TAKESHIS' 破壊作のはじまり。
TAKESHIS’ 平成17年(2005年) 公開
ストーリー
2005年のベネチア映画祭でサプライズ出品という特別待遇で大きな話題を集めた北野武監督作。芸能界で成功を収めたタレント“ビートたけし”と、冴えない中年男“北野”が出会い、いつしか両者の世界が重なり合い混沌としていくさまを斬新なタッチで描き出す。大物タレントとして多忙でリッチな毎日を送るビートたけし。一方、そんなたけしにそっくりな売れない役者・北野は、しがないコンビニの店員をしてなんとか生計を立てる日々。ある日、北野は偶然にもビートたけしと出会い、やがて、たけしが演じる映画の世界へと迷い込んでいくのだった…。
(TSUTAYA DISCASより引用)
役者:ビートたけしを壊した作品
ゴダール病にかかった。(本人談)精神的なアート作品の第1作目
破壊とたけし。
監督はこれまで2回の「破壊」をしてきた。
〇Friday編集部殴り込み事件
これまでの芸能生活を破壊するフライデー殴り込み事件。発端は家族への取材攻勢や当時交際していた女性の学校にて強引な取材を行い、女性が怪我をしたことに激怒し、講談社へ殴り込みを行った。当時としてはかなり衝撃的な事件でたまたま熱で学校を休んでいたら親が「たけしが逮捕された!」と聞いたことが今でも鮮明に残る。暴力事件のため、このまま芸能界での活躍も一時危ぶまれていたが、オールナイトニッポンにて復帰する。謹慎中に盟友島田洋七と石垣島であるお店に行った時の事突然、お店のおばちゃんが小声で近づきささやくように「たけしさんでしょ~わかってます。。明日の早朝、うちの人が船をだして台湾に行くから」と言われ「おいらは逃亡犯じゃぁないんだけどな~」と苦笑するエピソードがあった。
〇バイク事故
そして自身を破壊したバイク事故。生死をさまよったが無事に退院する。速報を聞いた時は家族の事以上の衝撃を受けた。
入院中は時間を持て余す頃もあったため、看護師さんへいたずらを行う。ナースコールを押すと「すいません!髪の毛が~~」と言って看護師さんが部屋に来て、掛け布団を剥ぐとそこには「井出らっきょ」が寝ていた、一瞬気が動転していた看護師さんは「うわ~髪の毛が!!」とパニックになるも監督ではないことに気づくと「たけしさん!やめてください!」と言われた。
やはり狂気な監督
また逆に井出らっきょが入院していたのを見舞いに来た監督。ただ見舞いに来ただけでは終わらないのががたけし軍団。監督が寝ている井出らっきょの点滴が落ちる速度を勝手に速めて腕が膨らんだり、酸素マスクの中にタバコの煙を入れたら咳き込んでいたいたずら小僧のような表情にてテレビ番組で話す。
退院の記者会見では顔面麻痺さえネタにした「顔面マヒナスターズ」と発言。
復帰後にはテレビバラエティー番組の「平成教育委員会」で復帰した。その時の視聴率は35%を超えた。映画では「GONIN」で片目の殺し屋役で出演し、監督として「キッズリターン」を制作する。
良いも悪いもこれだけさらけ出した芸人はいない。あの立川談志も「前科者にはかなわない(笑)」
この作品では役者ビートたけしを破壊する。
タイトルは「フルクタル」だった。
この作品のタイトルは当初「フラクタル(fractal)」
フルクタルは「自己相似性」という特殊な性質を有する幾何学的構造のこと。
分かりやす言えば「同じような図形が繰り返し現れる図形」が表現されている映画。劇中何度か同じシーンが登場する。
この作品が難解だといわれる一因としては夢と現実の混同がある。
もう一人の自分がいたら?と長年芸能界の身を置く監督の現実逃避的な創造から生み出したものと思い、わかりのにくい作品かもしれない。逆にシンプルとも捉える事も出来る。
「コンビニ」には行った事がない?
コンビニ店員役を演じる監督。実は「コンビニには一度も行ったことがない」とテレビ番組で語っていた。監督にとっては未知の世界がコンビニにとなる。
この作品はただ監督の撮りたかった作品と理解した。
「あのシーンはこういう事か!」「何かメッセージがあるのか」などあんまり考えないで見るのが一番かもしれない。
TAKESISの8つのポイント
・タクシーに関するシーンは監督が20代前半に経験したタクシー運転手の投影
・業界の内情を垣間見れる(テレビスタジオの制作の雰囲気など)
・ゾマホン氏のサブリミナル効果的な登場。
・寺島進と京野ことみによる漫才風のやりとり。林家ペーパーをオマージュ?
・北野組俳優陣総出演、それぞれの適任のキャスティング
・ヨイトマケの唄・THE STRiPESのタップ・スクラッチ・お色気・ダンスとのごちゃ混ぜのカオス感
・売れっ子たけしからもらったサイン(ピエロさん江 ビートたけし)を思い出した売れないたけしの突然の狂気。
・生理的なシーンを嫌がる監督の「ナポリタン」を食べるシーン。
おまけコーナー
冒頭の麻布麺棒どらいちの心得
- 注文は店主と目が合ってから言うこと
- 子供連れの入店お断り
- 会話厳禁。携帯電話の使用禁止(ある意味時代をさきどり?)
- 食事時間は十分以内
- 食後、テーブルを濡れ雑巾で
- 食べ残しは料金倍増
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投稿を表示自分の精神状況が映し出されるのか毎回、
見るたびに感じ方が変わる作品です。あと
2本ほどそんな気持ちになるのがありますね。いつも楽しく拝見しています
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