【映画】『28週後…』感想・レビュー・解説
前回のコラムでは、
シリーズの原点『28日後…』について、その魅力やポイントを振り返りました。
今回はその続編、『28週後…』に焦点を当ててみたいと思います。
2作品に共通するのは、舞台はイギリス、未知の感染症レイジウイルスです。
では、感染拡大から28週後のイギリスは、いったいどうなっているのでしょうか。

【あらすじ】
感染すると凶暴性を引き起こし他の人間に襲いかかる恐るべき新種ウイルス“レイジ”が猛威をふるったイギリス。ウイルス感染発生から5週後に最後の感染者が死亡、11週後には米軍主導のNATO軍が派遣され、ようやく再建が始まった28週後のロンドン。スペイン旅行中で難を逃れたタミーとアンディの姉弟も無事帰国し、軍の厳重な監視下に置かれている第1街区で父親ドンと感動の再会を果たす。しかしその場に母アリスの姿はない。彼女は、田舎のコテージに立て籠もっていた時、ドンの目の前で感染者に襲われてしまったのだった。母を恋しがる姉弟は、母の写真を取り戻すため第1街区を抜け出し我が家へと向かう。するとそこで姉弟は思いがけず生きているアリスと再会する。やがて軍医スカーレットの診断で、アリスがウイルスに感染しながらも発病していないキャリアだと判明、ワクチン開発への期待が膨らむが。
(引用元:allcinema)
【目次】
1. 感染拡大から28週後の復興を描く
2. 家族の再会が引き起こす悲劇
3. 感染者の狂暴さと軍の冷酷さ
4. 希望は?救いのないラスト
5.『28日後…』と『28週後…』の違い
1. 感染拡大から28週後の復興を描く
物語の舞台は、ウイルス感染の終息が宣言されたとされる28週後のロンドン。米軍によって「グリーンゾーン」と呼ばれる安全区域が設置され、身元の確認された生存者たちの帰還が段階的に始まっています。
復興に向けた希望が芽生える一方で、感染再拡大の火種は水面下でくすぶり続けており、その不安定さが物語に緊張感をもたらしています。
2. 家族の再会が引き起こす悲劇
主人公ドンは感染の危機が目の前に迫ったとき、妻を見捨て自らだけが生き延びたという後ろめたい過去を抱えています。
やがて彼は、2人の子どもたちと再会し家族は再び一つになります。
しかしこの再会が、皮肉にもウイルス再拡大の引き金となってしまいます。家族それぞれが下す決断と避けがたい倫理的葛藤が、やがて取り返しのつかない悲劇を招く。
この因果関係が本作の核心を成しています。

3. 感染者の狂暴さと軍の冷酷さ
感染者たちは前作と同じく、レイジ・ウイルスによって理性を失い、凄まじい暴力性をむき出しにします。今回はそれに加え、米軍による過剰ともいえる封じ込め作戦、ゾーンの爆破や市民への無差別な射撃命令などが描かれます。
その結果、前作同様「本当に恐ろしいのはウイルスか、それとも人間(軍)か」という問いが、より鋭く観る者に突きつけられる構成となっています。
4. 希望は?救いのないラスト
物語の終盤、感染は再び制御不能なほどに拡大し、生き延びたドンの子どもたちが「ウイルスのキャリア」である可能性が仄めかされます。やがて舞台はロンドンからパリへと移り、フランス全土にも感染が広がり始める様子が描かれます。
冒頭でわずかに見えていた希望は完全に打ち砕かれ、物語は振り出しどころか、より深刻な局面へと突入。
救いも解決も示されないこの結末こそが、本シリーズの冷酷で非情な世界観を強く印象づけています。

5.『28日後…』と『28週後…』の違い

原題:28 Weeks Later
監督:ファン・カルロス・フレスナディージ
主演:ロバート・カーライル
製作年:2007年|製作国:イギリス・スペイン合作|配給:20世紀フォックス映画|上映時間:104分|映倫区分:R15+
(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX


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投稿を表示かこさん
ホラーもぜんぜんいける口でしたよねっ!
両方のコラムたのしませていただきました!
自分前作以上にこちらが大好きです
レイジウィルスが再び広まってしまう原因のシーンは、あまりに切なすぎて、これまで見た映画の中で唯一直視できないシーンです。初見の時に劇場であの場面で大泣きしてしまいました(;^_^A
ほんと名作だと思います
はやく新作が見たいです