ブニュエル監督「欲望のあいまいな対象」からのファン! クール・ビューティのキャロル・ブーケ
●キャロル・ブーケを知るきっかけ
フランス映画鑑賞を開始し始めた4年前の割と早い段階で、「欲望のあいまいな対象」を観て、この美しい女優に魅了された。それ以降なるべく日本語作品の鑑賞をしてきたが、代表作の「美しすぎて」は原語版で鑑賞した。★この3月に「デ ジャ ヴュ」(1987)のデジタルマスター版の上演が予定されていたので、主演ではないが、チラシに大きくUpされていたので、早速劇場で鑑賞した。
●●キャロル・ブーケ(1957.8~)の経歴
修道院を出てソルボンヌ大学で哲学を専攻。卒業後にコンセルヴァトワール大学で演技の勉強をする。「欲望のあいまいな対象」(1977)でアンヘラ・モリーナと二人一役という難役を演じて高い評価を得る。「007/ユア・アイズ・オンリー」(1981)でボンド・ガールに抜擢され花を添えていた。その後は「デ・ジャ・ヴュ」、「タンゴ」、「美しすぎて」等に出演する。1986年からはシャネルNo.5の専属モデルでもあった。★私生活ではジェラール・ドパルデューとパートナー関係にあった(1997 - 2005)。
■「欲望のあいまいな対象(Cet Obscur Objet du Desir) 」(1977)
J=C・カリエールのトリッキーな脚本を得て、遺作だが性愛へのエネルギーが充満するルイス・ブニュエル監督自身とまるで等身大であるかのような愛と幻惑の寓話。「昼顔」「哀しみのトリスターナ」など、ブニュエルの“瘋癲老人日記”に欠かせない主演のフェルナンド・レイが扮するブルジョワの老紳士ワチューは、若く美しい小間使いコンチータに夢中になる。原作はピエール・ルイスの小説『女と人形』。
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■「料理は冷たくして(Buffet Froid)」(1979)
バルスーズ」などで知られるベルトラン・ブリエ監督の作品。失業中のアルフォンス(ジェラール・ドパルデュー)が地下鉄の駅で出会った男が殺された。凶器は彼がポケットに入れていたナイフだった。部屋に帰ると新しい入居者が越してきており、挨拶に行くと入居者は警部だった。アルフォンスは殺人の話をするが、警部は非番だからと取りあわ。・・・後半で登場するのは、殺された中年男性(ミシェル・シェロー)の美しい娘役キャロル・ブーケだった。
■「007/ユア・アイズ・オンリー」(1981)
ジョン・グレン監督のスパイアクション映画「ジェームズ・ボンド」シリーズ第12作目。キャロル・ブーケは、殺されたイギリス政府の意を受け調査していたハブロック博士(ジャック・ヘドレイ)の美しい娘役で出演した。
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■「デ ジャ ヴュ(Jenatsch)」(1987)
スイスのダニエル・シュミット監督作品。一人のジャーナリスト(ヴォワタ)が、17世紀のスイスの革命家ゲオルク・イェナチュの実像を取材するうち、幻想的な体験をするという、日本語タイトル通り、現在と過去の描写が夢幻的に交錯するスタイルが観る者を陶然とさせる映画。シュミットの以前の作品、「ヘカテ」等の退廃的なムードは少ない。
■「美しすぎて(Trop Belle pour Toi)」(1989)
こちらもベルトラン・ブリエ監督によるカンヌ審査員特別賞を受賞した作品。高慢気味の美しい妻に不満を持った夫が、器量は悪いが温かい女性との間で繰り広げる三角関係の様子を描く。キャロル・ブーケはセザール賞の主演女優賞を受賞した。音楽はシューベルト作品が多数使用されている。
●● まとめ ●●
仏語版のメディアでは、「料理は冷たくして(Buffet Froid)」は鑑賞していなかったが、先日、オンラインで鑑賞できた。ゴダール作品の様に支離滅裂な展開ではあったが、最後に湖上のボートでドパルデューは、キャロル・ブーケをみて「美しい・・」と感嘆するも・・。★ふーん、「料理は冷たくするのね・・・」と納得(ネタバラしません!)。
誰もが認める、フランス女優を代表する美の象徴の様なカトリーヌ・ドヌーヴの様に、今現在でも”「美しいですね」に「よく言われるの」を返す”ギャグとは真逆。キャロル・ブーケの場合は、美の象徴性がより高く、クールさを伴ったキャラクターの様に思われる。