チーム 名画座
2024/11/20 23:30
昭和・平成シネマ画報 「真夜中のカーボーイ」「2001年宇宙の旅」
『真夜中のカーボーイ』(1969)
何かが変貌しようとしていた″70年代前夜″のアメリカ。大都会ニューヨークの虚構と現実の間でもがく若者たち。アンチヒーローのバイブルとも言える問題作。肺を病み、ベタベタと脂汗を浮かべたダスティン•ホフマンの汚れた男ぶりを名演と言わずしてなんと言おう!このクールなまでのカッコ悪さ‼ ジョン•ボイトは、田舎者の無垢さと甚だしい自惚れがどこか哀れな男を真っ直ぐな瞳で演じ切りました。大都会の底辺で苦悩する若者のズタボロのカッコ悪さに胸打たれるという現象は、この作品から確立されたと言えるでしょう。″友情″と呼ぶのがどこか陳腐に聞こえてしまう、奇異なまでに美しく哀しい淋しん坊たちの物語です。
『2001年宇宙の旅』(1968)
これぞキューブリック‼
映画史上、誰も体感したことの無かった″ゾーン″に入ってしまい、その奥深くて崇高な感動を言葉に表すことが最も困難な作品です。時空を超えた″生命体″の旅の物語。我らがご先祖様が、獣の骨をもて遊ぶ中で、何気なく傍らにあったより太くて大きな骨を手にした瞬間の稲妻のような衝撃。人類が初めて″武器″を手にした時、その興奮は雄叫びとなって大空に舞い上がる。映画史に燦然と輝く名場面中の名場面です! 人は生まれ、笑い、愛し、涙する。いつしか旅立ち、そして新たな命となって再び輝く。大宇宙のオーケストラが奏でる壮大なワルツに乗せて、ちっぽけなこの星の片隅で、今日も果てしない営みがそこにある。
コメントする