追悼 アラン・ドロン様
私が映画館で映画を観始めた1970年代、朝からマダムが行列を作っていたのは決まってアラン・ドロンが主役の作品でした。榊原郁恵ちゃんは「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」という曲を歌っていましたが、「ハンサム」(もはや死語ですね)、「二枚目」の代名詞といえばアラン・ドロン様その人でした。来日した時のフィーバー振りもハンパなかった覚えがあります。
私が劇場で観賞したドロン様主演作は以下の通り(公開順、カッコ内は私が観た年)。
太陽がいっぱい(1982)
若者のすべて -ロッコと兄弟たち-(1983)
冒険者たち(1982)
ボルサリーノ(2023)
ボルサリーノ2(1975)
アラン・ドロンのゾロ(1975)
フリックストーリー(1976)
日本人に最も愛された、誰もが知る俳優さんの一人でした。
ご冥福をお祈りいたします。
以前「伊豆の踊子」を観直した際に三浦友和さんのハンサムぶりに感心した事ありましたが、ドロン様の美しさたるや凄まじいです。「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」なんてどんだけお前の眼は節穴かって話です。そりゃあもう、女も男もほっとかなかった事でしょう。1970年代の日本でのフィーバー振りも改めて納得です。
資産家の息子に便利屋扱いされながらも腰巾着を貫いてきたトム・リプレー(アラン・ドロン)。野心家で計算高く利口な若者がその手を血に染めた後の、罪を逃れ全てを手に入れる為の数々の策略は今観てもスリリング。
巧みな演出、ニーノ・ロータの切ない調べ、そしてアラン・ドロンがトムの人格に魔性の魅力を通わせた事で、名作の仲間入りを果たしている事を実感。
②若者のすべて -ロッコと兄弟たち-
あー、初期のルパン三世ってこういう映画を参考にしていたんだろうなー・・・・と如実に感じる。車も、音楽も、男も女も、悪人も、恋と友情も。
それぞれに夢を追い続ける男女3人が、出会いと挫折の交錯地点で遭遇したお宝探し。恋と友情を両立させながらの夢のような共同生活が眩しい。アラン・ドロン様はやっぱりカッコイイ。特に無精ヒゲ生やしたワイルドなお姿がたまらん。リノ・ヴァンチュラは最初はただのオッサンにしか見えないのだけれど、だんだん素敵なおじ様に見えてくる。
彼等が冒険者たるのは映画の前半だけで、"夢"の大半を失った後半のほろ苦い展開は、映画のタイトルが持つ響きとは異なり、夢の後始末がやや冗長にも感じてしまう。
とはいえ、この作品が放つ魅力は、この作品が作られた時代への憧憬と、スクリーンから湧き立つ匂いと共にまだまだ色褪せちゃいない。これぞ映画と言いたくなる粋な演出に素敵な音楽は名画の風格十分。そのラストには、涙こぼれました。
2023年に観た映画(44) 「ボルサリーノ」
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⑥アラン・ドロンのゾロ
アランドロン主演50作記念作品。
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用心深くて猜疑心の強い凶悪犯エミール(ジャン・ルイ・トランティニャン)と、彼を追い詰めるドロン演じるボルニッシュ刑事の対決は、なかなか見応えあります。監督のジャック・ドレーは「ボルサリーノ」シリーズも担当。いずれも手堅い作品作りです。
それに加えトランティニャンとドロンの俳優力も大きく貢献。二人が直接相対するシーンは限られているのに、お互いが神経戦を展開しているかのように思えるのは、双方のキャラクター作りが良い味出しているから。殺しを厭わぬ凶悪犯と出世欲の強い刑事という構図とは全く別のところにこの作品の面白さはあります。