怪盗キッドへ、まずは試写会の便りとフィルムを盗んでくれたことにお礼を言いたい。劇場版「名探偵コナン」の最新作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星（みちしるべ）』の公開当日、鑑賞してその意味が理解できた。

大ヒットシリーズ『名探偵コナン』の劇場版27作目となり、予告編でも対決シーンが見られた「月下の奇術師」怪盗キッドや、「西の高校生探偵」服部平次が登場する。舞台は北海道・函館で、その他様々な場所で繰り広げられる本作はは新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀をめぐるミステリーが展開する。

111分という短い時間の中に、凝縮された様々なストーリーは美しい五稜星(みちしるべ)へと繋がる。メインビジュアルは怪盗キッドが大きく飾られているが、江戸川コナンや服部平次はもちろんのこと、周りの人物との関係性や因縁なども目を離すことができない。

主題歌はaikoの新曲『相思相愛』で、本作の内容とは切っても切れないベストマッチとなったエンディングテーマだ。エンドロールが流れても席を立たずに、最後までエンディングテーマを楽しんで欲しい。そして、最後に本作の中で最も重要なシーンが待ち構えていることは、鑑賞した人同士だけで楽しんでもらいたい。ここに怪盗キッドが試写会の便りとフィルムを盗んでくれた大きな意味が出てくることは間違いない。改めてお礼を言いたい、怪盗キッドありがとう。

待望していたファンからしても衝撃を隠せない真実は去ることながら、ストーリーの展開スピードやまばたきできないアクションシーンも盛りだくさんである。名探偵コナンお馴染みのサウンドにも期待を抱きながら、ワクワクとドキドキとハラハラを全身で感じて欲しい作品だ。(中谷元)