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特集

似顔絵で綴る名作映画劇場『今夜は踊り明かしたいあなたへ』

今夜は踊り明かしたいあなたへ

あの狂乱の時代を走り抜けた方ならその想い出も鮮烈な“ディスコブーム”。

誰もが踊り狂った六本木の夜は妖しく輝く不夜城でした。まさに時代に踊らされたと言

っても良いでしょう。いつの時代も私たちを包み、励まし、駆り立てる音楽の魔力。

そんな音楽に彩られた作品をご紹介します。


『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)

イラスト 志賀コージ

現代では″ディスコ″なんて言葉は死語に近く、今の若者の間ではもはや通用しないでしょうが、それはそれは、今となっては信じられないほどの熱狂ぶりでしたね、この時代の″ディスコブーム″は。
かく言う私も、バブル期には終電を気にせず踊り明かせるようにと、その為だけに友人を含む3人で、六本木にセカンドハウスとしてのマンションを借りたほどです。そんな時代の先駆けが『サタデー・ナイト・フィーバー』でした。ビー・ジーズの心踊るサウンドに酔い、トラボルタのステップを特訓し、ビギのスーツをビシッと決めて、夜な夜な六本木を闊歩したものです(笑)。その時の酷使が影響したのか、40年あまり経った今では腰痛と老眼が甚だしく、気がつけば″フィーバー″どころか、″シルバー″と呼ばれるようになっていました。いやはや、光陰矢の如しです。

 

 

『スリラー』/MV (1983)

イラスト 志賀コージ

劇場用映画ではありませんが、これほどまでに世界中を熱狂させたショートムービーはありません。史上最も売り上げたアルバム『スリラー』のミュージックビデオ(MV)として製作された14分の奇跡! 圧巻のパフォーマンスは、まさに革命でした!
おどろおどろしいゾンビたちがマイケルと共に踊り出して、最高にチャーミングに見えてしまうのが何とも楽しい。当時はまだDVDではなく「ビデオ」の時代。私もいの一番に買いましたね。メイキング映像付きのビデオを擦り切れんばかりに何度も何度も繰り返し観た人が世界中に溢れたことでしょう。今では想像もつかないような社会現象を起こして、マイケル・ジャクソンは“キング”へと登りつめました。
このショートムービーを監督したのがジョン・ランディスです。ジョン・ベルーシ主演の『アニマル・ハウス』(1978)や『ブルース・ブラザース』(1980)でも知られる才人です。この『スリラー』の2年前に彼が撮ったのが『狼男アメリカン』(1981)です。この時の変身シーンやコメディ要素と、マイケルの神秘的とも言える魅惑のパフォーマンスとを見事に融合させたのが『スリラー』なのです。この作品によって「ミュージックビデオ」というジャンルが名実ともに確立され、以降の音楽シーンにおいて欠かせないものとなったのです。80年代はまさにその全盛期でした。その中においても、この『スリラー』は最高傑作として今なお人々の心に焼き付いて離れません。

 

 

『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)

イラスト 志賀コージ

『サウンド・オブ・ミュージック』は、ミュージカル映画史上もっとも成功した作品のひとつに挙げられる名作です。
妻を亡くして7人の子供を抱える厳格な退役軍人一家。その家庭教師を任された新米の修道女。子供たちとの交流とその父親との愛の芽ばえ、そして侵攻してくるナチスからの必死の逃亡。珠玉の名曲の数々と共に謳い上げる胸いっぱいの愛。主演のジュリー・アンドリュースの清廉な魅力に心洗われるようです。
大空を自由に羽ばたく鳥の視線のようなカメラワークで、雄大なるアルプスの山々、清らかに輝く湖水、鮮やかに萌える緑の木々を眺めるとそこから美しい高原が現れる。鳥たちのさえずりが聴こえてくる。上空から見える小さな人影がやがて大きくなり、笑顔で両手をいっぱいに広げた女性が唄い始める。♪高原は生きている 音楽にあふれて・・・ 私の心は歌う 高原の歌にあわせて・・・ 私の心は羽ばたく 空飛ぶ鳥の翼のように  
このオープニングシーンの圧倒的な美しさにため息です。そして、この名曲『サウンド・オブ・ミュージック』を聴けば、今でも熱いものが込み上げてきます。

 

 

『Shall we ダンス?』(1996)

