメディ映画! 殺し屋協会からの依頼で宮崎県に出張したまひろとちさと。一旦は任務を遂行し、宮崎でのバカンスを楽しんだ二人だが、午後の仕事でターゲットの元に行くと見知らぬ男と遭遇。まひろはその男と激闘の末に負傷し、ターゲットも逃してしまう。協会は二人の先輩に当たる入鹿みなみとパートナーの七瀬を派遣し、二人にフリーの殺し屋・冬村かえで(=見知らぬ男)の始末を科すことに。主演は前作に続き、髙石あかりと伊澤彩織、入鹿みなみ役を前田敦子、謎の殺し屋・冬村かえで役を池松壮亮が演じ、他に水石亜飛夢、飛永翼、中井友望、大谷主水、かいばしら、カルマが出演。
・9月27日(金)より新宿ピカデリー他全国ロードショー
・上映時間:112分
・配給:渋谷プロダクション
【スタッフ】
監督・脚本:阪元裕吾
【キャスト】
高石あかり、伊澤彩織、前田敦子、池松壮亮、水石亜飛夢、飛永翼、中井友望、大谷主水、かいばしら、カルマ
・公式HP: https://babywalkure-nicedays.com/sp/
《『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』レビュー》
1作目の『ベイビーわるきゅーれ』、前作の『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』と順調にステップアップし、第3弾として作られた『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』。大半を宮崎でのロケで作り、宮崎出張作品としての要素が強く、これまでの『ベイビーわるきゅーれ』シリーズと比べて余所行き感が強いが、相変わらずのアクションの凄さと池松壮亮や前田敦子といったゲストのポテンシャルを引き出した個性が強いストーリーから、
日本映画では最高の、世界の映画から考えても屈指のアクション&コメディ映画が爆誕!
まひろ&ちさとのゆるふわエージェントの宮崎でのミッションが、殺し屋協会とは別のフリーの殺し屋・冬村かえでと現場で遭遇したことから元のターゲットよりも先に冬村の始末が追加ミッションとなる話で、前田敦子が演じるエージェントの入鹿と七瀬が二人に科された追加ミッションの協力者となる。前2作と一番の違いは宮崎での出張ミッションの話なので、これまでに見られた二人の日常でのバイトの様子や部屋での私生活の風景はなく、完全に仕事の出張&バカンス映画になっている。バチバチとした本格的なアクションやまひろ&ちさと、他のキャラのゆるい雰囲気でのコメディ演出は変わらないが、日常を排除し、これまでとは違ったテイストの『ベイビーわるきゅーれ』に仕上がっている。この違いを割り切って、この宮崎出張作品を楽しんだ方がいい。
そこで単にまひろ&ちさとの宮崎出張版にせず、前田敦子が演じる二人の先輩エージェントの入鹿みなみを出し、これまで以上に「仲間」、「協調性」、「コミュニケーション」がテーマとして強く出ている。入鹿のツンツンした気が強いキャラが前田敦子にハマっている。シリアスな雰囲気も出せるし、嫌味な感じもよく出ているし、そのアクの強さを利用した笑いも生み出せている。その対立者として高石あかりが演じるちさととバチバチやり合うのもハマっていて、前田敦子VS高石あかりとして見ても非常に楽しめる。
本作のゲスト敵役の池松壮亮が演じる冬村かえでは前作『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』の敵役・神村兄弟のゆるいけど強い殺し屋とは微妙に違い、協調性が乏しいバカ強いだけの孤独な殺し屋で、どこか一本気な所は池松壮亮が過去に演じた『宮本から君へ』の宮本にも通じる。あと、脇役ながらユーチューバーのかいばしらが演じる松浦も演者のかいばしららしい役柄でありながら、程よい光を放っている。
続編が出る度にまひろ&ちさとと敵キャラの殺陣は凄まじいレベルに上がり、本作はキアヌ・リーブス主演の『ジョン・ウィック』シリーズと比べても勝るとも劣らず。プラス、体術のみならず、まひろ&ちさとのゆるふわガーリー友情も忘れてない。これまでの日常性こそは皆無だが、それはそれで、