【蔵出しレビュー】カーレースと会社ものと家族ドラマの三位一体のヒューマンドラマ!『フォードvsフェラーリ』
※マイケル・マン監督映画『フェラーリ』の公開にあわせてUPしてみました。尚、レビューは公開当時のものを一部加筆・訂正してます。
■フォードvsフェラーリ
《作品データ》
1966年、ル・マン24時間耐久レースで当時4連覇中だったフェラーリ社をフォード社が8台のマシンを投入して打ち破った史実を元にしたドラマ。元ル・マン覇者のレーサーでエンジニアのキャロル・シェルビーと45歳にしてレーサーとしての人生をスタートさせたケン・マイルズの友情やぶつかり合い、本物志向で撮られた大迫力のレースシーンなどが描かれる。
監督は『LOGAN/ローガン』のジェームズ・マンゴールド。主演はマット・デイモンとクリスチャン・ベイル。
・TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー中!
・配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
・公式HP:http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/
《『フォードvsフェラーリ』レビュー》
高校の頃、F1好きな同級生の話に付き合う程度にF1のレース中継をチョロっと見ていたが、どうも個人的に車・バイクの機械モノに興味が持ちにくいのでF1他カーレース、というか普段も車には筆者は疎い。が、予告編で流れたグレタ・ヴァン・フリートの「Highway」から60年代の雰囲気を感じ取り、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』や『3時10分、決断のとき』を手掛けたジェームズ・マンゴールドが手掛けているので見てみてら、「ル・マン24」や「デイトナ」の大迫力のレースシーンはもちろんそれ以外のフォードの会社としての動きやケン・マイルズの家族とのやり取りなど、
カーレース映画と会社ものの映画、ヒューマン・ドラマと三重の面白さがあった!!
まず迫力満点のレースシーンの面白さ。猛スピードに一瞬の間違いが死を招く。クラッシュシーンも惜しげもなく出るので、常にピリピリした緊張感が張りつめる。ドライバー、特にクリスチャン・ベイル演じるケン・マイルズに寄った見せ方をする。ハンドル、ギア、アクセル、ブレーキの凄まじい動きから、車の猛スピードがシンクロし、臨場感・ライド感満点!!
これにフォードの二代目の社長や営業部長ら重役とフェラーリの重役とのやり取り、副社長とケン・マイルズの対立などの背広組対ドライバー&現場スタッフの動きが面白い。まるで、1998年以後のWWE(当時WWF)のビンス・マクマホンらマクマホン・ファミリーと“ストーンコールド”スティーブ・オースチンらレスラーとの一連のドラマを見ているようだ。
中でも副社長の動きがいちいち面白い。新車発表会でのケン・マイルズとのいざこざを根に持ち、事あるごとにケン・マイルズに不利な方向に持っていく。それを天才的なメカニックの知識&ドライビングテクニック、マット・デイモンが演じるシェルビーのアシストで切り抜ける。
ケン・マイルズの奥さんと子どものシーンはまさしく一服の清涼。ちょいエロだが気が強いモリーにドライビングテストや新車発表会にちょこちょこついてくる息子のピーターなど微笑ましい。加えて60年代のロック(パッとではキンクスしかわからなかったが)と60年代ロック風のBGMがぴったり合っている。
分かりやすいカーレースの迫力とじめじめとした外部(フェラーリ)と内部の対立、家族との一時と見所だらけ。カーレースに興味なくとも、「DISCOVER US」の読者なら