お題が「キャスティング」

 「北野武監督作品」の見所としてキャスティングが挙げられます。

初期作は「ビートたけし」をメインとして、後の役は当時はほぼ無名な俳優を起用することや意外なキャスティングも特徴でした。

北野映画のキャスティング担当は吉川威史氏（よしかわ・たけふみ）

吉川氏は、1978年に熊井啓監督の「お吟さま」の助監督として現場に参加。北野武監督の「その男、凶暴につき」ではオーディションの声かけを担当しており、北野組常連となる寺島進を起用する。

 

北野映画で印象的なキャスティングについてお伝えいたします！

 

キャスティングの吉川さんも登場する動画です。

その男、凶暴につき

当初は「警察署長役」だった！

殺し屋・清弘　（白竜）

この作品で殺し屋＝白竜のイメージが定着し、普通に街を歩けば「あっ殺し屋だ！」と言われるほどのインパクトだった。しかし当初の役は「警察署長役」だった。そして、ロックミュージシャンが本業のため、役者仕事はほとんどしたことがなかった。

そんな白竜は演じ方など、どうしていいのか分からなかったので、素のままで演じ、北野監督からも、あまり具体的な指示もなかった。

逆に経験が豊富な役者ですごく作り込んでいる場合は「普通にしてくれ」との指示だったので、自分はこのままでいいのかなと演じた。

演者として感じる「北野映画のキャスティング」について

白竜がインタビューにて北野映画のキャスティングについて語っていた。

北野監督のキャスティングは有名、無名関係なく、監督のセンスを頼りに物事を決めている。

起用される側（演者）は、撮影が進むにつれて自分の役がどんな役であるかを徐々に知って行くことになります。最初の作品から、監督はそういうことを全部分かって、撮っている。撮り方も、普通の映画監督が思いつかないような発想の持ち主です。北野組がここまで評価されるのは、今までの通念をくつがえして来た結果なのかもしれません。

 

ソナチネ

 

２人の役者人生を変えた「キャスティング」

片桐（北島組村川組幹部）　大杉漣

大杉漣はほぼ初めてのオーディションに遅刻するも合格した。ソナチネに出演後、他の作品でも

存在感を出し、映画「HAHA-BI」では１９９８年 第４１回 ブルーリボン賞助演男優賞、第22回 日本アカデミー賞 優秀助演男優賞を受賞、日本の名バイプレーヤーの1人に。

過去に大杉はにっかつロマンポルノのブルーリボンに対抗した「ピンクリボン賞」の主演男優賞も受賞しているため両方のカラー（ブルーリボン・ピンクリボン）について受賞している唯一の役者でもある。ソナチネのオーディションが不合格だったら田舎へ帰り、サラリーマンになる覚悟だった。まさに役者人生を変えたキャスティング。

なぜ北野監督は大杉漣をキャスティングしたのか？

「すいません、遅れました！」とオーディションに現れた大杉漣を見て、監督は「カンなんだけど、この人を使うべきだと思った」と起用。役は当初「やくざ事務所の電話番」だったが、監督の「全部アドリブでやって」という指示に対し、大杉が演じたヤミ金の取り立ての演技に「うめえな、この人」と感心。脚本を書き換えて役を大きくしたところ、「最後までうまくやっちゃった」と語る。

津田（喫茶店のウェイター）津田寛治

大杉漣とはまた違ったきっかけでキャスティングされた津田寛治。

詳細については別の記事にて記載しているが、勤め先の喫茶店のママの一言で作品に出演する。

津田も同様にこの作品後、大杉漣からの繋がりにて、色々な作品へ出演し活躍をする

演者だけではなく、短編映画「カタラズのまちで」（2012）や、オムニバス映画「かくて女神は笑いき」（2014）の1編「怯える女」で自ら監督を行う。

大杉漣、津田寛治のエピソードについてはこちらの記事にも掲載しております。

アウトレイジ・ビヨンド・アウトレイジ最終章

 

お金は消えてしまうが、俳優は映画にその姿を残すことができる。

張 大成（チャン・テソン） 金田時男

日本と韓国を股にかける大物フィクサーとして登場する。演じた金田時男氏は俳優ではない。

演技の経験がない金田氏を作品のキーパーソン役に起用したが、どの俳優よりも印象に残るキャラクターでもあった。しかしなぜ、俳優でない金田氏は映画に出演したのか？

映画出演は「松田優作」

金田氏が一人で家に帰ったら誰もいなくて、何気なくテレビをつけたら松田優作のドキュメンタリー番組が放送されていたのでそれをずっと見ていたら、ふと「映画俳優をやってみたい」と思い友人関係であった北野監督に連絡をした。

その時に金田氏が北野監督へ次の事を伝える。

「お金はいくら稼いでも、いつかは消えてしまう。その点、俳優は映画にその姿を残すことができて羨ましい。とんでもないと思うかもしれないが、北野作品に自分の姿を刻みつける機会があればお願いできないか」と話したことで「アウトレイジビヨンド」へ出演することになった。

張会長にキャスティングした北野監督の演者：金田時男氏について

「初めて会った時からすげえなこの人って。あの人を（前作『ビヨンド』では）ちょい役で使ったんだけど、今作はかなりメインで使ってみたら、結果的に全く負けてない。金田さん自身は〈緊張して大変だった〉って言ってたけど、傍から見るとそうでもないんじゃないかなって感じだったね」

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PS：いつの日か北野監督作品にキャスティングされたい　すた☆みなでした。では、ばいび～。