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私の好きな映画

Stella
2025/02/20 12:42

ルキノ・ヴィスコンティの遺作 イノセント(L'innocente)

◆ルキノ・ヴィスコンティ(1906-1976)

  イタリア王国ミラノで生まれた。実家はイタリアの貴族ヴィスコンティ家の傍流で、父は北イタリア有数の貴族モドローネ公爵で、ヴィスコンティは14世紀に建てられた城で、幼少期から芸術に親しんで育った。また1936年にはココ・シャネルの紹介でジャン・ルノワールと出会い、アシスタントとしてルノワールの映画製作に携わったという。

 未鑑賞だが「山猫」や、「ルートヴィッヒ」等の名作もあるが、個人的には随分前に鑑賞した「ベニスに死す」(1971)が代表作かと思う。なんといっても、作品のモデルにもなったグスタフ・マーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」がテーマ曲になっているというのも重要。また、イタリア語版だが、フランス人アルベール・カミュの「異邦人」をマルチェロ・マストロヤンニ主演で映画化したのも気になるところ。

ルキノ・ビスコンティ(シルヴァーノ・マンガーノと)
ベニスに死す

 ◆「イノセント(L'innocente)」(1975)

 イタリアの人気作家ガブリエーレ・ダヌンツィオの「罪なき者」を原作に、妻と愛人の間で揺れる男の情念を描いたルキノ・ヴィスコンティの遺作。妻への情熱が薄れてしまったトゥルッリは、伯爵夫人と愛人関係にあった。夫の留守中、孤独な妻のもとに著名な作家が訪れ……。主演は、イタリアのセックスシンボルと言われたラウラ・アントネッリとジャンカルロ・ジャンニーニ。

 著名な作家役をマルク・ポレルが演じていたが、「水の中の小さな太陽」の主演でもあるので、後程、恋愛映画の方でも投稿させて頂く。

◆◆所感

◆すてきなクラシック音楽・歌曲

 なんといっても、コンサート会場で演奏されるモーツアルトのトルコ行進曲や、リストの美しい「エステ荘の噴水」等が選曲され、また声楽の方ではグルック作曲のオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」のアリア「エウリディーチェを失って」がイタリア語で歌われ華を添える。(フランス語版の方で歌ったことがあるので、興味深かった。)

 「ベニスに死す」同様に、美しい曲が使用されるのは、ルキノの芸術性かと思う。

◆絵として華やか

 貴族の華やかな生活が描かれるが、テーマ自体は不倫劇をへて、主人公には何も残らず終わってしまい、エンドロールでは愛人は去って行く姿が描かれ、乾いた無念さのみ残る印象。

 フェデリコ・フェリーニとは真逆の、貴族だったルキノ・ヴィスコンティの品格が感じられる。

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