「エンニオ・モリコーネ ~映画が恋した音楽家~」を見て、改めて見てみたくなった作品たち
映画好きなら、エンニオ・モリコーネの名前を知らない人はいないでしょう。
2020年7月に91歳で他界する前に取ったドキュメンタリーが
「エンニオ・モリコーネ ~映画が恋した音楽家~」
監督は「ニューシネマパラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ。
映画公開は2021年、モリコーネが死去した後となりました。
モリコーネ自身が、自らの音楽人生を振り返って語っていきます。
多くの著名人のインタビューや、映画音楽シーンを織り交ぜながら綴っていく157分。
決して長いとは思わせず、大いに堪能致しました。
レンタルはこちら
洋画好きだった父が、よく聞いていたのが洋画音楽大全集。
(ある日、我が家の狭いリビングには似合わない大きなステレオを父が購入し
機嫌のいい日はウィスキーを飲みながら、ステレオから奏でる洋画音楽を聴いていた父を
思い出しました)
その中に、西部劇編があり、《荒野の用心棒》や《夕陽のガンマン》など
映画を見る前から、私はその音楽に触れていましたので
常日ごろ耳にしていた音が映像と会いまったときには、子供ながら感動したものです。
《荒野の用心棒》など、多くのマカロニウェスタン映画を作ったセルジオ・レオーネ監督とは
偶然にも小学校の同級生だったそうです。
そんな縁もあり、レオーネ監督の多くの作品にモリコーネも音楽担当として携わっていくことになったわけですね。
ドキュメンタリーでモリコーネが作曲した音楽が映像とともに紹介されていく中で
ああ、この映画もモリコーネだったのか!と驚きの連続。
多くのヒット作品に携わってきたことを改めて知り、見た作品も、まだ見ていない作品も
音楽に焦点を当てて、改めて見たくなったというわけです。
そこで、モリコーネが作った音楽が、より映像を盛り上げることになった作品の中で
私が好きな作品、また見たいと思っている作品、見たことがないけど見てみたくなった作品を紹介していきますね。
ウェスタン
1968年、監督セルジオ・レオーネ
出演 チャールズ・ブロンソン 、ヘンリー・フォンダ 、クラウディア・カルディナーレ
レンタルはこちら
ギャングのボスを演じるのは、《アメリカの良心》と呼ばれたヘンリー・フォンダ。
悪役をやることに抵抗があったヘンリーですが、セルジオ・レオーネ監督の説得で本役を渋々引き受けたとのこと。
そして善人なのか?悪人なのか?ハーモニカを吹きながら走りさる汽車から現れた男、通称ハーモニカを演じるのはチャールズ・ブロンソン。存在感が凄いです。
フランクに家族を皆殺しにされた女性ジルを演じるのはクラウディア・カルディナーレ。
彼女の心情を表すシーンで、流れるモリコーネの音楽がすこぶる素晴らしく感動を誘います。
レオーネ監督のこれまでの西部劇とは一線を画した作品ですが
音楽の力も借りて面白い映画となっていました。
死刑台のメロディ
1971年 監督 ジュリアーノ・モンタルド
出演 シリル・キューザック 、 ミロ・オーシア 、 リカルド・クッチョッラ
レンタルはこちら
この作品は私は未見です。
実際にあった冤罪事件を題材にしています。
*以下ディスカスさんの紹介文を引用
〖イタリア移民の労働問題が叫ばれていたボストン。靴屋のサッコと魚行商人のヴァンゼッティは密告により逮捕された。だが逮捕の理由は拳銃を携帯していたからではなく、製靴会社の現金強盗殺人犯としてであった。二人はまったく身に覚えがないにも関わらず、次々と提示される証言や証拠は彼らが犯人である事を指し示していた。やがて裁判が開かれ二人には有罪の判決が下される……。〗
「モリコーネ」の中で、取り上げられていたのを見てぜひ見てみたいと強く思いました。
まさしく死刑台へのメロディをモリコーネが作り上げていて、気持ちが高まりそうだと思いました。
近日中に視聴予定です!
