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趣味は洋画
2023/07/14 14:00

法廷映画の傑作に迫る その①

法廷映画の古典「十二人の怒れる男」は、映画史上に大きく名を残す不朽の名作である。

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1957年・アメリカ映画、監督:シドニー・ルメット(映画界デビュー作)

 

殺人事件の裁判で、希薄な証拠に疑問をもった一人の陪審員が異議を唱えたことにより、1対11の評決が無罪へと逆転していく過程を描いた法廷ドラマである。

陪審員12人の性格、人情、正義感、思惑などを際立たせたルメットの演出力が光る密室劇だ。

 

ニューヨークの裁判所で、日頃から不良として知られている17歳の少年が、父親をナイフで殺害した容疑で裁かれていた。審理を終えた12人の陪審員たちは、評決のため陪審員室に入った。第1回の評決は11対1で有罪が圧倒的であった。だが、判決は全員一致でなければならない。無罪に投票したのは陪審員8番ただ一人。彼は ‘少年は犯人かもしれないが、有罪の証拠がない’ と言う。

それに対し、有罪を投じた陪審員たちが次々と有罪の根拠たる証言を並べ立てる。だが、8番は ‘それらの証言にも万が一間違いがあるかもしれない’ と反発した。更に、凶器のナイフについて再検討され、特別な形状のナイフだったことから、警察が被告の物であると主張した旨の説明があった。すると8番は、同形のナイフを自分のポケットから取り出し、デスクに突き立てた。そして2回目の評決が行われ、陪審員9番が有罪から転じて、無罪を投票するのだが...。

 

12人の陪審員の特徴と、俳優名は次のとおり。(劇中、すべて番号で統一、個人名は出ない)

陪審員1番:マーチン・バルサム 

      進行役を務める誠実な陪審員。高校のフットボールコーチをしている。中学校教師。

      討論が思うように進まないことに苛立つメンバーに対し ‘何なら代ろうか’ と言う。

陪審員2番:ジョン・フィードラー 

      TVドラマ版に続き同じ役で出演。気弱で臆病な銀行員。 

陪審員3番:リー・J・コッブ

      自分の息子の影に怯えながら虚栄心をはる頑固者。メッセンジャー会社経営者。

            最後まで有罪を主張する。

陪審員4番:E・G・マーシャル

      自分のメガネに関することで墓穴を掘ることになる陪審員。株式仲介人。

陪審員5番:ジャック・クラグマン

      冷静沈着、ユダヤ人であることに誇りを持つ陪審員。工場労働者。

陪審員6番:エドワード・ビンス

      老人をいたわる心優しく体格のいい陪審員。塗装工。

陪審員7番:ジャック・ウォーデン

      野球好きで、大のヤンキース・ファン。

      早く結審を終えプロ野球観戦に行きたい人物。食品会社のセールスマン。

陪審員8番:ヘンリー・フォンダ

      最初の結審投票で、唯一の無罪を主張する正義感溢れる陪審員。建築家。

陪審員9番:ジョセフ・スウィーニー

      最も年長の陪審員で、最初に8番に賛同し、無罪に変わる。80歳前後の老人。

陪審員10番:エド・ベグリー

      人種差別に人間の愚かさをみせる。いつも鼻をかんでいる。自動車修理工場経営者。

      狂信的な主張は、考え方が異なるという以前の、生き方の違いの問題。

陪審員11番:ジョージ・ヴォスコヴェック

      誠実なユダヤ移民。強い訛りがある。TVドラマ版に続き同じ役で出演。時計職人。

陪審員12番:ロバート・ウェバー

      自分の確固たる意見を持たず、どっちつかずの陪審員。広告代理店宣伝マン。 

 

密室劇であり、大半が陪審員室で構成される本作の撮影では、1つとして同じアングルは使わず、ストーリーの時間と上映時間を一致させている。撮影監督のボリス・カウフマンの手腕は見事というほかない。

 

最後は、今までの密室から一転、裁判所前で皆が別れていくラスト・シーンの解放感が快い。

個人的に、生涯のナンバーワン作品としての地位は揺るぎない。

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2 件の返信 (新着順)
北のおっかさん
2023/07/24 10:57

「趣味は洋画」さん はじめまして。
私は「十二人の怒れる男」を当時観て、衝撃を受けました。

その後、感化されて「十二人の●●」ばかり観まくりました。
「12人の優しい日本人」とか、リメイクが出ると必ず観るようにしてます!

かずぽん
2023/07/15 12:25

洋画さんと言えば『十二人の怒れる男』ですよね。
何度も観ているのに、ドラマ版からの同じ俳優さんが二人もいたこと忘れていました。

洋画さんの「法廷映画」シリーズ、「その①」から始まって、いくつまで行くのか?どの作品をピックアップされるのか?
私も色々考えながら楽しみにしております。


趣味は洋画
2023/07/15 22:20

コメントありがとうございます。
とても励みになります。
法廷映画のなかでも印象深い作品を追っていこうと思っております。
次回は、法廷映画のなかでも、どんでん返しで有名な ‘あの作品’ に迫ってみたいと思います。
2023.07.15

かずぽん
2023/07/16 23:14

あの作品ですね!
ショーン・コネリーの…