巨大金融詐欺事件の真相は?
総製作費70億円超え、香港2大スターの20年振りの共演など話題性も多い
『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』
このたび試写で鑑賞させて頂いたが、豪華絢爛、物語は面白く非常に見応えがあった。
金融詐欺映画でありながら、観るものに高揚感を与える作品も珍しい。
そこで今回は、印象に残ったポイントを時代背景も交えて執筆していく。

監督/フェリックス・チョン
製作国/香港、中国・126分
主演/トニー・レオン、アンディ・ラウ
ーあらすじー
イギリスによる植民地支配の終焉が近づく香港。身ひとつで入国した野心家の男、チン・ヤッイン(トニー・レオン)は、悪質な違法取引を通じて徐々に香港に足場を築いていく。そして80年代株式市場ブームの波に乗ると、資産 100億ドルの文世紀グループ立ち上げに成功、時代のレジェンドとなる。一方、汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユン(アンディ・ラウ)は、チンの陰謀に目を付け、その後15年間にも及ぶ粘り強い捜査への道のりを歩み始めていた。人命も価値を失うほどの大金が動く、マネーゲームの代償を負うのは果たして誰なのか。そしてチンとラウの駆け引きの行方はいかに。
(ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件
公式より引用)
目次
1.20年振りの共演
2.実話ベース
3.イギリスの植民地時代
4.ド派手な美術とレトロなファッション
5.まとめ
1.20年振りの共演
今回主演を務めたトニー・レオンとアンディ・ラウは20年振りの共演となる。
この一報を受けて筆者が思い浮かんだ作品が
『インファナル・アフェア』3部作で、様々なリメイクの元になっている作品だ。
『インファナル・アフェア』ではトニーが警察側、アンディがマフィア側を演じているが、本作では立場が逆転している。
3部作ファンならば大スターの共演だけでも喜ばしいことだが、演じる役の違いも興味深いのではないだろうか。また二人が見つめ合うだけで、不穏な空気がただようシーンも健在だ。
お金以外に守る者がいないチンの豹変ぶりと、守る者がいるラウの執念。
なんとラウは15年間もチンを追っているのだ。なぜそこまでしてチンを逮捕しようとするのか、ラウの心の内も見どころの一つだ。


2.実話ベース
1983年、香港で発生した佳寧案事件(キャリアン事件)が本作のモデルとなっている。
キャリアン事件とは、香港史上最大級の企業犯罪の一つで、不動産会社の佳寧集団を舞台にした、不正会計と株価操作を伴う大規模な金融詐欺事件だ。
トニー演じるチンが佳寧集団の創業者をモデルにした人物で、巨万の富を築きあげる様子が描かれている。
本作でもインサイダー取引、不正会計、賭博、虚偽の情報操作などが堂々と派手に繰り広げられている。これらをエンタメショーのように描くさまは圧巻だ。


3.イギリスの植民地時代
ここで歴史的背景に触れてみると、香港は1841年〜1941年、1945年〜1997年と二度にわたりイギリスの統治下にあった。
当時の特徴の一つ、自由貿易港として発展したそうで、香港には外国企業が進出し拠点を置いた。それに伴い株式市場が飛躍的な発展を遂げた。政治情勢も比較的安定していたため、投資家には魅力的な環境であったことが想像できる。
この点についても本作では描かれており、特に株を自由自在に操る様子は見事だ。
目的のためならばどんな手段も使うチンと、それに翻弄される人々。おそらくチンは人の好みや弱みを見抜き、与えたり、つけ込むのが得意なのだ。
株だけでなく人の心も操り頂点まで登り詰め、イギリス統治下が終わる頃にどのように変化するのか、非常に見応えがある。


4.派手な美術とレトロなファッション
物語の舞台が1980年代の香港バブル期のため、派手なロケーションと美術が目立つ。
その中でもある巨大ビルが印象的だが、チンが手に入れるには相応しい物件だったに違いない。それは様々な心情も込めて、だ。
ファッションについては、嘉文世紀の女性総裁カーマンが80年代のファッションを多数披露している。新鮮に感じられ、ファッション好きな筆者は彼女が登場するたびに目を奪われた。


5.まとめ
話しは逸れるが香港は、
70年代のブルース・リー旋風
80年代には香港ノワールが確立
90年代になるとウォン・カーウァイ監督のスローモーションを使った色彩豊かでエモーショナルな映画が登場した。
おそらく映画界においても劇的な時代だったのではないだろうか。
これはあくまでも筆者の主観だが。
前述の『インファナル・アフェア』3部作が香港ノワールの金字塔なら、本作もほぼ同年代を描いた新しい香港ノワールと表現できる。
薄暗い閉鎖的なシーンと、強烈な色彩と派手なシーンが交互に繰り返される。
それはまるで犯罪に関与する者の心の内を描いているかのようだ。
尽きることない人間の欲望、そこにお金が絡むと何が起きるのか。豪華で衝撃の金融エンターテインメントをぜひ劇場で鑑賞して頂きたい。
『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』
2025年1月24日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
『ゴールドフィンガー 巨⼤⾦融詐欺事件』
監督・脚本︓フェリックス・チョン『インファナル・アフェア』シリーズ(脚本)、『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』(監督)
プロデューサー︓ロナルド・ウォン
エグゼクティブ・プロデューサー︓アルバート・ヤン、ジェン・ジーハオ、アレックス・ヤン
出演︓トニー・レオン、アンディ・ラウ、シャーリーン・チョイ/サイモン・ヤム、カルロス・チェン、マイケル・ニン、フィリップ・キョン、アレックス・フ ォン、タイ・ボー、チン・ガーロウ
2023 年/⾹港・中国/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題︓⾦⼿指/英題︓The Goldfinger/126 分/G/字幕翻訳︓神部明世
©2023 Emperor Film Production Company Limited All Rights Reserved
提供︓カルチュア・エンタテインメント、博報堂 DY ミュージック&ピクチャーズ
配給︓カルチュア・パブリッシャーズ
宣伝︓スキップ
公式サイト︓https://www.culture-pub.jp/goldfinger
公開表記︓2025 年 1⽉24⽇(⾦)TOHO シネマズ⽇⽐⾕ほか全国公開