アンタッチャブル
1987年 監督ブライアン・デ・パルマ
出演 ロバート・デ・ニーロ 、 ケビン・コスナー 、 ショーン・コネリー 、 アンディ・ガルシア
レンタルはこちら
私の好きな映画ベスト10の一つである本作。
捜査官エリオット・ネスが3人の仲間と共にアル・カポネ摘発に乗り出すという歴史上の史実を
デパルマ監督が独特の手法で描き出した名作です。
あの高揚感高まる鮮烈な音楽はモリコーネの手に依るものでした。
全編を通じて音楽がマッチング。
特にクライマックスの駅での階段シーン、ドキドキ、ハラハラ感をモリコーネの音楽がより高めていたことは間違いありません。
あのオルゴールを使った音楽には、監督は反対だったとか。
それでも映画が大ヒットすると、私が間違っていたと、モリコーネに謝罪したらしいです。
ミッション
1986年 監督ローランド・ジョフィ
出演 ロバート・デ・ニーロ 、 ジェレミー・アイアンズ 、 リーアム・ニーソン
レンタルはこちら
*ディスカスさんの紹介文より引用
1750年、ローマ法王の元、キリスト教の教えを世界全土に広めるために設立されたイエズス会の神父ガブリエル(アイアンズ)は、南米奥地のパラナ川上流、イグアスの滝にやってくる。彼は滝の上の土地に住むインディオ達に神の教えを伝道するため、そそり立つ滝を這い上がり、決死の覚悟の末、深い信頼を得る……。
これも実話です。
実は、当時劇場に見に行き、感動した記憶があります。
音楽もすごく美しかった!ということは覚えているのですが、内容は全くと言っていいほどの忘却です(;^_^A
今回ドキュメンタリーでも取り上げられていて、音楽の美しさに改めて魅了されました。
近日中に再見しようと思っています。
ニューシネマパラダイス
1989年 監督ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 フィリップ・ノワレ 、 マルコ・レオナルディ 、 アニェーゼ・ナーノ 、 サルバトーレ・カシオ
完全版レンタルはこちら
カット版レンタルはこちら
私の映画人生の中で、最高に大好きな作品である本作。
映画の内容も勿論良いのですが、感動を倍増させているのは、やはりモリコーネの音楽ではないでしょうか。
あの曲を聴いただけで、涙が出てしまいます。
フィリップ・ノアレ演じる映写技師アルフレードと、映画好きな少年トトの絆に涙しない人はいないでしょう。
ラストでアルフレードがトトのために編集したキスシーンのフィルムを見るトト。
それまで決して涙を見せなかった彼が、堰を切ったように号泣するシーンで流れるモリコーネの美しい旋律には、私はバスタオルが必要なほど、号泣しましたw。
幼年期、少年期から現在を描いているカット版と、アルフレードの葬儀のために帰郷したトトが
昔の恋人エレナと再会する件がある完全版の2種類があります。
個人的にはカット版の方が好きです。
エレナとの再会は昔の美しい思い出が消えてしまうようで、私は不要だと思いました。
エレナを演じているのはブリジット・フォッセー。
〖禁じられた遊び〗で両親を亡くした少女を演じていた人です。
ヘイトフルエイト
2016年 監督 クエンティン・タランティーノ
出演 サミュエル・L・ジャクソン 、 カート・ラッセル 、 ジェニファー・ジェイソン・リー 、 ウォルトン・ゴギンズ 、 デミアン・ビチル 、 ティム・ロス 、
レンタルはこちら
アカデミー音楽賞に6度もノミネートされていたモリコーネが、ようやく受賞した作品が本作です。
確かに音楽は凄かった!
