リメイク詐欺の話
リメイクするするっていつになったらやるんだよ
「発掘良品」の企画をやり出して間もない頃、いろいろチェックしていたら『ミクロの決死圏』のような名作が全国のお店在庫にあまり無いことが分かった。さらに2007年にローランド・エメリッヒ監督がリメイクをするという発表があった。時は2011年。もうそろそろ公開されるんじゃないか。公開されてからDVDを発注していたら遅い。
そこでこの機会にと考えて「発掘良品」の編成に入れて全国の在庫補充をした。
『ミクロの決死圏』は頼まれたらどんなジャンルでも撮る映画職人リチャード・フライシャー監督のSFアドベンチャーで、脳出血を起こした要人を救うべく治療チームが、どんな技術か分からないが飛行艇に乗りくんだままミクロのサイズになって、体内に送り込まれるという特撮映画。
編成では「今の技術でリメイクすれば凄いことになりそうなスリル溢れる傑作SF映画」ということで、他にロバート・ワイズ監督の『アンドロメダ...』とマイケル・クライトン監督の『ウエストワールド』をカップリングした。
後に『アンドロメダ...』はリドリーとトニーのスコット兄弟が製作総指揮で2008年に、『ウエストワールド』はJ.J.エイブラハムズの総指揮で2018年にそれぞれドラマ版としてちゃんとリメイクされた。
お店に並んでしばらくたった頃、大阪のオフィスから電話がかかってきた。担当曰く「映画通の加盟店のオーナーさんが、『こんな誰でも知ってる有名作を発掘だなんて理由を説明に来い』とお怒りなので来てください」。こういう場合、行くとたいていニコニコと迎え入れられ、歓迎を受ける。リメイクの話をし、在庫過少をこのタイミングで払拭したかったこと、また若い世代にはこういう手作り特撮が新鮮に思えるだろうからぜひお薦めしたい的な話をし、疲れて東京に戻ってきたというものの、それからいっこうにリメイク完成のニュースが流れてこない。
ローランド・エメリッヒは何をしてるんだ!?
2007年の「映画.com」のニュース。
ローランド・エメリッヒが「ミクロの決死圏」をリメイク
2007年8月20日 12:00
[映画.com ニュース] ローランド・エメリッヒ監督が、「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」に続き、20世紀フォックスで手掛けるSF大作が決定。米バラエティ紙によると、66年製作のSF冒険映画「ミクロの決死圏」のリメイクを手掛けるようだ。数年前にも話題になった企画だが、今回は本格的に始動しそうだ。
オリジナルは、「トラ・トラ・トラ!」「ソイレント・グリーン」のリチャード・フライシャー監督作品で、ラクエル・ウェルチやドナルド・プレザンスが出演した。ストーリーは、脳内出血を起こした要人を救うため、5人の科学者が特殊潜航艇プロテウス号に乗り込んでミクロサイズに縮小されてその体内に入り、体内から疾患を治療しようというもの。縮小期間がわずか1時間であるスリル、人体内の描写のイマジネーションで人気を博し、全世界で何度もリバイバル公開された不朽の名作だ。
今回の脚本は「ナショナル・トレジャー」の脚本家夫妻のマリアンヌ&コーマック・ウィバーリーに打診されているとのこと。現在映画化されるなら、最新医学知識と最新VFXが駆使された驚異の体内生命活動のビジュアル化が期待できそうだ。
同作は、エメリッヒ監督の製作プロ“セントロポリス・エンタテインメント”と、「ターミネーター」「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督の製作プロ“ライトストーム・エンタテインメント”の共同製作。
エメリッヒ監督の最新作は、見る者を紀元前1万年の世界へ誘うワーナー映画「10000 B.C.」(08年3月全米公開)。
このニュース見たらみなさんどう思う?エメリッヒとキャメロンの共同製作だって!?
ああ、リメイク詐欺にひっかかった。ちくしょう、リメイクしないんだったら『ミクロの決死圏』はもっと後回しで良かった。同じころ、もう一つあった。黒澤明監督の『天国と地獄』をリメイクするっていう話だった。
2008年の「映画.com」のニュース。
黒澤明監督「天国と地獄」、ハリウッドでリメイクへ
2008年10月30日 12:00
[映画.com ニュース] 米ミラマックスが、黒澤明監督の63年の傑作「天国と地獄(英題:High and Low)」をリメイクすることが分かった。「卒業」「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」のマイク・ニコルズ監督がメガホンを取る。
ピュリッツァー賞を受賞した劇作家で映画監督・脚本家のデビッド・マメット(「オレアナ」「ハンニバル」)が脚本、「ノーカントリー」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のスコット・ルーディンがプロデュースを手がける。また、そもそも99年に本作の脚本をマメットに依頼したマーティン・スコセッシ監督が製作総指揮を務めるものとみられ、かなり強力なスタッフが揃ったことは間違いない。キャスティングはこれから行われるとのこと。
「天国と地獄」は、エド・マクベインの「キングの身代金」を原作にした社会派サスペンス。製靴会社重役の権藤(三船敏郎)のもとに、息子を誘拐したから3000万円の身代金をよこせという連絡が入る。だが誘拐されたのは権藤の運転手の息子だった。葛藤の末、権藤は身代金を支払い、人質は無事救出されるが、財産を失った権藤は失脚。誘拐事件の犯人と被害者、そして刑事との息づまる心理劇が始まる。
黒澤作品は、過去に「七人の侍」(54)が「荒野の七人」(60)に、「羅生門」(50)が「暴行」(64)にリメイクされたのが有名だが、ハリウッドでは現在も、スティーブン・スピルバーグ監督のドリームワークスによる「生きる」(52)、ワインスタイン・カンパニーによる「七人の侍」のリメイク企画が進行中だ。
おーーーい。またリメイク詐欺や。
わたしはこれ以来「あの名作をなんとこの人気監督がリメイクするんですよ!」という電話には出ないようにしている。
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投稿を表示さっちゃんと申します。さっき、最初の下書きが完了した旨、運営さんに連絡したところなので、コラムニスト詐欺みたいなコラムニストです。
これは意識的なガセネタかつリメイクではないのですが、ギレルモ・デル・トロがアメリカの怪奇小説家、H・P・ラブクラフトの「狂気の山脈より」を映画化すると聞いて、しばらく信じていたことがあります。ラッシュ前の画像なんてもっともらしい映像までできていたものですから。
それから早川書房がハードカバーを出すときに、ハリウッド映画化決定なんて腰巻をつけてることが良くありますよね。何年たっても公開のうわさもないことが良くあります。映画化と同じようにリメイクも噂は話半分に聞いておくのがいいのではないかと思います。
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投稿を表示【浦沢直樹「MONSTER」をギレルモ・デル・トロがTVドラマ化!】10年経ってもまだっす。