究極の愛のカ・タ・チっ 『バタリアン リターンズ』
※一部センシティブな画像が掲載されております。苦手な方はお気を付けください。
皆さんこんにちは
椿です
『バレンタイン先取り💗オススメ恋愛映画』
と、いうことで、恋愛映画ならまかせてください!!!!!
と、言いたいところなのでござんすが、恋愛はからきし苦手でして、映画もその手の作品はほとんど・・・。
でも、ありましたよ!皆さんにご紹介したい恋愛映画が!!
それが、これ!!
『バタリアン リターンズ』(1993)
若いカップルを襲った恐怖と悲劇の物語!
【あらすじ】
カートとジュリーの若いカップルは、いたずら心からカートの父親で、軍の高官のIDカードを盗み出し、米軍のラボに侵入する。そのラボで見たものは、あるガスで死体を生き返らせる実験だった。死体を生き返らせ殺人兵器に仕立てる実験だったが、よみがえった死体の制御がきかず、研究員が食い殺され、殺された研究員もまた蘇る。恐れをなして逃げ帰った二人。その直後、父親が戻ってきて、実験失敗の責任をとらされ転勤することになったと息子に伝える。ジュリーと別れなければならなくなることに反発したカートはジュリーを連れバイクで駆け落ち。しかし、途中事故にあいジュリーが死んでしまう。悲しむカートは先ほど見た実験を思い出し死体のジュリーを連れ、再びラボに侵入。ガスを浴びさせると、途端に息を吹き返すジュリー。
しかし、ジュリーの体は刻刻と変化し、やがて強烈な食欲を覚え、ついに人にかぶりつくようになる。自分の体がだんだん変化し、人の人肉、脳みそを欲するようになるのを恐れ、自殺を試みるも、死んでいるので当然成功しない。彼女は食欲のあまりカートを襲うのを恐れ、食欲を少しでも抑えるために、自分の体を傷つけ、その痛みで一時的に食欲を忘れるようにする。
だが、二人の元に彼女に噛まれ、瀕死の状態の仲間の復讐を果たすために現れたチンピラと、米軍の部隊に追われ逃避行を始める二人。果たして、二人の運命やいかに!!
【180度転換の路線変更】
みなさん、『バタリアン』という映画はご存知ですか?あのゾンビ映画の傑作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の正規の続編、と謳われた(いや、違うでしょ!)作品で、壮大なゾンビコメディ映画でした。原題は『The Return of the Living Dead』。『バタリアン』は、本作を配給した東宝東和が創作した邦題。映画の事を鋭く言い当てたナイスな邦題で、当時このタイトルをもじって「オバタリアン」なる造語ができ、流行語になるなど、プチ社会現象を巻き起こしました。トライオキシンという薬品の入ったドラム缶が破損。そのガスが漏れ、そのガスを浴びた者や、ガスが舞い降りた土地に葬られていた死体がゾンビ化。生きた人間の脳みそを求めて襲い掛かってきます。
本作の劇中で『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は実際に起きた話を映画化した、という設定になっているのですが、映画のゾンビはゆっくり歩くだけだし、しゃべらないし、頭を打てば死ぬはずが、走るわ・しゃべるわ・頭を破壊しても死なないわ、と映画と全然違う。どうなってんじゃぁ!!となっているうちに町はたちまちゾンビに制圧されてしまう・・・。こんな内容で、テンポがよく、それなりにグロもあり、ゾンビファンに大好評の作品となっています。これも日本の配給会社が名付けた「タールマン」「オバンバ」と言ったキャラの強いゾンビ達も大人気。本作の評判が高かったため、『バタリアン2』も制作されます。1を子供向けにリブートした作品でほぼ1作目の焼き直しだし、1と同じ主要キャラが同じような役で出たりしています。
その第三作目が、満を持しての登場となりますが、1,2作目の制作陣は総入れ替えされ、出来た作品は大量のゾンビによる元気いっぱいのコメディから、数少ないゾンビ登場で、シリアスな恋愛もの風ゾンビ映画に大幅な路線変更。大量のゾンビの爆笑血まみれコメディを期待していたファンからは総スカンを食らいましたが、年々評価は高まり、現在はゾンビものの形を借りた恋愛映画として、高評価を得ています。ちなみに、『バタリアン』とはあまりに路線が違ったためか、日本では劇場未公開。ビデオリリースのみとなっています。
