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DISCASレビュー

J.T.Hammer
2025/02/24 14:20

「レボリューショナリー・ロード」(2008)

米国北東部郊外へ家を買った夫婦が理想と現実の間で葛藤する姿を描く。テネシー・ウィリアムズの戯曲に通じる濃密な人間ドラマを舞台監督出身のサム・メンデスが直球で演出し見応えは十分。幕引きも上手い(以前の態度とは裏腹にウィーラー夫妻を中傷する不動産業者の傍らでその夫が補聴器の音量を下げる行為はエイプリルが一方的に言葉を並べる相手に対し「黙ってくれ」と懇願していた場面と重なる)

子供の存在など全くお構い無しに自分たちの見勝手な思いだけで無計画な転地を図るフランクとエイプリルの考えは彼らの友達が口にするようにやはり幼稚と云わざるを得ない。あたかも政府機関の秘書としてパリに働き口が有って高収入が保証されているかの如く話すエイプリルの神経はすでにあの時点から不安定になっていたのかも。マイケル・シャノン扮する精神病患者がウィーラー夫婦の本質を一番見抜いていたのは皮肉にも感じられる

今回たまたま吹替で鑑賞したのだが本作みたいな会話劇においては意訳される字幕より吹替の方が台詞本来のニュアンスは伝わりそうな気もした

★★★★★★★★☆☆

(2025-10)

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