80年代の高性能戦闘ヘリコプターのアクション&サスペンス映画!『ブルーサンダー』
■ブルーサンダー
《作品データ》
『フレンチ・コネクション』や『ジョーズ』のロイ・シャイダー主演、『サタデー・ナイト・フィーバー』を手掛けたジョン・バダムが監督をした80年代を代表する戦闘ヘリコプターによるアクション&クライム・サスペンス映画!ベトナム帰還兵のフランク・マーフィーはロサンゼルス市警航空隊のヘリコプター操縦士として新米のリチャード・ライマングッドと夜のパトロールをしていたが、近隣住民の苦情によりブラドック警部からヘリコプター謹慎と地上勤務を言い渡される。ある日、マーフィーは警部に呼び出されると謹慎が解かれ、警部と一緒にロサンゼルス市長や陸軍のショート軍曹らにモハーベ砂漠のピンクビルにある軍施設へ連れられ、新型高性能戦闘ヘリコプターの実演説明会に出席し、「ブルーサンダー」と呼ばれる新型ヘリコプターの操縦士に抜擢される。マーフィー役をロイ・シャイダーが演じ、他キャンディ・クラーク 、マルコム・マクダウェル 、ウォーレン・オーツ 、ダニエル・スターン、ポール・ローブリング、デヴィッド・シェイナー、ジョー・サントス、エド・バーナード 、ジェイソン・バーナード、ジェームズ・マータフが出演。
・公開日: 1983年10月1日
・配給:コロンビア・ピクチャーズ
・上映時間:109分
【スタッフ】
監督:ジョン・バダム/脚本:ダン・オバノン、ドン・ジャコビー
【キャスト】
ロイ・シャイダー、キャンディ・クラーク 、マルコム・マクダウェル 、ウォーレン・オーツ 、ダニエル・スターン、ポール・ローブリング、デヴィッド・シェイナー、ジョー・サントス、エド・バーナード 、ジェイソン・バーナード、ジェームズ・マータフ
《『ブルーサンダー』考察》
数ある映画の中に、見ればおそらく好きになるだろうけど、何となく見逃している映画がいっぱいある。これをここ十数年でだいたいはTSUTAYAやGEOでのレンタルやU-NEXTやAmazonプライムの配信で見れている。しかし、それでも今日の今日まで見逃していたのが、ロイ・シャイダー主演、ジョン・バダム監督作品『ブルーサンダー』である。
・映画『ブルーサンダー』<「ブルーサンダー打線」な現状
またまた映画から離れて野球の話になるが、今の40代〜50代の野球ファンなら「ブルーサンダー」と聞くと映画やテレビドラマよりも、1989年から1990年代のオリックス・ブレーブスorオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)の打線の愛称「ブルーサンダー打線」の方を思い出すだろう。イチローがブレイクした90年代半ばのオリックス・ブルーウェーブでも「ブルーサンダー打線」と呼ばれたようだが、一般的にはオリックス・ブレーブス時代のブーマーや門田、石嶺、松永、福良、藤井を擁した強力打線である。この頃は西武ライオンズや近鉄バファローズの躍進もあって優勝こそはしてなかったが、常に安定した成績だったことを記憶している。
さて、いい加減に映画の話に戻すが(笑)、30年以上経った今でもこの「ブルーサンダー打線」を記憶している方はわりといるが、一方、映画『ブルーサンダー』を見たという映画ファンには会ったことがない。いや、『ブルーサンダー』をおそらく見ている方は当然いたとしても、会話の中で映画『ブルーサンダー』の話をする機会はなかった。
それは単に古い映画だからとか、続編が作られなかったからという点でもそれは考えられる。が、同じ年に公開された『フラッシュダンス』は2022年に4Kでリバイバル上映されたし、翌年公開した『ストリート・オブ・ファイヤー』も個人的に未だに見る映画である。
キャストやスタッフが無名だからかというと、これはそうとは言えない。主演は『フレンチ・コネクション』や『ジョーズ』のロイ・シャイダー。コクラン大佐役には『時計じかけのオレンジ』のアレックス役で有名なマルコム・マクダウェル。主人公マーフィーの奥さん役にはキャンディ・クラーク、マーフィーの相棒ライマングッド役に『ホーム・アローン』の泥棒役の一人だったダニエル・スターンなど、わりと揃っている。しかも監督は『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・バダム、脚本の一人は『エイリアン』や『トータル・リコール』の脚本や『バタリアン』を監督したダン・オバノン、ついでに撮影監督は『チャイナタウン』や『スカーフェイス』のジョン・A・アロンゾなど、スタッフも名がある人ばかり。
はっきり言って見ない理由がどこにあるのか分からないぐらいだが、令和の今の今まで見なかったので今回見てみた。
・違う意味で高性能だったブルーサンダー
てっきり『トップガン』のヘリコプター版かなと思って見たら、かなり違っていた。
確かに『トップガン』と同じく軍は絡むけど『トップガン』は海軍で『ブルーサンダー』は陸軍という違いがあるし、しかも『ブルーサンダー』はロサンゼルス市警航空隊のヘリコプター操縦士が主人公で、軍から新型ヘリコプターの操縦士に抜擢されたというもの。もちろん、ヘリコプターでのチェイスやドッグファイトシーンも見応え十分だが、この新型戦闘ヘリ「ブルーサンダー」の高性能さが色々と斜め上をいってて、そこが面白い。
