ポーランドから異色のサスペンス「水の中のナイフ」
ヨットの帆の眩しさ、キラリと光るナイフ、時間(とき)の流れとともに表情を変える水...
まるで、映像そのものが台詞を放っているような錯覚に陥るほど...。
鬼才ロマン・ポランスキーの名を世に知らしめた長編処女作。
「水の中のナイフ」(1962年ポーランド、モノクロ、94分)
監督:ロマン・ポランスキー


ポーランドの首都ワルシャワに住む記者のアンジェイ(レオン・ニェムチック)は36歳。彼は週末をヨットの上で過ごすため、美しい妻クリスティーナ(ヨランタ・ウメッカ)と2人で湖に出かけた。ヨットハーバーに向けて郊外を自家用プジョーで走っている途中、ヒッチハイカーの若者(ジグムント・マラノウッツ)に出会って車に乗せた。結局、アンジェイの誘いで若者もヨットに乗船し、3人は湖面に身を委ねた。だが、若者に対し高圧的な態度のアンジェイに対し、屈折した性格の若者は終始ひがみっぽい。やがて嵐に遭遇し、ヨットを停泊させて一夜を過ごすことになる。翌早朝、アンジェイが目覚めると、クリスティーナと若者が仲良くヨットの修理をしていた。それに嫉妬したアンジェイは、若者に甲板掃除を命じ、厳しい態度をとるようになる。ただ、若者は愛用する大きな飛び出しナイフを持っていた。そのナイフをめぐって、3人に予期せぬ事態が訪れる...。

観ている途中でも、観終わっても、何度も「素晴らしい!」という言葉を使いたくなる。
特に、ラストの分かれ道のシーン、これは実に効果的で、ここに至るまでのストーリー展開に対する結末として、核心を突いている。
警察への道路標識の手前(T字路)で、車はエンジンがかかったまま、右にも左にも行かない。
そのままで幕を閉じる...
アメリカ映画なら、 ‘さあ、判断は視聴者におまかせします’ となるのだろうが、そこはポーランド映画、ましてやポランスキー作品となれば、このエンディングには納得だ。
登場人物は3人。
中年男アンジェイを演じたレオン・ニェムチックは本作出演時39歳。
ポーランドではキャリア十分の俳優のようで、出演作品も2百数十本。
2006年に82歳で世を去っている。

アンジェイの妻、クリスティーナ(ヨットの名前にもなっている)を演じたのは、ヨランタ・ウメッカという女優。デビューの本作を含め、数本の出演記録しかない。年齢不詳。

そして若者(役名なし / これもポランスキーの狙い?)を演じたのが、ジグムント・マラノウッツという俳優。本作出演時24歳。
なにか屈折した表情の中に、時折みせる正義感...好感がもてる。

ポランスキー作品の常連、クシシュトフ・コメダによる哀切極まりないメロディーが心に染みる。
シャープな映像はイエジー・リップマンの撮影である。
それにしても、「ナイフ」という小物の使い方が、絶妙なインパクトを与えている。
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投稿を表示100本目の投稿で、いいねも頂いていますが、好きな作品です。
映像美がいいですね。ポランスキーいいです。
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