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私の好きな映画

じょ〜い小川
2025/02/03 11:01

大泉洋主演による唯一無二の室町時代のアクション時代劇映画!『室町無頼』

■室町無頼

(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会

《作品データ》

戦国時代はこの男から始まった! 知られざる史実を基に描くアクション・エンターテインメント!! 時は1461年、大飢饉と疫病が蔓延する京(みやこ)。民を見捨てた権力者たちに対し、各地を放浪していた蓮田兵衛はある計画を企てていた……。垣根涼介の同名小説を元に、主人公・蓮田兵衛役に大泉洋を迎え、『22年目の告白―私が殺人犯です―』『あんのこと』などの入江裕監督が贈る本格時代劇アクション!

大泉洋の他、長尾謙杜、松本若菜、遠藤雄弥、前野朋哉、阿見201、般若、武田梨奈、水澤紳吾、岩永丞威、吉本実憂、中村蒼、矢島健一、三宅弘城、柄本明、北村一輝、堤真一らが共演。

・TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー中!【PG12】

・配給:東映

・公式HP: https://muromachi-outsiders.jp/


《『室町無頼』レビュー》

 

これまでに『SR サイタマノラッパー』シリーズや『ビジランテ』、『あんのこと』など、ピリリと来るコメディや社会派ドラマ、サスペンスを作ってきた入江悠監督が初めて作り上げた大泉洋主演、時代劇映画『室町無頼』。応仁の乱の5、6年前の室町時代の京都周辺を舞台に、大泉洋が演じる蓮田兵衛や長尾謙杜が演じる才蔵らが大暴れする時代劇アクションは痛快で、

これまでの入江悠監督作品にはなかったスケールが大きい室町時代の時代劇をたっぷりと堪能出来た!!

(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会

ストーリーは棒術に長けた少年・才蔵の成長譚と腕が立つ浪人の蓮田兵衛が他の浪人や農民を集めて一揆を起こし、幕府軍の大軍にに挑むといったもの。兵衛が自分たちの軍を作る様子は黒澤明監督作品の『用心棒』のようでありながらも、入江悠監督作品で言えば『ビジランテ』の自警団を作る辺りや、『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』での栃木県でのフェス開催の時のお祭り感覚もあったりするので、入江悠監督自身の作品の応用とも見られる。

(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会

本作は序盤から終盤までアクションが非常に多く、いずれも迫力がある。中でもなにわ男子の長尾謙杜が演じる才蔵は棒術のアクションが多く、見応えたっぷり。その才蔵が飛躍的に強くなるきっかけになる唐埼の老人による修行のシーンがあり、これがどれも面白い。2つ目の特訓は「六三四の剣」で似たようなのがあったし、他のも含めデスマッチっぽい。その修行の後半に出会った阿見201が演じる馬切衛門太郎はインパクトもあり、才蔵や兵衛以外で目を引くキャラである。後半の幕府軍との大バトルは『十三人の刺客』っぽく、少数精鋭対大軍のバトルが楽しめる。

(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会

なんと言っても、室町時代の京都周辺の風景がとても良い。

京の都以外は整地されてない原にそこら中にいるホームレスや骸、粗雑な建物の民家、作り立ての関所など、全くインフラが整っていない時代の風景が新鮮。

時代劇と言えば基本的には江戸時代か、織田信長や武田信玄らの安土桃山時代、それ以前の時代を舞台にしても都や武士・貴族周りの話だったりする。そもそも室町時代を描いている作品そのものが少ないが、その数少ない中で手塚治虫原作の漫画「どろろ」が室町時代中頃を舞台にした作品で、原にしろ海辺のシーンにしろ「どろろ」(映画版ではなく漫画版)とほぼ同じような空気感がある。加えて、足利義政や名和好臣、伊勢貞親といった将軍や大名などといったその時代のトップの方の人々以外は顔も服も薄ら汚れている。これは浪人や農民だけでなく、幕府軍の武士たちの服もやや汚れた感じになっている。こうした風景、人々の様子があまり見たことがない室町時代の味わいであり、これを存分に楽しめる。

(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会

それと本作は大泉洋主演とあって企画プロデュースの須藤泰司氏の力が大きいと見ている。須藤氏は最近でも『ハケンアニメ!』を手掛けたりしていたが、『探偵はBARにいる 』シリーズ3作をプロデュースし、「カッコいい大泉洋の作品を作りたい」ということで2017年から企画が立ち上がり、2023年から撮影が開始され、ようやく完成に至った。入江悠監督とのスケジュール調整やコロナ禍を挟んだこともあって長い時間がかかった。こうした経緯がありながらも、入江悠監督、そして須藤氏としても初めての時代劇大作映画を作り上げた。

 

東映としても昨年の11月に白石和彌監督作品『十一人の賊軍』を公開して、その2ヶ月後にまた時代劇のアクション大作を公開し、東映時代劇の復活を大いに感じさせる時代劇大作の傑作!往年の時代劇映画が好きな方も、大泉洋ファンも、なにわ男子ファンも必見で、

入江悠監督作品としては勿論、室町時代を描いた時代劇作品としても代表作である!

(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025『室町無頼』製作委員会

 

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