すずめの戸締り
これからを生きる子供たちに必死に伝えた作品。
例え大人達が、震災PTSDやフラッシュバックを訴えても。
この事実を知らない世代へ向けて。
【総合ランキングTOP5】
2位 『すずめの戸締り』
12歳になる娘は、東日本大震災の翌月に生まれた。そんな娘が友達とこの作品を観に行き、いたく感動したという。そして、是非もう一度私と観たいと言う。
正直気が進まなかった。
とにかく「あの」津波やそれが残した爪痕を今でも鮮明に覚えていたし、どんなにファンタジーと言われても、残された家族のエピソードが頭から離れず残っているのだ。
2011年3月、まだ幼稚園に通う息子と臨月の私は北海道に住んでおり、そこそこ揺れたし携帯もしばらくは繋がらなかった。それから少しすると、テレビから様々な映像が飛び込んできた。更には後日談も語られ、こんなにかわいそうな話が同じ日本で起きていいのかと思う日々がやってきた。
離れ離れになった親と子。幽霊でもいいから会いたいと願う。生き埋めになった家族がいるであろうつぶれた家に向かい、このままでは家族で自分だけになってしまうと泣き崩れる女性。
とてつもない数の人が犠牲になり、その数だけ悲しいドラマがあった。私も妊娠中ということもあり感情がいつもより過敏になっていた。だから毎日更新される情報に胸がつぶされそうな思いだった。
あれから11年。
震災を知らない世代、身近に感じず来た人に届けたかったという監督。
だからこそ、娘たち世代には物凄く刺さったし、どこか現実離れしたファンタジーで感動したと思う。それにはアニメーション映画というジャンルが最適だったようにも思う。
伝えたいメッセージは明るい未来へつながる言葉で、とても良かったし綺麗事ばかりではない大変な思いをした人の心の闇も描いている。また、毎週変わる入場者特典だが、監督書下ろしの小説で、観客が何度も足を運ぶ要因ともなっただろう。
【ちょっと裏話】
この「戸締り」という終わらせるというキーワード。監督曰く仕事や恋愛、家族関係にしても終わらせることが難しいと考え、あるべき手段で閉じることで新しい場所を見つけられるんじゃないか、いうことから制作に至ったそう。また、観終わってからこの物語をどう閉じればきちんと閉じたことになるかと悩み続けて作ったという。
全国で「私の地元を舞台にして」とリクエストが多く、今回はロードムービーにすることで、各地の風景や魅力的な人々や出会いを描こうと欲張ったとか。
【大事なメッセージ】
いってきます おかえりなさい
当たり前の言葉が持つ、かけがえのない時間への気付き。
正直言って私はしんどかったし、まだ傷癒えぬ大人たちは、感動ではなくあの災害自体を思い出させるPTSD映画という印象が強い。
また、可愛い猫ダイジンが放つ言葉に心がえぐられる事もある。けれど、それを知らない世代はディザスタームービーを観る感覚で、これから起きる事への恐怖とある種興奮を覚えるのだろう。そこまでして伝えようとした製作陣の気持ちが賛否両論を巻き起こし、年間通してファンに愛されたのではないだろうか。
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投稿を表示じゅんちゃん震災の時って臨月だったんだ。それは鮮明に覚えてるよね。そりゃ感情も過敏になってるし、受け取り方も違っただろうなぁ。私も同じ日本で起きてることなの?って信じられなかった。「すずめの戸締まり」はなぜか子供に人気あったよね!私は新海監督のファンで「天気の子」は7回観に行ったぐらい好きだったけど、この作品は鑑賞後、とても複雑な気持ちになってしまって少しショックも受けたかなぁ。
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