【蔵出しレビュー】ほんのりタランティーノ風味のデフォルメ・ニッポン・バトルロワイヤル!『ブレット・トレイン』
※8月16日から公開のライアン・ゴズリング主演、デヴィッド・リーチ監督作品『フォールガイ』にあわせて、デヴィッド・リーチ監督の過去作品のレビューをUPしました。尚、文章は公開当時のものを一部加筆・訂正したものです。
■ブレット・トレイン
《作品データ》
伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を原作にしたブラット・ピット主演のアクション映画! 運び屋のレディバグは謎の女性マリアビートルからの依頼でカーバーの代役としてブリーフケース回収の仕事を請け負い、東京発・京都行きの特急列車「ゆかり」に乗り込む。そこには何人もの殺し屋が乗り合わせ、レディバグはトラブルに見舞われることに。主人公・レディバグ役をブラット・ピットが演じ、他ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、サンドラ・ブロック、ベニート・A・マルティネス・オカシオ、ローガン・ラーマン、ザジー・ビーツ、マシ・オカ、福原かれんが出演。監督・製作はデヴィッド・リーチ。
・TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー中!【R15+】
・配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
・公式HP:https://www.bullettrain-movie.jp/
《『ブレット・トレイン』レビュー》
予告編を見た感じでは伊坂幸太郎の小説原作というよりもブラピ主演の列車内アクションなんだなという印象が強い『ブレット・トレイン』。大方予想通りの痛快アクションに、デフォルメニッポンとシュールな会話から
『デッドプール2』の残り香がある小型タランティーノ作品のような殺し屋群像劇である。
まず、我々日本人なら特急列車「ゆかり」をはじめとした数々のおかしな日本描写に「ぎょぎょぎょ!」となるだろうけど、それを最後まで通したんだから、これはこれでいい。スキヤキ、テンプラ、サムライ万歳!
終始『ブレードランナー』の未来都市のようなファンタジア・デフォルメ・ニッポンを楽しむかどうかがこの映画の鍵になる。
そこさえ押さえれば、あとはブラピが演じる運が悪い仕事人レディバグを軸にした殺し屋群像劇と思えばいい。とにかく運がいい嘘つき女殺し屋のプリンスに、変てこな会話ばかりするタンジェリン(みかん)とレモン、その他ウルフ、ホーネットなど多彩な群像劇で、列車内バトル・ロワイアルを展開。
その中でキーになる真田広之が演じるエルダーが要所を締める。ライバルのホワイト・デスとの裏切りからの復讐劇であり、裏の主人公でもある。
後半の殺陣も見事に決まり、威厳のある演技で、真田広之の久しぶりの活躍が見られる。
ブラピや真田広之ばかりだけでなく、プリンスを演じたジョーイ・キング、レモン役のブライアン・タイラー・ヘンリーの活躍など、比較的若いキャストの活躍が目立つ。ジョーイ・キングの豹変演技はその中でも群を抜いており、橋本環奈なんかは見習ってほしい。あと、すっかり様変わりしたアーロン・テイラー・ジョンソンも見所の一つ。
終始つきまとう運の良し悪しとキャストの一部の共通が『デッドプール2』の軸ではありながらも、レモンの「きかんしゃトーマス」うんちくやエルダーが話す梅の話など、どことなくクエンティン・タランティーノを匂わせるデフォルメ・ニッポン・バトルロワイアル。