沁みる86分「マイ・ビューティフル・デイズ」
今回は86分に切なさ、まぶしさが詰め込まれた「マイ・ビューティフル・デイズ(脚本・監督/ジュリア・ハート 2016年作品)」をとりあげてみます。ハイスクールの女性教師と教え子3人が、ある演劇大会に参加する週末を描いた作品です。
主人公は「Miss Stevens」だけじゃない
ハイスクールの教師レイチェル・スティーブンス(リリー・レーブ)は29歳。母親の死から1年、喪失感をひきずったまま、生徒たちの前では気丈にふるまっています。

(c)2016 Young Dramatists, LLC. All Rights Reserved.
彼女に思いを寄せる生徒ビリーを演じたティモシー・シャラメは、撮影当時20歳くらいでしょうか✨ 原題「Miss Stevens」からすると主人公はレイチェルかなと思いきや、同時にビリーも主人公といえるような役どころです。作中で大きな存在感を示しており、ポスター・ビジュアルにおける扱いも大きい✨
行動障害があるとされているビリーは、その豊かな感性を発揮し、演劇大会の最終選考に残ります。彼はそこでアーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の一部を披露。落ちぶれたセールスマンの父に、涙ながらに胸中を語る息子―この演技は必見モノです。翌年「君の名前で僕を呼んで」でのブレイクも大いに頷ける、長回しワンカットの吸引力が見事です。



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まぶしいビリー
演劇大会での3日間。本作は、このわずかな期間のレイチェル、ビリーや同伴の生徒たち、それぞれの心がめまぐるしく変化するさまを描いています。
レイチェルは一見、子どもたちの気持ちに寄り添える先生。ただ、教師の仕事を続けていくため、その寄り添い方は表面的なものにとどめ「生徒に深入りしない」と心がけてきました。
自分の思いを封じ込めるのが常となってしまったレイチェルに対し、正直で優しく純粋、実は至極まともな感性を持っているビリー。ストーリーが進むにつれ、二人の対比がこの作品の大きな軸になっていることに気付かされます。人間にとってかなり大事なものが備わっているビリーがまぶしい・・!

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70'sの懐メロ「金色の髪の少女」
車の運転中、レイチェルが好んでかけているのは1970年代の懐メロ。生徒の親世代が聴いていた曲で、レイチェルにとっても異世代カルチャーです。ビリーはなぜか古き良きヒット曲「金色の髪の少女 Sister Golden Hair」を知っており「僕の好きな曲だ」と嬉しそうに口ずさみます。
「僕に会ってくれないか
いつでもどこでもいい
少しでもいいから愛してくれ
気にかけてくれるだけでいい
諦めようとしたけど無理だった
気持ちは消せない」
健気なビリーの心情と重なるかのような歌詞、懐かしく愛おしいメロディはとても印象的。心に響きます。

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投稿を表示【金色の髪の少女】が流れた時には心が震えました。
主役は先生ですが、シャラメくんの繊細な演技と美しさが際立っていた作品だったように記憶しています。
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投稿を表示昔、少しだけロックが好きで、EaglesやDoobie Brothersとかを聴いていて、アメリカの「金色の髪の少女」も好きな曲でした。なつかしいですね。