バタリアンはその後、もとの1,2のプロデューサーの手に戻り、ウクライナ資本のもと4,5を立て続けに製作、主演に名優ピーター・コヨーテを迎えたりしていますが、あまりにもひどい出来にファンからもさじを投げられてしまいました。
【ゾンビと悲恋】
ゾンビと悲恋って、交わらないようで意外に相性がよいのです。現代は、もし彼女がゾンビになってしまったら、とか、ゾンビの彼氏という設定にして愛する者がゾンビになってしまったら、もう一方の相方はどうするのか?と言ったことを問う作品も多く出回っています。ゾンビというネタを借りて、愛の逃避行の物語を作ったり、単純なラブストーリーに終わらない、一波乱二波乱交えて映画を盛り上げられるということで、ゾンビは一種の映画ツールとして便利な存在となったのですが、まさに、その走りが、本作『バタリアン リターンズ』です。
愛する彼女が死んでしまった。でも、彼女を蘇らせる方法を知っている。彼女に生き返ってほしい一心で、その結果がどうなるかうすうす勘づいていても生き返らせてしまう。彼女は死んですぐに生き返られたので、まだ脳の記憶がはっきり残っているのでしゃべれるし、なんならセックスすらできる。
しかし、止まらない食欲を抑えられず、あれこれ大量にパンだ肉だに食らいつくがこれではない。思わずかじってしまった人間の生肉。脳みそ・・・。これだ・・!目覚めてしまうと食欲の衝動が抑えきれなくなる・・。彼を襲おうとするも、人間の意識が残っているのでハッと気づき、自分をこんな風に蘇らせた彼氏を責める。もう死にたくてたまらなくなり、川へ飛び込むも、もう死んでいる人間なので、死ぬことができない・・。彼氏の方は、どんなに怪物化しようと彼女を守ろうとする・・。ゾンビ化が進む彼女は、彼への食欲を抑えるため、刃物やら釘やらを見つけては、自分の体を切り刻み、刺し、打ち付ける。その痛みに耐えるしか、食欲を抑えることができない。
その結果、彼女は全身ピアスだらけのような、パンクロッカーもどきのゾンビ姿に・・。痛々しくも、悲しくも、カッコいい・・。彼女の、彼への思い、そして痛みに耐える苦しみを想像すると、泣けてきます・・。
彼氏も彼女の痛みを察してやれよ!と思うのですが、結構情けない奴というか、色んな所でもたもたしてしまう頼りなさ。そのもたもたさが、悲劇を増幅させ、彼女の犠牲者を増やしてしまうという悪循環に。しかし、もし、自分が彼と同じ立場だったとしたら、ゾンビとは言え、様子がおかしいとはいえ、普通に話すことができて、愛し合うこともできる彼女の「殺してくれ」という願いを聞くことができるか、というと、ちょっと無理かなぁ・・、と思ってしまうし、やはり同じように殺すことも見捨てることもできずあたふたしてしまうんだろうなぁ、そう思います。
【んでもって、ゾンビな見せ場は?】
これが、はいっ、ちゃんとありますよ~っ。前2作のようにゾンビが大挙して押し寄せるシーンはありませんし、特殊メイクなどもどちらかというとチープ寄り。ですが、肩の部分と頭の部分がくっついちゃったゾンビとか、背骨が首と一緒に飛び出ちゃって、ろくろ首状態のゾンビとかが暴れまわります。また、ジュリーにかみつかれればゾンビになってしまうので、どんどん犠牲者が出て、それがゾンビ化し二人を追い詰めてゆく様はゾンビ映画の楽しみに浸れます。バトルする場所が、下水溝や研究所内等、狭い空間なのでゾンビたちに追い詰められる様は一層迫力が増します。
チープゾンビがかえって薄気味悪さを増幅させてくれます。
【80年代ホラーを支えた監督作】
監督はブライアン・ユズナ。『ZOMBIO/死霊のしたたり』『ドールズ』『フロムビヨンド』等といった、80年代を代表するホラー映画を世に送り出した監督、スチュアート・ゴードンの作品を次々プロデュース。また、ゴードンとはファミリーSFコメディ『ミクロキッズ』の脚本を書いたりしています。その後自身も監督に転身し、日本の特殊メイクアーティスト、スクリーミング・マッドジョージと組み、人体破壊世界を描き出した不気味な作品『ソサエティ』を撮り、ファンの評価が高まると『死霊のしたたり2』『ネクロノミカン』等主にホラーで活躍。チープな作品ながら、ファンに刺さる映画を結構作っています。
ゾンビ映画と恋愛映画、1本で2度楽しめお買い得!
彼氏と一緒に、彼女と一緒に、キャ===なんて言いながら手を握り合いっこしながらご覧になったら、さぞ、たのしいことと思いますわよ~最後の二人の運命にはほんと、泣けますしっ。
ぜひ、どうぞ~