本作は評価が分かれる作品のようで、実は私の中では評価が低い作品なのです。
アカデミー授賞式で、タランティーノ監督が、《映画音楽作曲家のレベルを超えている》と
発言していましたが、まさにその通りでしょう。
今回、ドキュメンタリーの中で取り上げられて、見た当時とは違う感覚で見れるかもしれないと思いました。
音楽を視点にして再見してみたいです。
ドキュメンタリーの中で、誰かが言っていました。
映画音楽は映画を支える重要なもの、と。
そしてモリコーネは音楽によって、ある場面を別の視点で見せる才能がある、と。
当初モリコーネは、クラッシック音楽家を目指していたので、映画音楽を作曲することに抵抗があったとか。
それでもその才能を生かし多くの映画監督から作曲の依頼がきて、その映画が大ヒットし
やがてモリコーネも映画音楽の重要さに気づき、
妻には1970年になったらやめる、1970年になると80年になったらやめる、80年になると90年になったらもうやめる、90年になったら2000年になったらやめると言ってきた映画音楽作りは、2000年にはやめるとは言わなくなった、とおちゃめな調子で言っていたのが印象的でした。
ドキュメンタリーに感化されて、モリコーネの音楽ばかり聴いている今日この頃の私でございます(^^♪
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示さっちゃんさん!
読んでくださり、そしてコメントも下さり有難うございます。
嬉しゅうございます(#^.^#)
『ヘイトフル8』の低評価につき、ご賛同頂き有難うございます!
『殺しが静かにやって来る』へのオマージュだったのですね。
元ネタ作品の方も見ておりましたが、こちらはそれなりに楽しめました。
やはり、私はタランティーノが苦手なのかな?(笑)
おっしゃる通り、モリコーネの音楽で数倍映画が引き締まって盛り上がった作品は沢山ありますね。
作品に命を吹き込むのがサウンドトラックということですね。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示飛べない魔女さん。初めまして(少なくとも映画マガジンでは)。さっちゃんと申します。
子供時代の思い出話、楽しく拝読いたしました。お父様の影響で西部劇が好きになったというのも微笑ましいですね。
であれば『ヘイトフル8』が低評価というのもうなずけます。悪趣味ですからね。血飛沫の量が半端ないし最後に誰も生き残らないというのも後味良くないと思います。この作品は多分、マカロニ・ウェスタンでも異色の作品『殺しが静かにやって来る』へのオマージュだと思います。インスパイアされた元の作品もネタバレになるので詳しくは書けませんが当時、リアルタイムで観てた観客が激怒したんじゃないかというラストですから。
どうも余談が長くなりましたが、モリコーネが映画音楽を作曲してなかったら魅力が半減した映画も多かったことでしょう。私も本作を予約リストに入れようと思います。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示洋画さん!コメント嬉しいです。有難うございます。
洋画さんのデータベースでは音楽担当まで分かるようになっているのですか!
流石です!
34本とはすごいですね。
モリコーネが作った映画主題曲が150曲以上、劇中に挿入した音楽も入れると500曲以上だそうですから、それでもまだ1/5です。
これだけの音楽を作り続けた巨匠の人生に触れて感動しました。
洋画さんも、きっと感動されるはずですよ。
はい、父親が洋画好きで、特に西部劇が好きでした。
幼いころから、見せられていたので、私も西部劇が大好きでした。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示魔女さん、今晩は。
いつもDISCASレビュー広場でのレビューに馴染んでいるので、映画マガジンのほうでお目にかかると、ちょっと雰囲気の違いのようなものを感じます。
見当違いと仰るかもしれませんが、本コラムでは、迫力を感じました。
>多くの著名人のインタビューや、映画音楽シーンを織り交ぜながら綴っていく157分。
とても興味深く、リストイン決定です。
My「映画登録リスト」で検索してみたら、エンニオ・モリコーネが音楽を手掛けた映画を34本観ていることが分かりました。(我ながらビックリです)
その作品の何本かが、映画音楽シーンとして観られるのですね。
今から視聴が楽しみです。
>機嫌のいい日はウィスキーを飲みながら、ステレオから奏でる洋画音楽を聴いていた父を
>思い出しました
何となく想像できます。
映画や音楽にウィスキーは格好のお伴ですから。(笑)
魔女さんは小学生の頃から西部劇をご覧になっていたと、以前伺ったことがありますが、
お父様の影響だったのですね。