イラスト 志賀コージ

チョットかしこまったり、古臭かったり、敷居が高かったり、そんな社交ダンスのネガティブな固定観念を打ち破って、日本のみならずアメリカでも大ヒットした傑作です! その後の日本の社交ダンスブームを呼び起こしました。日常的なスキンシップに不慣れな日本人には、どこか遠い存在であった社交ダンス。そこに光を当てた周防監督の眼力お見事!
映画の内容は、平凡で実直な中年サラリーマンが、日々の中で何か物足りなさを感じ、ふと出会った小さな社交ダンス教室を訪れるところから始まります。美しい講師への淡い想いから端を発した、家族にもナイショの秘密の時間。少しばかりよこしまだった動機も、いつしか真っ直ぐに向き合うようになっていく主人公。社交ダンスへの偏見にも似た思いを持つ周囲との微妙な距離感に困惑しながらも、家族の理解と応援によって、ステップの上達と共に人間的に成長していく男の姿を、役所広司が、時にはにかみ、時に軽やかに演じています。何より、竹中直人の怪演ぶりに大笑いです‼ 撮影時には、共演者もスタッフも笑いの渦で悶絶させたに違いありません(笑)。心が躍る映画です。

 

 

『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)

イラスト 志賀コージ

近年、これほど感動した映画はありません。
私の期待と想像をはるかに超えていました。
フレディ・マーキュリーを、そしてクイーンをリアルタイムで観た者として、この作品の持つ意義の大きさを感じずにはいられません。あの時代がいかに固定観念に縛られ、片寄ったイメージに流され、本質を見極める眼が曇っていたのか。そして私自身も、その中にどっぷりと浸かっていた事を思い知らされたのです。当時の日本では、熱狂的ファンは別にして、どこか“キワモノ”的な扱いをされることも少なくありませんでした。そして、今では、彼らの独創性あふれる歌の魔力に、人々はひれ伏したのです。あらためて、フレディ・マーキュリーの高度で奥深い歌の数々に圧倒される映画であり、フレディの魂が憑依したかのような奇跡のパフォーマンスで観客の眼を釘づけにしたラミ・マレックの凄さ。フレディの内面や苦悩を、ものの見事に演じきり、感動が胸の奥の奥まで響き渡ります。凍り付いていた父親との関係が雪解けし、あのライブ会場へと向かう場面の辺りから涙腺はいっきに緩みましたね。伝説の「ライブ・エイド」が、人間のちっぽけさと、偉大さと、愛というものの無限の可能性を、高らかに歌い上げて、涙です。
これは、往年のクラシカルな名作映画のように、永く永く語り継がれるであろう至高の映画です。

 

 

『ラ・ラ・ランド』(2016)

イラスト 志賀コージ

古き良きジャズのスタイルを追い求めるピアニストの青年。
オーディションを受けては落ちる女優志願の美しい娘。
ひょんな出来事から出会い、夢を語らい、恋に落ち、やがて共に暮らし始める。
青年は、本格的なジャズを奏でる店を開くことを夢見ている。だが資金が無いので友人のバンドに入り、今どきの音楽で生計を立てている。そして、彼女の口から、求める音楽との違いを鋭く問われると、激しく言い争い、いつしか二人の間にすきま風が。そして、別れ。
5年の歳月が流れ、二人の夢は共に実現する。
大女優となった彼女は、幸せな家庭をも持っている。
ある日、映画の冒頭とまったく同じシチュエーションで、導かれるように青年が開いた店で、偶然に再会する二人。ステージと客席。言葉はない。
運命の歯車がほんの少しズレていたら。5年という時間を共に過ごし、幸せな家庭を築いていたのは自分たちだったのかもしれない。二人の瞳に映し出された架空の幸せな日常風景が,想い出の曲とともにセピアに色づく。すれ違うエスカレーターのように、人生に逆行はない。掴む夢もあれば、こぼれる愛もある。
夢の甘さとホロ苦さが、またひとつ人を大きくさせる。
素晴らしい余韻が胸を打つ名作です。

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1 件の返信 (新着順)
Stella
2024/12/19 06:09

なかなかユニークなイラストですね。ねっとりした感じが個性があってよいです。


ありがとうございます。
これからも洋画、邦画を問わず様々な作品をアップしていきますので引き続きご覧ください♪