戦闘ヘリコプターというだけあって、普通の銃弾なら十分に耐えられる厚さ2.5センチのセラミック製装甲で防弾仕様の機体と、毎分4000発を発射可能で、有効射程は1kmの20mm6銃身ガトリング砲搭載で、攻守共に鉄壁。
さらにこれに加えて、機体左側面に赤外線暗視装置、機体右側面には室内の人物をカーテン越しに撮影可能なサーモグラフカメラ、操縦室上部に超高感度・超高指向型の盗聴用マイクロフォンを装備をし、機体後部に搭載されたUマチックビデオデッキで記録と、ヘリコプターなのに覗き見盗撮やスパイにバッチリ。前半から普通の警察用のヘリでマーフィーとライマングッドがヨガをやってる女性を覗き見したりするボンクラ男子高校生っぽいシーンもあるので、高性能戦闘ヘリでもやっぱり似たようなことをしている。
それだけではなく、「ブルーサンダー」にはコンピューターというかかなり旧型のパソコンも搭載されていて、これにはなんと人物検索機能がある。といっても軍関係者や警察関係者オンリーの検索機能なんだろうけど、これ、エゴサーチの走りだよね。
そんな感じなので、ストーリーも『トップガン』みたいな航空訓練とかドッグファイトではなくて、軍部のある秘密が鍵になるサスペンスとアクションだったりする。そこで上記のサーモグラフィーやら盗聴器、びでおでが大活躍する。当時、ビデオデッキだってようやく普及したぐらいだろうから、やっていることが80年代前半にしては最新鋭のスパイ映画とも見える。
銃撃やスカイアクション等のアクションももちろん良い。「ブルーサンダー」の実演説明会でのシューティングパフォーマンスは銃撃、爆撃が凄まじい。ん、ベトナム戦争はとっくに終わっているんだから、その攻撃力、いらなくない?とも野暮ながら思えるが、米ソ冷戦構造真っ只中だからやむを得ないし、実演の標的が赤い人型の的というのもやっぱりそういう意味なのかな。
あと、この映画のマーフィーはベトナム帰還兵で心的外傷後ストレス障害を患っていて、時折フラッシュバックするシーンもある。この手の作品では『ランボー』や『ジャックナイフ』、『タクシードライバー』(注:トラヴィスもベトナム帰還兵)、『7月4日に生まれて』などがあるが、マーフィーのロサンゼルス市警航空隊のヘリコプター操縦士というのはその経験を生かした仕事だし、「ブルーサンダー」の操縦士の抜擢もしかり。
こうしたベトナム戦争の陰を感じながら見るといい。
中盤はいわばヘリコプターを使ったスパイシーンで、終盤はヘリコプターでのドッグファイト、チェイスシーンなどヘリコプター尽くしのアクション映画。このヘリコプターを車に代えればそのまんま最近の『ワイルド・スピード』シリーズになったりするし、おそらく当時は荒唐無稽と言われてあまり評価されなかったかも。けど、この「ブルーサンダー」の機能は大半が現在では実現していることから考えると先駆けすぎたのかな。後の『トップガン』や『007』シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズなどのアクション大作に繋がっていることを考えると、
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投稿を表示さて、『ブルーサンダー』盛り上がってますね。私、劇場に観に行ったクチです。
監督が『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・バダムというのが意外ですが、脚本のダン・オバノンは『エイリアン』とか監督をやった『バタリアン』とかでも分かるように政府や軍を信じてない人ですから本作のような軍と政府の上層部で国民を監視する悪だくみが進んでいるという設定は納得です。
ロイ・シャイダーとマルコム・マクダウェルの対決というのは絵面として強烈なものがありますし、脇を固めているのが演技巧者なので(ウォーレン・オーツ好みです。)ドラマの部分も良く出来ています。
そうした背景があってこその高性能攻撃ヘリ、ブルーサンダーの航空アクションが楽しめるのだと思います。で、ここで裏話ですが、このブルーサンダーはフランスはアエロスパシアル製のガゼルというヘリを改造したものであります。甲虫を思わせるコクピット回りとか機体上部左右に突き出したエンジンナセルなどをくっつけて優美な汎用ヘリを攻撃ヘリに変身させました。
で、劇中でブルーサンダーを撃墜しようとする空軍のF16はもちろんミニチュアを合成したものです。さすがにロス市内を戦闘機が飛行することはできませんから。その結果、コクラン大佐がヘリでブルーサンダーを撃墜しようとするのですが、このヘリがタマゴみたいなヒューズOH6(民生型だとヒューズ500)で可愛い姿と裏腹な機関砲装備でマーフィを一時、危機に陥れます。映画の中では宙返りができないとなっていますが実際は軽量な機体で宙返り可能なのです。
とまぁ半分はヒコーキ談義になってしまいました。桃田さんの仰るとおりラストもいいですね。
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投稿を表示『ブルーサンダー』いいですよね!ラストの締めくくりもいいですね!『ファイヤーフォックス』と並ぶ乗り物映画だと思います!車ものより好きです!
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