これはラブストーリーではありません
今の縁はきっと
パストライブスからずっと続いている
第96回アカデミー賞
作品賞、脚本賞ノミネート
全米映画批評家協会賞 作品賞受賞
製作国:アメリカ、韓国
監督:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー、ユ・テオ
時間:106分
パストライブス/過去の命【前世】
過去の命、なるほど『前世』という意味か。それを知ってから、グンとこの作品が近くに感じた気がした。私の事をよく知る方ならご存知かと思いますが、滅多な事ではラブストーリーを観ない私。しかし、この作品には【縁】というものが関わっているそうで。私は兼ねてから、この前世とか魂の生まれ変わりには、非常に肯定的で割とスピリチュアルな女なんです。この前も言ったけど、カルト宗教とかやってませんよ〜!だから、魂が経験を積む為にこの世に形を変えて生まれ変わっていると思って生きてます。作品でも触れている、輪廻転生です。また、この世で関わりのある人とは、絶対に(ここフォルテで読んで)前にもそのもっと前にも繋がりがあったから、今の時代でも友達だったり、親子だったり。そう信じているんです。
もしかしたら、娘が前は私の父親だったかもしれないし、息子とは姉妹だったのかもしれません。親友とは、戦国時代に共に戦った戦士同士だったかもしれない。そんな考え方をする私がこの作品、刺さらない訳がありませんでした。勝手に懐かしい初恋の、やけぼっくり系ラブストーリーと思ってすみません。
12年ごと
素晴らしく素敵な作品。
12年ごとに描かれるのも秀逸ですが、何よりあの韓国に残ったヘソン(ユ・テオ)がいかにも韓国らしい考え方のままでいる事と、親の都合でカナダへ家族で移住し、欧米的な感覚を持ち自立した女性に成長したノラ(グレタ・リー)の違いを上手く表現する事で、もう戻れない運命になった現実へ進む様子が見事。
12歳の時は、素直にお互いが好きだと言う事を認識し合っていたのに、24歳ではもう、その気持ちだけでは上手く行きません。
あれは韓国らしさなんだろうか。衝動的に行動してその後どうするの?がきっと頭の中に一杯だったに違いない。ノラだって、作家としてチャンスかもしれないタイミングに韓国へ行く事はメリットがなかった。
タイミングは【縁】
そう、何事もタイミング。タイミングが悪い事に対して、縁が無かったと言う事もある。そうして再び距離を置いて、12年。もう2人は36歳だった。ノラが結婚している事を知ってるヘソン。自分は恋人と別れたばかり。なぜ、今更13時間もかけて、遠くNYのノラに会いに行ったのか。
私は、いよいよヘソンはノラ(韓国名ではナヨン)が運命の人かどうかを確かめに行ったんだと思う。もしも、そこまでの強い縁ならナヨンが結婚していても、自分と結ばれるのではないかと思ったのかもしれない。
その全てを知った上で「僕は邪魔なアメリカ人」と笑うアーサーの愛の深いこと!それを理解しているからこそ、二度と会えないとわかったからナヨンは泣いたのかなぁ。ラストも私はあれで良かったと思う。そして私は思った。人生はまだ終わっていない。だからこれから、もしかするともしかする?かも、と。