フランス「禁じられた遊び」・イタリア「自転車泥棒」:90分以内の名作達
◆◆禁じられた遊び(Jeux Interdits)(1952): 87分の作品
ルネ・クレマンの代表作。 1940年6月、南仏の田舎。機銃掃射で両親を失い、さまよっていた5歳の少女ポーレットは、少年ミシェルと出会い彼の家に連れていってもらう。ポーレットのために死んだ子犬の墓を作るミシェルから、死んだものはこうやって葬る事を教わったポーレットはミシェルといっしょに次々とお墓造りをしていった。美しく悲しい反戦への静かな訴えを、ナルシソ・イエペスの切々と鳴り渡るギターのメロディ(愛のロマンス)で聴かせる。
◆ルネ・クレマン監督
力作が多く、この監督は好きな作品が多い。「太陽がいっぱい」(1960)は当然ながら、「居酒屋」(1956)、「パリは燃えているか」(1966)、「雨の訪問者」(1969)と続く。繊細で大胆な演出に惹かれる。
◆ブリジット・フォッセー(1946~)
子役でポーレット役を演じたが、また女優業に復活している。「ラ・ブーム」(1960)、「ラ・ブーム2」(1962)では、主演のソフィー・マルソーの母役をしている。
「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)の3時間のディレクターカット版に出演し、大人になった主人公トト(ジャック・ペラン)のかつての恋人役を演じている。

❤所感
ポーレットの両親が撃たれてしまう場面は、フランスのプーランクの反戦歌でもある歌曲「C(の橋)」を思いだす。 一瞬にして孤児になってしまったポーレットの名演が素晴らしく、また包み込むミシェルのやさしさも伝わる。最後のシーンで、“ミシェル、ミシェル・・・・・”と呼び続ける姿も物悲しい。

◆◆自転車泥棒(Lardi di Biciclete) (1948):88分の作品
ネオレアリズモの代表的名作で、ヴィットリオ・デ・シーカが監督した。盗まれた自転車を取り戻すべく奔走する父子の姿を通し、戦後の貧困にあえぐイタリア社会をリアルかつ悲哀に満ちたタッチで描き出す。第2次世界大戦後のローマ。不況により長らく失業していたアントニオは、職業安定所の紹介でポスター貼りの仕事を得る。仕事に必要な自転車を質屋から請け出すため、彼は妻の嫁入り道具であるシーツを質に入れる。街に出てポスター貼りに精を出すアントニオだったが、少し目を離した隙に大切な自転車を盗まれてしまう。警察に訴えても相手にされず、6歳の息子ブルーノを連れて自転車を探し歩く。
◆ヴィットリオ・デ・シーカ監督
名作の「ひまわり」(1970)等でヒットしたが、はっきり言って、名作とそうでない作品の差が大きすぎる。なかなか見栄えも良いので、俳優として出発したことを最近知った。
❤所感
ネオ・リアリズムを代表する作品としては、「靴みがき」(1946)もよい作品とされるが、この作品が断然よい。子役のブルーノの存在が大きく、貧しくも一生懸命生きている姿がほほえましく、未来性を感じる。殴られてふてくされても、仲良く楽しそうに食事をするシーンが好き。
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投稿を表示おお、この2作があったか―と思いました。
どちらも大好きな作品です。
90分で名作を作ることが出来た時代なのかもしれませんね。
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投稿を表示「禁じられた遊び」切ないです💦テーマ曲もぴったりですよね
「自転車泥棒」も90分以内だったとは✨ コンパクトでも普遍性とか名作であることに変わりないのだと改めて感じさせられます